表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/12

11

白川と日吉には、今回の探検は中止にしよう、とメールを送った。


二人とも、残念がってはいたが、この豪雨の中では仕方がないと見て、合意してくれた。


手持ち無沙汰になってしまった僕は、ネットで辰子山の事を調べる為、パソコンを立ち上げた。


検索をかけると、数件のヒットがあった。


その中には、佐藤の話す通り、雨の日の夜、水神様の像が動くのを目撃した、という情報が僅かながらあった。


夏ということで、肝試しをする人が増えているのか、ここ最近の投稿もあった。


その投稿者は、夜中、柵を乗り越え、水神様の前で数人の仲間と写真を撮っていたところ、白い服を着た女性に注意を促されたという。


その日は、他に変わった出来事は無かったようだが、その二、三日後から、仲間の一人の様子がおかしい、と書き込まれていた。


充血した目で、ぶつぶつと独り言を言うようになり、簡単な受け答えはできるものの、酷く怯えた様子になってしまったらしい。


白い服を着た女性というのは、まさか先週僕らが出会った彼女であろうか。夜の辰子山に肝試しに来る人間に、頻繁に声をかけているのだろうか。一体何者なのだろう。そして、様子のおかしい仲間というのは、一体何に怯えているのだろうか。


様々な疑問が頭をよぎったが、あくまでネット上での噂。どれもこれも、確証的なものが無い為、僕は考えるのを辞めて外を見る。


一時間以上強く窓を打ち付けていた雨は、次第に勢いを弱めていったが、依然降り続ける。


その後、土日で佐藤からの連絡は無いまま、月曜の朝を迎えた。学校で会ったら、彼に文句を言ってやろうと思っていたが、それは叶わなかった。


担任の教師から、僕らは佐藤の失踪を告げられた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