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赤い髪のリリス  作者: LLX
51/53

51、放課後

 カラーンコローン


あれから2週間程が過ぎた。

今日は金曜日、来週月曜は休みだ。今、ようやく授業が終わった。


「んじゃかえろ!かえろ!」


みんなバラバラと教室を出てゆく。


「よしっ!ヨーコ!行くよ!」


「ほら!河原!アイ!行こうぜ!」


四人がまた、何やらカバンにリュックまで背負って急いで教室を出てゆく。

友人が、何だか嫌そうな顔でそうっと訪ねてきた。


「あの・・アイ達、これからどこか行くの?」


「うん!ハイジの家にドラゴンとプチ家出!」


何か訳の分からないことを言いながら、異様に元気がいい。


「あ、そう・・・気をつけてね・・」


「うん!じゃ!いってくるねー!」


バタバタ騒がしく走ってゆく。


「やっぱ、まだ病気なんだ・・」


友人達はその背中を見送りながら、温かく見守ってゆこうね、と皆で話し合っていた。




 キョロキョロ辺りを窺い、四人でこそこそ用務員室に入る。

爺は相変わらずのんびり、畳に寝ころび茶をすすっていた。


「来たよ!ちゃんと泊まるって言ってきた!早く行こう!」


はやるヨーコの気持ちも分からないではない。

何しろあの後、リリスの意識が覚めない内に、さっさと帰されてしまったのだ。


「リリス、ちゃんと生きてるんでしょうね?元気してるの?」


爺が鼻をほじりながらよっこいしょと起きる。

げえっ!

これのどこが精霊なのかリリスに聞きたい。


「うむ、しかしどうも元気が無くてな。」


爺さんの神妙な様子に、みんな上がり込んで並んで座った。


「何かあったの?」


「うむ、あの子はもう、自分の仕事はすべて終わったと思っている気がするのじゃ。」


皆が俯いて、あの山でのことを思い浮かべる。

崖から身を投げたあの時、セフィーリアがいなかったらと思えばゾッとする。


「あの時の言葉ってさ。自分が、死ぬために従者になったと思ってるのかな?」


「従者になれた理由が、実力じゃないって?」


「ん、リリスはそう思ってないと思う。」


「馬鹿なことを・・わしが知る限り、リリスは最高の魔導師じゃ。他に代わりは無い。」


「それにあの火の奴が怒るのも無理ないよねえ。原因をはっきり公表すれば良かったのにさ。

操られてましたって。」


「そうだよ、何も殺すこと無いよ。」


しかし、爺さんが首を振る。

これはそんな程度の問題ではないのだ。


「操られていたとはいえ、どんな事をしたかは今のリリスに対する村人の反応を見ればわかろう。

それ程恐ろしかったんじゃ。

この町くらい、一晩で廃墟じゃ。凄まじかった。」


「一晩で?!はあ・・・」


成る程と言葉もない。


「巫子は生まれつくとすぐに神殿へと送られ、出生はまったくわからないからな。

だからこそ彼女が王家の出だとばれるのを恐れたのだ。不幸なことじゃ。」


ズズズッと爺さんが茶をすする。

ふうんと、アイ達が頷いた。


「でもさあ、巫子さんって何で出生を隠すの?」


「巫子はな、腹にいるときに決められるのじゃ。

皆が傅く巫子の、実際の身分が高いときはいいが、低いと困るだろう?権威の問題じゃよ。

だからセフィーリアはそれを嫌って、神殿を閉じてしまった。そして魔道師を育てることにしたのじゃ。」

なるほど、それで水と火は神殿があるのか・・と、するとこの爺さんは?

ジイッと四人が爺さんの顔を見る。


「もちろんわしの神殿はあるとも。

しかしのう、地の巫子は男ばっかじゃ、色気がないから行きたくない。」


おい、おい、そう言う問題かよ。

呆れた爺様だ。


「ねえ、あのラーナブラッドって何?生きてるみたいな石だね。

子供が十三になれば真っ白になるなんて。誰かが誓いをリセットするの?」


「あれは・・言うなよ。」


「うん、言わない、ここだけの秘密ね。」


「あれは・・フレアの額の目じゃ。」


ゲエエッ!!目玉!目ン玉ああ!!


アイが一番ショックを受けた。何しろずっと胸に入れていたのだ、目玉を・・


「王位継承を我らが認証するよう決めた時、フレアはそれに自ら提供した。

いろいろあってな、王は我らが決める。

さて、遅くなったな、行くぞ。」


爺がヒョイと爺らしからぬ軽さで土間に下りる。

そして何だか少し気が重くなった四人と共に、アトラーナへと向かった。

みんなでまたアトラーナへ。

爺さんはなぜこの中学にいるのか不思議です。

それではまた

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