another side 01
生まれつき体が弱かった。
だから一応受験して合格した進学校も何日通えるか分からない。私のせいで不合格になってしまった人
には本当に申し訳ないと思う。
病室から見る桜並木。
看護師の人が綺麗ですよ、と言ってカーテンを開けてくれると私は決まって愛想笑い。
「今頃、入学式が終わってホームルームの時間かな」
一人だけの病室。自然に独り言も漏れる。
今頃「あの空席誰だろう」って噂されているんだろうか。恥ずかしい。
私はリクライニングベッドの背もたれを上げて、体育座りになって顔をうずくめた。
コンコン。
扉がノックされた。
私は顔を上げて返事を返す。
「どうぞ」
失礼しますと言って入ってきたのは担当の前橋さん。
ご飯とか植木鉢の花の手入れもやってくれている、私が唯一気兼ねなく話せる人だ。
「楓ちゃん、調子はどう?」
「まあまあですね」
「そう。………それにしても残念だったわね」
前橋さんが申し訳なさそうに言う。
「いえ。べつに前橋さんが気にしなくても」
「でも出席したかったでしょう?入学式」
「どうですかね。もうこういうの、慣れっこですし」
確か中学の時もこんな感じだった。
入学式には参加できず、出席したのは両手で数えられる程度。なのに卒業式だけは出席出来て、周りの目が痛かった。
誰の名前も知らなかった。
そんな経験をしたのだから、今こうして高校の入学式に参加できないことも案外受け入れられている。
「そう。でもねっ」
前橋さんがパンと手を鳴らした。
機嫌がいいみたい。
「今日お友達が面会に来てくれているのよ?」
「友達、ですか?」
「ええ、そうよ」
一体前橋さんは何を勘違いしているのだろう。
私に友達?先も言ったけどろくに中学に行っていなかった私に友達がいるとお思いで?
「あ、あの勘違いでは?」
「いいえ。本人からそう聞いているもの」
本人から?
私は違うと思うけど。
「今から呼んでくるわね?」
「え、ちょっと」
「待っててね!」
そう言って前橋さんは走って病室を出て行った。少しは人の話を聞いてほしいものだけど、多分これも前橋さんなりの責任感であり優しさ何だと思う。
そんなわけで私は暫く前橋さんが戻ってくるのを待った。
そして数分後、病室の引き戸が開かれた。
「前橋さん………あの、」
前橋さんじゃなかった。
そこに立っていたのは見知らぬ私服姿の男子。
誰?
「誰ですか?」
「(うわ………マジで病人だ)」
何かボソッと男が言った。
その時点で私の不信感はマックスである。
「誰、ですか?」
私はナースコールを片手に持って言う。
「俺?お前の旦那だけど?」
私は瞬間、ナースコールのボタンを連打した。
補足。これは同時系列に起きているものです。
情報が足りなくて申し訳ありません。
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