温泉宿の一日
続きです
そんな戦闘を何度か繰り返した後、やっと山奥にある小さな村に着く事が出来た。陽が落ちる前に辿り着けたのは僥倖といえよう。
夜の帳が降りた森は視界が悪く、遮蔽物も多い事から土地勘が無ければ名うての強者ですら無事では済まない。何よりも宿で食事を摂れるかどうかで翌日のコンディションに多大な影響が出るのだ。
「いやぁ、こげな田舎さよう来んさったね。ドロッセルマイヤー様と他3名、確かに承ってるでの」
いつの間に予約入れてたのだろう…。どうやらこの山村はマニアの間でも有名な秘湯があるらしく、出立前の街のギルドで妙に熱心に交渉してると思ったらこういう事だったのかと三人は納得した。
ドロシー達以外にも何組かの宿泊客が居るようで、噂はガセでは無いようだ。
「へぇ、ちゃんと露天風呂は“貸し切り”にさせて戴いてますで、ユ〜ックリしてくらっせ」
『……ッ!?』
露天風呂!?しかも貸し切り!?このキーワードにブリック達は色めき立った。それまでは川や泉の水で身体を拭うのが当たり前で、寒冷地ではそれもままならず、随分嫌な思いもしてきた。
一緒に旅を始めて間もない頃、ある廃村で岩などで作った土台の上に半分に切った金属製の樽を乗せて、中に水をはり、下から薪を焼べて火を熾こした物にドロシーが浸かっていた時は自分の身体で出汁でもとる気かと笑ったが、実際に自分が使ってみるとその心地好さに驚いた。特に温めだとまるで母の胎内にいるような安らぎすら感じ、以来ドロシーの入浴法に嵌まってしまっていた。
案内されたのは本館から少し離れた場所にあるこぢんまりとした異国風のコテージ。
豪奢では無いが実に心安らぐ雰囲気が漂っている。
「どンぞ、ごゆっくり…」
ススッと引き戸を閉じる女性従業員。この“離れ”と呼ばれる宿泊施設を使うのは主に貴族御一家やあまり他人に知られたくない関係を持つ者、果ては節制を宗とする某宗教系のお偉い方々などなど…。とても一介の冒険者がおいそれと使えそうな代物では無さそうだ。
何故そんな施設を?との疑問にドロシーいわく、「ん?だって源泉見付けたの僕なのデスよ」だそうで、どうもブリック達と出遭う前に色々とやらかしていそうだ。
外観の割に室内は以外と広かった。居間、寝室、洗面所、テラスなど、豪華さは無いが素朴な調度品が落ち着いた雰囲気を作り出している。
また居間には温かな食事も用意されていた。ジビエというのだろうか、見た目の派手さは無いが素材を吟味し、その持ち味を最大限に引き出す調理法が施されている。もし自分達だけで泊まるとすればどれだけの金貨が必要だろうか、あまり考えたくない。
先ずは荷物を部屋の隅に置いてから食事を戴く事にした。温かいものは温かい内に食べた方が美味しいのだ。ブリックとライアがおかわりで争う横でシレッと自分の分だけをつぐアクロを眺めながらドロシーは食後のお茶を淹れて一息吐くのだった。全員が食事の余韻を愉しんだ後、ドロシーが着替えを持って裏木戸を開ける。
「では、露天風呂に行くデスよ〜」
そこからは細い登りの階段が続き、その先の大きな一枚岩の中に湯殿があるという。出入口は一ヶ所のみ。また一枚岩の一方だけが拓かれており、風光明媚な絶景が愉しめるという。
九十九折りの階段を登った先に岩陰が見えてきた。
「露天!露天〜!!」
「……貸し切り、掛け流し?」
「ところで、洞窟風呂なんてマニアックなのどうやって見付けたニャ?」
「ン〜、まぁ偶然デスよ。ちょっと練習してたら《雨垂れ一滴、岩をも貫く》ってネ!」
三人共『ふ〜ん』と軽く流したが、この堅い岩盤をドロシーが抉り抜いたって事なのでは無いだろうか……。
―洞窟露天風呂入り口―
何かの呪いだろうか、少し狭い入り口には七五三縄と御幣が飾られていて、傍の看板にはこう書かれている。
《男娘之湯》
泉質:弱アルカリ性炭酸泉
効能:打ち身・切り傷・霜焼け・神経痛・関節痛・内臓疾患・疲労回復・美肌・精力増進・子宝寿授…
――ネーミングは頭痛が起きそうだが、まさに万能だった。
乙女が“美肌”のワードを見逃す筈が無い。ドロシーが腰を屈めてスッと潜った後にブリック達もいそいそとそれに続く。
ガン!ゴン!ゴゴン!
