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「もう、機嫌直してよ」

「…………」


 下着の店を出た後、俺と楓はショッピングモールに併設しているカフェに来ていた。

 そして俺の機嫌は現在進行形ですこぶる悪い。

 何でか?そんなもの、辱めを受けたからに決まっているだろう?誰がこのんで女子の下着を選んであまつさえそれを生で見ようと思う?

 目が腐るわ。

 こう言うのは妄想だけで十分だ。今の俺には刺激が強すぎる…………。


「ほら、私のケーキ一口あげるから」


 そう言って先ほど注文したチーズケーキをフォークで刺し、俺の近くまでよこす。


「いらない」


 俺は顔を背ける。


「そう言わずに。………あーん」

「俺は子供か!」

「私から見れば子供だけど」

「…………」


 そうだった。コイツ未来から来たんだった。


「食べないの?」

「いらない」

「じゃあ私が食べる」


 そう言ってチーズケーキを自分の口へ。


「ったく」

「あ、やっぱり食べたかった?」

「違うわ!」

「だからさっきのはごめんって」


 まあ、たかが下着の店に入っただけでここまで機嫌を損ねる意味は無いんだけど。


「はあ………もう二度とするなよ?」

「あ、それ何回か言われたことある」

「じゃあ今後もやるってことだな」


 未来の俺、気を付けろよ?いくら下着が見たいからって絶対に店には入るな。

 それは一時の気の迷いというやつだ。


「そろそろ許してよ。私も寂しいんだけど」

「は?」

「だって折角のデートだよ?」

「…………」

「楽しまなきゃ損だし」

「…………」

「なにより、」

「…………」

「いじった時の反応がない」

「おい!」


 一瞬マジで可愛い奴って思っただろうが。


「はあ………分かったって」


 だがまあ、俺もずっと機嫌を悪くしているのも子供みたいだ。

 ここは大人の対応といこう。


「ホント?」

「あのな、少しでも反省の態度を見せろ」

「凄く反省した」

「ピンピンしてるけどな」


 口だけは達者な奴め。


「………で、次はどうする?」

「え?帰るけど?」

「はあ?」

「だってもう夕方だし、夕食の準備しないと」

「…………」


 ニヤリと楓が笑う。

 いや、これっぽっちもこの後もどこかに行くなんて思ってなかった………これっぽっちも。


「あれ~」


 俺は慌てて顔を背けた。


「もしかして楽しみにしてた?」

「し、してない!」

「私はそう言う反応をしてくれることを期待してたんだけどな」

「…………」


 えっと、それはつまり?


「めんどくさっ」


 そう言うことだ。

 俺が止めると思ってわざわざ思ってもないことを言った。そう言うことなんだろう?

 どこまでも素直じゃないな。未来の俺の苦労が目に見える。


「あはは。じゃあどうする?」

「今日は外食でいいだろ」


 俺はそんな提案をする。


「だね」

「何がいい?」

「んー、ハンバーガー?」

「流石にそれはない」


 もう少しオシャレなところだろ、普通。

 だってこれは仮にもデート、何だろう?


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