森の中での一致団結!
新たにたくさんのモンスターを従えた俺はようやく森の探索に出掛けるのであった。
しかし、森を歩いていると新たに仲間になったゴブリン達とゴブぞう野郎が収集のスキルのせいであちこち動き回っているため、なかなか思うように進むことが出来ないでいた。
このやろうども〜〜!命令2のスキルじゃまだ完璧に従えることは難しいか……。ゴブぞう一体だけだったら一発殴って無理矢理従わせることが出来るが、これだけ多くのゴブリン達にそれをやったらきりがないからな。
多くのモンスターを従えることの難しさを俺は噛みしめていた。
「仕方ない。グリぞう!やれ。」
グリぞうにそう指示するとグリぞうはゴブリン達に向かって吠える。
グオオオオオオオオオオ!
その鳴き声を聞いたゴブリン達は慌てて隊列にもどってきた。情けないが、今はこの方法でこいつらを従えていくしかないな。命令のスキルがレベルアップするまでの辛抱だ。俺は俺で忘れずにゴブぞうを一発殴っておく。
するとグリぞうはもの欲しそうな目でこちらを見ているため、グリぞうの頭も一発殴る。
グオオ♡
………気持ち悪いやつだ。スタンチェリーで目覚めちまったんだろうな。気の毒に…。
俺はこんなモンスター達を見て、軽くため息をついて森を進んで行くのであった。
しばらく森を進んでいると、新たに仲間になったモンスターであるウルフがなにかに反応した。
ガルルルルルぅ
こいつがこのように何も見えずとも、何かの気配を感じとることができるのはウルフの嗅覚のおかげだ。ウルフは嗅覚がかなり優れているため、匂いで相手の場所を突き止めることができるのだ。
「なんだ?何かいるのか?」
俺達はウルフを先頭にゆっくりと行軍していく。すると、ひらけた平野へと抜けた。周りはまだ森に囲まれているがこの一帯だけ木がないので見通しがよい。
すると平野の真ん中に何かが横たわっているのが見えた。
「なんだ、あいつは?」
俺達は慎重に横たわっている何かに近づいていく。
「これは…………、ひどいな。」
そこに横たわっていたのはひどい怪我を負っているモンスター。ユニコーンであった。
ユニコーン。このモンスターは、見ることがなかなかできないと言われている希少種である。ユニコーンの素材は高値で売れることで有名であり、特にユニコーンの特徴でもあるきらびやかな角を売れば莫大な金が手に入るという。
「どうしてこんなに傷を…、いったい誰がこんなことを?」
ユニコーンの体をよく見てみると、切り傷や矢がささっていた後などが多く見られた。
「おそらく人間の仕業か。ユニコーンの素材目当てでこいつを襲ったんだろう。」
それにしてもユニコーンの素材か……。じゅるっ……。
いや、だめだ!だめだ!こんなに怪我をして弱っているのだから助けてやろう!うん!世界を征服するためにはそういった配慮も必要だろう!決っして金儲けをしたいなんて考えてないぞ!うん!
そういって邪な気持ちを無理矢理なくし、ユニコーンを助けてやることにした。
俺の従うモンスター達は何故か俺にじとっした目を送ってきていたが、気にしない気にしない。
「よし!そうとなったら怪我の手当てだ!ゴブリン達!お前達は何か食べ物を取ってこい。この際、スタンチェリーとかでもいいから栄養がつきそうなものやHPが回復しそうなものをガンガン取ってこい!さんざん収集してきてるんだからたまには役立てろよー!」
そう指示を出すとゴブリンたちは一同に
キーーーーーー!
と鳴き、食べ物を探しに森に入っていった。
「よし!ウルフ、サイホーン、コンドルはこの周囲にモンスターや人間が近づいてこないか見張りをしろ!ついでにゴブリン達の護衛をよろしく頼む!特にウルフはその嗅覚で索敵を中心にして、見つけたら他のモンスターと俺に報告しろよ!期待してるぜ!」
ガルルルルルルルルル!
バルゥゥゥゥゥゥゥ!
ギャーース!ギャーース!
そう大きな鳴き声を残し、3体はそれぞれ散らばっていった。ちゅんちゅん野郎…。珍しくちゃんと鳴いてくれたな。うれしくなんかないぞこら。
「グリぞう!お前は俺とユニコーンの側にいろ!俺達の護衛はお前に任せる!もっとも重要な任務だ!命懸けで俺達の命(俺の命)を守れよ!」
グオオオオオオオオオオオオオオ!
グリぞうの大きな返事を確認して安心した俺はユニコーンの治療に集中していくのであった。