海の向こうから
チャポン…
…
ちとせ
「ねぇ…おいちゃんここ何が釣れるの…」
釣りのおじさん
「知らん…ワシも最近ここで始めたばかりだ…」
私は歩く以外帰る方法を失っちゃった!
だから港をぶらぶらしてた時会ったおいちゃんと
一緒に釣りをしているの!
…
ダメだ…心の中でテンション上げても打開策が
わいてこない…
グルルゥゥゥ~
わき上がるのは空腹だけ…
早く釣って栄養を補給せねば…
「どうした嬢ちゃん?腹なんか抱えて」
「体調でも悪ぃだか?」
「いえ…そういうわけじゃ…」
おいちゃんありがとう…心配してくれて
私の事心配してくれるのはこの世界でも
おいちゃんただ1人だよ…
だけどね、この問題おいちゃんには解決でき…!
「そうだか、だったらいいんだが」
ビタビタビタビタ
「!?」
「なんだ嬢ちゃん!?よだれなんぞ垂らして!?」
「ヴッ!」
「何?スルメがどうかしただか?」
ビタビタビタビタ
「ほ、欲しいのか!?」
(ブンブンブンブン)
「そ、そんな頭振っとったら首とれんぞ…?」
「ほれ、好きなだけ取りな」
ガッ!
「ちょ!ちょっと待て!好きなだけとは言ったが全部持っていくやつがおるか!?」
「あぁ~ん!」
「全部食いおった…」
にまぁ~!
おいちゃんありがとう!
おいちゃんは問題解決できないって思ったけど
そんなことはなかった!
やっぱり私を助けてくれるのはおいちゃんだけ!
「おいちゃんだったら私の父親になってもかまわないよ!」
「はぁ?」
「しまった!心の声が!」
「あぁ!また心の声が…」
「まぁ、よぉわからんがスルメで笑顔になる
娘がいるもんだなぁこの時代に」
「笑顔!?…私そんなに笑ってた…?」
「あぁ、至福の時といった感じだったぞ」
「心の声どころか顔にまで!」
「あっ!また心の声が…」
「…そんなに大変だか…?」
「生活が…」
「…うん、おいちゃんには話してもいいかな…」
「…」
「私孤児なの…一緒に暮らしてるお母さんは
本当のお母さんじゃない…」
「一緒に暮らしているったって数年前の話…
だから家には誰もいない…稼ぎがいないの」
「だからいつもお腹すかせてる…」
「…よくここまで死ななかったな」
「稼ぎがいないだけで私はバイトしてるの」
「私の事情を知ってる人のところで…」
「それで何とか…」
ありがとうおいちゃん…
こんな話できるのはおいちゃんだけだよ…
真剣に聞いてくれてさ…
「まぁ全部私の運が悪いのが原因だよ!」
「そういうもんかぁ…」
「そういうもんだよ!」
「…」
「いや…嬢ちゃんは運悪くないかもだぞ?」
「えっ?」
私の運は悪くないなんて…おいちゃん優しいな
だけどね、私の運がいいなんてそんなはず…
「!?」
「私の竿が引いてるぅぅぅう!」
「早くしろ!逃げちもーぞ!」
「わ、わかってる!」
「だ、だけど…お、重い!」
「頑張れ!思いっきり引き上げるんだ!」
こ、こんなところで大物が釣れるなんて!
神様は私のことをみててくれた!
いや…このおいちゃんが神様だ!
「いっけぇぇぇぇぇぇえ!」
ザバァァァンッ
や、やった!釣り上げた!
「おいちゃんやった…えっ?」
おいちゃんは尻餅をついている。
そんなに驚くことがあろうか?
「ねぇどうしたのおいちゃん?」
「私こんな大物釣り上げ…た…」
おいちゃんは荷物をすぐさま片付け
逃げるようにその場から立ち去った。
…やっぱりね、神様が私のことなんかみてるはず
なかったんだ…
だって…死体を釣り上げちゃったんだもん…
「私の不運はここまで来たか…」
バァァァンッ!
