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戦う巫女さん!  作者: さくあ
10/14

あなたのために

「七宮さん!一緒に帰ろ!」


つかさは呆れたような顔をする。


「はぁ…いいわよ…」


「やったぁ~!それじゃあすぐ掃除終わらせちゃお!」


ちとせは掃除用具入れの中からほうきを取り出す。


「あなた本当にそんな性格で疲れないの?上がったり下がったりしてさぁ」


「いや、全然!むしろ下がってるときの方が疲れちゃうよ、だから上がってるときは疲れなんか感じないよ!」


質問と答えが少しずれていることにつかさはまたも呆れ、コイツは馬鹿なんだなと再認識した。


「七宮さんこそ疲れてない?昨日のこともあるし、会ったときから思ってたんだけどため息つく回数も多いし…怒りっぽいし…」


「短気なのは誰かさんがため息をつく原因を作ってるからで、昨日の傷はだいたい癒えたわ」


ちとせは拳をつくり言う。


「七宮さんのストレスになる人がいるなんて!私が排除してあげる!誰!先生?それとも前島!?」


お前だよと言いたい気持ちを抑えた。


「先生とはまだ全然交流ないし、その前島って人とも関わった事ないから、そもそもその前島にあなたイジメられてるんでしょ?どちらかと言えばあなたのストレス対象じゃない」


「そうなんだよぉ~、助けて七宮さん~」


「この間も言ったでしょ、私はあなたのことを友達とは思ってない、だから自分で解決しなさい」


いつも通り冷たい~、家に泊めてくれたときは優しかったのにぃ~


ちとせはまだ、つかさが冷たい理由を知らない…

つかさはちとせに巫女になってほしくなかった

ため距離を置くことで関わりを切ろうとした。


「…わかったよぉ」


「だったら、とっとと掃除して」


結局前と同じで私しか掃除してないじゃん~

ちょっとくらい手伝ってくれてもいいのに…

私の中のいい人ポイントがどんどん減ってちゃうよ


「私帰るから」


「えっ!?何で!一緒に帰ってくれるんじゃなかったの!?」


「誰もそんなこと言ってないわよ」


「いや、だってさっきいいわよ(許可)って!」


「私はいいわよ(拒否)って言ったのだから帰る」


「ちょっと待ってよぉ~」


叫びも虚しくつかさは帰っていった。

教室は静まり返った。


もぉ~!まったく!七宮さん酷い!私を置いて先に帰っちゃうなんて!いい人ポイントマイナスだよ!決めた、もう七宮さんには頼らない!


これまで生きてきて1度たりとも決意が揺るがなかった事はない。


絶対なんだから!


美作家前到着


やっといやな一日が終わる!


「ただい…ま…」


ドサッ


家の光景に驚き肩から鞄が滑り落ちる。


ピンポ~ン


「ん?何?こんな時間に…」


つかさはインターホンをとる。


「はい」


「…み、みまさ」


ガチャ


その相手の苗字を言い終わる前につかさは受話器を戻した。


「ちょっとまだ何も言ってないんだけど!いきなり切るのは酷すぎるよ~!話だけでも聞いてよぉ~!」


ガチャ…


つかさは扉の鍵を半分開け扉が少し開くようにした。


「用件だけ言いなさい」


「家に帰ったら家が無くなってたの!」


ガチャン


勢いよく扉が閉まる。


やっぱり嘘だと思われてる…でも、普通そうだよねぇ…帰ったら家が更地になってたなんて誰が信じるんだか…


ガチャ…


扉の鍵が全開する音が聞こえる。


「やっぱり信じてくれ…!」


ドサッ


数枚の段ボールが外に投げ捨てられ鍵の閉まる音がした。


「いや…段ボールって…ただのホームレスじゃん…」


現状ちとせはホームレスである。


仕方ないからこれで家でもつくる…


「君、何してるの?家の前で段ボールなんか広げちゃって?この家の子かな?」


「あ、いえ…えぇ~と…」


ピンポ~ン


「ちょっと待っててね、あのぉ~すみませんどなたか出てきてもらってもいいでしょうか?」


ガチャ…


「何ですか…」


「夜遅くにすみません、警察なんですけどこの子は…この家の子ですか?」


「いえ…違います知らない子です不法侵入です捕まえてください」


ガチャン!


「…交番に行こうか…?」


「はい…」


通りかかった警察に見つかり補導された。

ちとせは、


人生オワタ


と、思ったがよくよく考えてみればもとから終わってたのだった。

数時間後


ピンポ~ン


「はい?」


「警察ですけど…七宮 つかささんいらっしゃいますか?」


「私がそうですけど…」


「では、少し出てきてもらえますか?」


つかさはすべてを察した上で外に出た。


「君がつかささん?酷いじゃないか、友達を外に追い出すなんて」


「あっ…はぁ…」


「ちゃんと仲直りするんだよ」


「はぁ…」


「それじゃあ仲良くね!お泊まりだからって夜更かししすぎないようにね!」


警察は少し余計なことを言って立ち去った。

つかさはちとせに呆れ顔を向けた。


「ごめん…七宮さんああするしかなかったの…」


「はぁ…よくもまぁぬけぬけと嘘をつくね…」


「家が無くなった事正直に言うと私どうなるかわかんなかったから…」


「そっちは本当だったのね」


「信じてなかったの!?」


「当たり前じゃない!いきなり家に来られて家が無くなったなんて言われて誰が信じるわけ?で、なんて言って釈放されたの…だいたい予想はつくけど…」


「友達の家に泊まりに行ったらケンカになって追い出されたって…あの段ボールは寒さと友達の心の冷たさを耐えるためって言った…」


「よく、段ボールの下りでバレなかったわねぇ

…まぁいい、今夜だけとめてあげる」


「その後は…?」


「自分で考えなさい」


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