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「と、いう訳で、この二人も参加したいんだって。」
傾き始めた陽が、窓から差し込む放課後、教室には疎らに人が残っている。
余計な二人を引き連れてしまい、少し申し訳ない気持ちで佐藤に事情を説明する。
「お、いいね。オカルト研究部、ここに設立だな。」
「よろしくね、佐藤部長。」
いつもより、2オクターブほど高い声で白川は言う。そもそも僕はそんな部に入部するつもりはない。
佐藤がネットで調べた情報を、二人にも話す。
「天気予報によると、今週は晴れの日が多いみたいね。あ、でも週末には天気も崩れるみたいだから、丁度いいんじゃない?」
日吉は早速携帯で、天気を調べながら言う。
「それじゃあ、今週の土曜日、午後八時に現地集合だな。」
話がトントン拍子に決まってしまうが、僕は思いついた疑問を女子二人に投げかけた。
「白川も日吉も、親は心配しないのか?」
「大丈夫大丈夫、なんとでも言い訳はできるから。ね。」
二人は目を見合わせてクスクスと笑い合う。
「じゃ、お互いに連絡先を交換しあいましょうか。」
元気よく日吉が切り出した。
これで、佐藤目当てである二人の計画の、七割は達成されたのだ。オマケである僕は呆れ顔をしながらも、連絡先を交換したのであった。