夢のような現実
ちとせ
「…んっ…」
もう…朝…?
「…」
「…」
「…」
「…」
「…」
「…zzzZZZ」
「また寝ないで」
「あっ…はぃ…」
「…」
「…」
「…zzzZ」
ドンッ!
「えっ…?」
バタンッ!
「いったあぁぁぁ…」
「あなたが3度寝するからよ」
私ベッドから落ちた…?家にベッドなんか無かったはず…それに起こしてくれてるのは誰…?
…!
そうか!今までの不運な人生はすべて夢なんだ!
そうだ!そうに違いない!だから私を起こす
この声は…!
「お母さん!」
「じゃないわよ」
「えっ…」
「それじゃあお姉ちゃん?」
「はぁ…」
「だったら妹?」
「いや…もしかするとこの見た目で男だったり…」
「現実を見なさい、私はあなたの母親でも兄弟姉妹でもない」
「お父さん!」
「あなた殴るわよ」
「ごめんなさい!」
「謝るくらいなら出てって、私は出かけなきゃ
いけないの」
「知らない人に留守番させるほど私は馬鹿じゃない」
「だから早く」
「えっ!?えっ!?ちょ、ちょっと待って!
聞きたいことがあるのに!」
「私が話すことは何もないから」
「だから、ちょ、待っ…」
バンッ
「ここがどこかくらい教えてくれたっていいじゃん…」
…
ここがどこかって思ったけど、案外学校の近く
だったな…
そういえば…あの子私と同じくらいだったよねぇ
だったら同じ学校かもしれない
追い出されたとはいえ助けてもらったことには
違いないはず…お礼言わなきゃ!
…でも、何で私あの子のお世話になってたんだろ?
…
私の席…またない…昨日先生が用意してくれるって言ったけど…座布団で済ませようとするなよ…
前島
「よぉ!いい椅子用意してもらったじゃん」
「よかったな~!」
「…いや、これ椅子じゃ…」
「机も…無いし…」
「椅子じゃないって、お前座れれば何でも椅子だろ!?しかも贅沢に机~!頭悪いくせによぉ~」
「それは!」
「あ!?」
「…そうだけど」
ガラガラガラガラ
担任教師
「みんな座れ!みんな気づいてると思うがこの
クラスに転校生が来るだからみんな座れ!」
ガヤガヤガヤガヤ
はぁ…座布団か…机はちゃぶ台か段ボール箱って
ところかな…
「それじゃあ紹介するぞ?」
「入ってみんなに自己紹介してくれ」
「はい」
「七宮 つかさです」
「両親が長期の仕事で家を離れており1人で切り盛りするのは大変だろうとのことで別荘に滞在することになり近くにあるこの学校に転校してきました」
「どうぞよろしくお願いします」
男子生徒A
「結構可愛くねぇか…?」
男子生徒B
「いや…俺はああいうのはちょっと…」
「性格きつそうだし…」
「そこがいいんだろ!?俺はあの子になじられたい!」
「うっ…俺…お前と友達やめるわ…」
「何でだよいいだろ俺の性癖なんだから!」
担任教師
「おい!うるさいぞ!」
「…」
「…それじゃあみんな仲良くしてやってくれ」
「君の席は1番手前だけど右から2列目の空いてるところで」
つかさ
「はい」
「それじゃあホームルーム始めるぞ…」
…
教師
「それじゃあ2人一組作れ」
2人一組か…明らかに私をハブるためにある組み合わせだよね…
女子生徒
「ねぇねぇ七宮さん!私とペア組も?」
「いいけど」
…
男子生徒C
「よしっ!デザートジャンケンだ!」
給食か…お金払えてないから私にはお昼ごはん無いんだよね…
…
教師
「それじゃあみんな気をつけて帰るんだぞ!」
やっと…1日が終わった…これから掃除…1人だけで
「ねぇ」
「…」
「ねぇ!」
「…」
「私はあなたに話しかけてるんだけど?」
「えっ…?わ、私?」
「そう、あなた」
「掃除場所はどこなの?」
「さっさと終わらせて帰りたいんだけど」
「えっ…?手伝ってくれるの…?」
「手伝う?私は掃除当番だから掃除するのであってあなたを手伝うわけじゃない」
「もしも私があなたと別の班だったら手伝うなんて面倒なこと絶対しないあなたが1人だけで掃除してようともね」
「あぁ…わかったわかった掃除場所は理科室だから」
「…」
「で、その理科室はどこなの」
「あぁ…うん…こっち」
なんか怖いのに絡まれちゃったなぁ…
そもそもこんな子同じ班だったかなぁ…
…
「こ、ここです…」
「はぁ…あなた今日の朝からずっと見てたけど
1度も顔を上げてない」
「人と話すときは目を見て話せって言われなかった!?」
「はい…言われました…でも…」
「イジメられてるのは見ててもよくわかるそれで人間不信にになるのもね」
「だけど私と話すときくらいは顔を上げて話なさい」
「で、掃除はどうすればいいの」
「えっと…」
目を見て話さないと怒られる…
そっと顔を上げて…
「まずほうきを使っ…」
「あっ!」
「何、どうしたの?」
こ、この顔!長い黒髪に白い肌整った顔立ちに
鋭い目つき!知ってる!この顔知ってる!
「今朝私を蹴っ飛ばした人だ!」
「…」
「はぁ?今更?」
「いやぁ!あのときはお世話になっちゃって
本当ありがとうございます!」
「ずっと礼を言いたかったんですよ!」
「あぁ…それはわかったから掃除を…」
(何この子いきなり明るくなったんだけど…)
「本当私どうしちゃったのかな?」
「知ってます?」
「えっと…」
「はぁ…七宮 つかさ」
(って、あなたのテンションが上がった理由なんて知らないわよ!)
「七宮さん!昨日のことです」
「昨日の?」
(一応この子は巫女じゃないとわかったし巫女じゃない者が力を使うと記憶が無くなるから嘘でも吹き込んどくか…)
「えっとねぇ…私の目の前通りすがった際にいきなり倒れたから看病してあげたの」
「まぁ、栄養失調によるものでしょ」
「…嘘…ですよね…?」
「いえ…本当」
「本当なんですか!?」
「あぁ!だったら七宮さんの前で倒れてよかった!」
「どうして嘘だと思ったの?」
「いえ…夢の話なんですけど…」
「私が変な怪物と戦う…実際に戦ってたのは
七宮さんなんですけどそいつを倒す夢を…」
「他は?」
「えっと…2人の女の子が倒れてたような…」
「1人は釣りをしてたら私が釣り上げちゃって、
もう1人はどっからか飛んできてたかな?」
「そう…変な夢ね」
「…いや…夢じゃない」
「えっ?どうして!?」
「だって鮮明に覚えすぎてるもんこの夢…」
「七宮さんが空を飛んでたのも、私のことを巫女
だと言ったのも覚えてる!」
「結局巫女は私じゃなくて飛ばされてきた女の子
の方だけど…」
「こんなに覚えてるのは夢だとは言えない」
「…現実」
(どうして?巫女じゃない者がどうしてここまで記憶している?あともう一つ思い出したこの子は誰からあのカードの使い方を教わったの?)
(それ以外にもこの子の知りたいこと以上に私の方が知りたいことがいっぱいある)
「ねぇ話して!昨日の夜何が起きたの!?
巫女って何?あの化け物は?2人はどうなったの!?」
「…わかった全部話す」
「…だけどね、これを聞いたらあなたの運命が変わる」