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赤い髪のリリス  作者: LLX
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2、放課後はショッピングセンターへ

「ん?そうだ。」


「何?」


アイが思い出したようにポケットを探り出す。


「これ、これのせいで今朝遅刻したんよ。

朝からさあ、近道で通る公園でね、拾ったんだ。綺麗じゃん。」


アイが取りだしたのは、宝石にしては大きいキラキラ光る、ホワイトパールの楕円の石だ。

ペンダントらしいが、細い金の鎖が途中で切れている。


「綺麗だねえ!ほら、日にかざすと虹色に光るよ。パールとは違うねえ。」


見るからに不思議な輝きの石だ。

それに感触も、まるでゴムがコーティングされているような感じでもある。


「綺麗だね、ガラスかな?まさか宝石じゃないよね。

何かさ、ガラスみたいなのに表面がポヨポヨ少し柔らかいよ。」


「うん、案外安っぽいおもちゃかもね。」


「こらっ!お前達、真面目に掃除せんか!」


怒鳴られて振り向くと、作業着姿の用務員の爺さんが立っている。

白い頭にシワシワの爺様が、どうして定年もなくこの学校の用務員なのかと、この学校七不思議の一つにもなっていた。


「はーい、はいはい、そーじしてまーす!」


「掃除しとらんから言ってるんだろうが!まったく近頃の若いもんは!」


ぶつぶつ言いながら立ち去ってゆく。


「ちぇっ!さっさとくたばれ!爺!」


アイは舌打ちながらちょっと腹立たしそうに石を制服のポケットに放り込み、気を取り直して再び掃除を始めた。



 退屈な始業式も終わり、日が高くなってお腹が寂しい。

始業式も昼前には終わったが、まだまだ帰るには早い時間だ。

昼ご飯もかねて、二人は近くのショッピングセンターに立ち寄ることにした。

最近は郊外に大きな店が出てきて、ぶらぶらするのにもってこいだ。

食事前に上階のウインドーショッピングを楽しむと、嫌なことも吹き飛んでいい気分だ。

これで金があれば最高だが。

世の中は厳しい。


「またショールでも編もうかな?春先は丁度いいんだよねえ。」


ヨーコが手芸の店の前に来ると、ウインドーを覗き込みながらぼやいた。

店先には、モチーフ編みのカラフルなマフラーや春物のセーターがぶら下がっている。

アイは溜息をつきながらヒョイと肩をあげた。


「いいわねえ、ヨーコは器用だからいいわよ。

あたしなんかさ、あんなチマチマした作業には向かないのよねえ。

ヨーコは美人の上に取り柄が多くてさあ、羨ましいわあ。」


「何言ってンの!あんたはあんたなりに可愛いじゃん。あたしはふっくら健康的で、明るいアイが好きよ。」


キラッキラッキラッ!

アイの瞳が輝く。


「好きっ?マジ?ほんと?アイもヨーコが一番好きっ!」


ポンと飛びつき、ギュウッと抱きしめた。


「おおっ!見ろよ!レズコンビがまた抱き合ってるぞ!」


「アイ、ヨーコ大好きー!チュッチュッ!

ヨーコもー!ブチュッ!ぎゃははは!!」


この聞き慣れた声は、同じクラスの男友達だ。

本人達は知らないが、女子の中では人気ある。二人共ほんの少し茶髪なだけで、結構真面目。口は悪いが黙っていれば、アイドルの佳作と言ったところだ。


「何だ、河原と吉井か。

そっちこそホモコンビじゃん!やあねえ、男はチンポでしか物考えないんだから。」


「だぁー!相変わらず下品な女!やだねえー。」


「フン!あたし等、あんた達とは口聞かないことにしてんの。あっち行ってよ!しっしっ!」


追い払われて、吉井がムッとする。


「何だよ!まだ映画のこと根に持ってるわけ?

しつっこい女!バーガー一個、おごったろーかなーなんて思ったのにさ!」


「えっ!マジ?!」


アイの目がキラキラ輝いている。

呆れてヨーコが項垂れた。


「あんた、今時バーガーなんて百円もしない物につられて・・ああ、情けない・・」


「いいじゃん、いいじゃん!

男二人、寂しい食事にお情けで、美女二人花添えてやろうじゃん!」


「誰が美女って?」


「ホッホッホッ!」


アイはすっかりバーガーモードに突入。

ヨーコも確かにお腹はすいたし、映画の件もそれほど怒ってなかったし、まあいいかと四人連れだって階下へと下りていった。

読んでて編み物する若い子が今どきいるのかなあと・・

時代だなあ・・

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