「死体の次は大爆発…」
どうしよ!どうしよ!今まで冷静だったけど
よく考えたらこの不運の連続はありえない!
いったんこの場から立ち去るしか…
ズルズルズルズル
ダメだァァァァアッ!
この死体私を逃がさないために足に絡みついて
くるぅぅぅう!
「死体は死体らしく死んでろ!」
「この!この!」
ガッ!ガッ!
死体
「い…だい…」
「!?」
「死体が喋ったぁぁぁ!?」
「死体…を蹴るなんて…死者への冒涜…」
「謝罪と…して…爆発の…所…連れてって…」
「連れてったら私を離してしてくれる?」
「…う…ん」
「成仏は?」
「…う…ん?」
「うん?」
「成仏するんだったら私の不運も一緒に持ってって」
「それは…できない…」
「だったら連れてあげ…」
「呪うぞ…」
「超特急ですね、かしこまりました」
これ以上呪われでもしたら来世に響いちゃう
ここは穏便に済ませなくては…
…
「つきましたよ…?」
「これで私の足首と一緒に不運を解いてくれるんですよね?」
…
「?」
「つきましたよ?」
…
「はっ!これはまさに!」
「返事がない。ただの屍のようだ。」
「こんなところで使うことになろうとは!」
でもなぁ~、手放してくれないで死んじゃった…
…
…この子もともと死体なんだよね…?
首の皮一枚のところを私が走ったり蹴ったりしてトドメ刺した訳じゃないよね…?
ボトッ
足首をつかんでた手が落ちる。
あっ、呪いの装備が外れた…
バコォン!
「今度は何!?」
たしかこっちから音が…
女の子…?
女の子が倉庫のシャッターに激突してる
飛ばされてきた女の子
「うっ…」
あっ…まだ息がある
「大丈夫ですか…?」
「うぅ…」
「大丈夫…お願い…だけど…どこかにホルスターが落ちてる…拾って私のもとへ…」
「わ、わかりました」
ホルスターって拳銃とか入れるやつだよねぇ?
たしか…
「えぇっと…」
「あった!これだ!これこれ!」
持った感じ拳銃っぽくはないけど…
まぁ、早く持って行ってあげなくちゃ!
「拾ってきましたよ!これのことですよね?」
…
えっ…まさか…
「失礼します…」
「…」
ドクン、ドクン、ドクン
「あっ…!」
よかった…まだ生きてる…
そういえばさっきの子まだ体温があった…
もしかして生きてたんじゃ…
やめよう!やめよう!考えるのは
コトンッ
?
「あなた何やってんの」
「!?」
あなたって…私?
どこから声がするの?
辺りを見渡しても人影はなくいるのは
倒れる女の子2人だけだった。
「あなたに言ってるの」
「そこで一般人を介抱してるあなたに」
やっぱり私だ…そして声は…上から
倉庫の屋根に声の主はいた。
いったいどうやってあんな所に上ったの?
「私…ですか…?私は見ての通り介抱を…」
女の子
「被害を受けた一般人は後回し」
「あなた巫女ならその事くらい知ってるはずよね?」
「巫女…?一般人は後回し?」
「そもそも被害が出たのはあなたの責任」
「この港から人を排除しなかったのがいけないのよ」
この子は何言ってるの?巫女に一般人は後回し?
「じゃあ介抱前に何をするんですか?」
「あなた本気で言ってんの?」
「本気…ですけど…」
「何も知らないでこの場にいるなんてありえない!」
「あなた巫女でしょ何であいつのこと知らないの!?」
海?海に何かあるの?
「?」
「なんか…黒くぼやけたような物が…見えるけど…」
「そいつを倒すのが最優先、介抱よりもね…」
「行くわよ、あなたの実力を見せてもらう
今後の事も考えてね」