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「ねえねえ、佐藤君と辰子山に行った話、もっと詳しく聞かせてよ。」


午前中の授業が終わった頃、そう話しかけてきたのは、隣の席の白川だった。


「あ、私も聞きたいな。」


白川の前に座る日吉もつられてふり返る。


「詳しくって言われたって、さっきの話が全てだよ。」


白川はその名の通り、色白の、一見物静かそうな、お嬢様風女子であるが、その見た目とは裏腹に、何事にもアクティブに関り、その場に一波も二波も起こす、やっかいなタイプだ。


一方、日吉は、身長が高く姉御肌で、物怖じしない姿勢から、女子から圧倒的信頼と人気を誇る、まとめ役的な存在である。


「もっとなんかあったんじゃないの?勿体ぶらないで教えなさいよ。」


「佐藤に直接聞けばいいだろ。」


この二人は、単純に佐藤が目当てであることは明らかだったので、僕は少しぶっきらぼうに言う。


「全く、わかってないねぇアンタは。」


日吉は長い髪を払いながら、溜め息混じりに言うが、僕は、彼女らの下心は十分すぎる程にわかっているつもりであった。


それにしても、肝心の佐藤は、なぜあの時、水神様に彼女が欲しいなどと願掛けをしていたのだろうか。これ程までに人気があるのであれば、既に願いは叶っているも同然なのではないのだろうか。


「そういえば、次は雨の日とか言ってたな…。」


つい口が滑ってしまったが、気付いた頃にはもう遅い。目の前の二人が、新しいオモチャを手に入れた子供のような笑顔を浮かべている。白川は、待ってましたとばかりに手を挙げて言った。


「じゃあ、私ら二人も参加決定!」

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