大幅な戦力アップ!
グリぞうとの戦闘で肉体、精神ともに相当疲労した俺達はその後ぐっすりと眠った。
翌朝、俺は目覚めた後モンスター達をたたき起こすがグリぞうはなかなか起きない。
「そうか。これはこいつの持っている睡眠3のスキルの効果か。スキルも良い効果だけとは限らないんだな。」
その後根気よくグリぞうを起こすが、まったく起きる気配がないので、大きな口にスタンチェリーの束を入れてやった。すると自らの体の震えによって目が覚めたので、これからこいつを起こす時はスタンチェリーを使おうと密かに考えるマコトであった。
ちなみにこれによりグリぞうにスタン耐性1がついた。
俺達は洞窟を出るが、まだ出発はしない。一つ気になることが残っているからだ。
それはグリぞうのスキルである統治1のことだ。なぜグリぞうがこんなスキルを持っているのだろうか?俺はもしかするとグリぞうがこの辺りのなわばりボスであるのではないかと考えた。
なわばりボスについて覚えているだろうか?
なわばりボスとは、ある地域に住んでいるモンスター達を束ねているボスのことである。このモンスターを服従させることにより、そこのなわばりのモンスター全てを服従することができるのだ。
こいつが俺の考えた通り、なわばりボスだったら大きな戦力アップが期待できるぞ…!
「グリぞう。この辺り一帯のやつに聞こえるように咆哮を使うんだ。」
このスキルは相手に恐怖の状態異常を与える効果がある。なわばりのボスであるモンスターの咆哮を聞いたらこいつに従っているモンスター達も集まってくるだろう。
グリぞうは大きく息を吸い、おもいきり咆哮した。
「グオオオオオオオオオオオオオオオ!!」
すると、辺りの草むらや木がかなり揺れる。そして多数の生物の足音が聞こえてくる。しばらくマコト達は洞窟前で待っていると…
「ビンゴ!やっぱりお前ここのなわばりボスだったのか!やるじゃないか!」
上機嫌で前に広がる景色を見ながら言う。そこには数十体ものモンスターが並んでいた。
「いいか!お前達!ここのなわばりボスであるグリズリーは俺に従った!よってこれよりお前達も俺に従うこととなる!わかったやつは返事をしろおおお!」
きー。
がお。
ばるぅ。
ちゅん。
あちこちからまばらにやる気のない返事がする。こいつら…………。
それを見かねたグリぞうがこいつらにむかって
「グオオオオ!」
と吠えた。
キーーーーーー!
ガオ!ガオガオ!
バルルルルルルぅ!
ギャーース!ギャーース!
な、なめやがって……。最後のやつとか鳴き声代わってんじゃねーか!なんだよちゅんって!すずめか!
その様子を見たグリぞうは俺に擦りよってくる。
なんだこいつ?ご機嫌でもとってるつもりか?ふんっ!逆効果だこのやろう!
腹いせに俺はグリぞうの口にスタンチェリーを放り込む。
「グ、グルぅ♡」
こいつはとてもうれしそうな表情を浮かべながら震えていた。
こ、こいつ………!ドMか…………!
グリぞうの意外な性癖がわかってしまった俺はこいつにスタンチェリーを使うことをやはりやめようと決心するのであった。
ふとゴブぞうの方も見ると、こいつはこいつで多数のモンスター達の前で偉そうに腰に手をあて、胸を張って立っていた。その様子がなんかむかついたので頭を殴っておいた。
こんなやつらが俺達が従えるモンスター達なのである。
これから大丈夫なんだろうか………?
新しく仲間になったモンスター達を紹介していこう。
まずはこいつ。ウルフだ。モンスターランクはY。ゴブぞうの一個上だな。柔らかそうな毛並みをしていて、なかなか鋭そうな牙をしている。ステータスを見るかぎり素早さが秀でているのが特徴だろう。
次はこいつ。サイホーン。モンスターランクはX。こいつの特徴はなんといっても角。この角を使った一撃はかなり強い攻撃となるだろう。ステータスでは筋力と耐久、そしてHPが秀でていた。なかなかの戦力だろう。
最後は俺にはちゅんちゅんと鳴き、おちょくってくるモンスター。コンドルだ。モンスターランクはY。ピンク色の体をしていて長い足に、長いくちばしを持っているのが特徴だ。こいつが空を飛べたら楽に森を抜けだせるのではと考えたが、どうやら飛べないらしい。……無能なちゅんちゅん野郎め。ステータスでは素早さが秀でている。
あとは全てゴブリンである。前述した3体のモンスターを中心に部隊が分かれているようで、ゴブリンがこいつらに従っているというような感じだ。
こいつらが部隊長か……。不安だ……。
そんなことを考えているとちゅんちゅん野郎にふんをかけられたので一発殴っておいた。
こうして俺は新たな戦力として、ウルフ1体、、サイホーン1体、コンドル1体、ゴブリン12体を獲得したのである。
ちなみにこいつらを仲間にしても経験値は入らなかった。どうやら直接モンスターを使役しなければ経験値は入らないようだ。やれやれだ。