「っ痛ぇーーーーーッ!?何だコレェ!」
「ドロ姫ぇ〜、どうして入れないニャ?」
「……結界、封呪?」
「オイ、ドロシー!どういうこった?コレはァ」
薄い虹色のカーテンの隙間から胸元を隠したドロシーが顔を覗かせる。
「エッ?だからちゃんと言ったデスよ。《貸し切り》って…」
『テメェ一人かよッ!?』
思わずシンクロして叫んでいた。
いくら(ドロシーの所以で)性別が替わったとはいえ、他のオッサン達のを見るのも嫌だし、見られるのも嫌だ。ここまで来て共同浴場なんてまっぴらゴメンだ。精神は乙女のままなのだから。
「離れにもちゃんと同じ源泉の内湯があるデスよ」
そういう問題じゃない。何故わざわざこんな山奥まで来て内湯に入らねばならないのか。確かに離れを借りてくれた事にはブリック達も配慮を感じ無いではない。
だが折角目の前に秘湯ともいえる洞窟露天風呂があるのにソレは無いんではなかろうかという事だ。
怒りMaxなブリックがEX刈刃で斬り付けても傷ひとつ付かない。どれだけ堅い岩なんだと思うと同時にどうやって掘り進んだんだろうと背中に嫌な汗が流れた。
「まさか“そんなの”ぶら下げて一緒に入るつもりだったデスよ?看板を良く読むデスよ!」
改めて説明文を目で追う。
《……精力増進・子宝寿授》
「孕みENDなんて冗談じゃ無いデスよ」
《現状》
ドロシー
身体:女性 精神:男性
ブリック
アクロ
ライア
身体:男性 精神:女性
……問題無くね?
「お〜い、入れてくれよ、仲間だろ?ちゃんと隠すからよ〜、アタシらだってこんなん見たく無ぇよ」
「……心、女、同性に興味無い」
「ライアは発情期まだだニャ〜。安全ニャ〜」
言葉だけだとかなり不穏な会話だが、あくまでお風呂の話である。
「………襲わないデスよ?」
「……貧ヌー、無い」
「そんな気になる訳無いニャ」
「擦らないデスよ?」
「触りたくも無ぇんだよ!」
「……洗わないと不潔デスよ」
「テメェ、ワザとだろ!」
取り敢えずこのままでは埒があかないのでドロシーが間欠泉のように湯を噴き上げた仕切りを造る事で話はついたようだ。
………何でアクロが石壁造らないんだろ?まぁ3歩動いて壁が消失したら大惨事だが。
「うぉっ!?肌がツルツルしてきた」
「……癒される?」
「いい気持ちだニャ〜」
いつもはピンと張っているライアの髭と耳がだらし無く垂れ、如何に気が抜けているかが判るが、肌がツルツルするのはアルカリ性分によって表皮が溶けているという説があるが大丈夫だろうか?
「ふぃ〜」
ドロシーはというと浴槽の石垣に肩を乗せ、全身の力を抜いてる為に脚が若干拡がっていて少々はしたない姿である。といっても精神は男性なので仕方が無いといえば仕方が無いのだが…。
お風呂なので当然裸なのだが残念な事にツル〜ンでペタ〜ンな幼児体型なので、湯気も謎の光も活躍のし甲斐が無いというものだ。 まぁよくよく目を凝らして見れば若干膨らんでるような気もしないでも無いかな〜?なレベルだ。
見た目でいえば精々が12〜13歳だろう。中身は17歳のチェリーだが。かくいうブリック達も見た目は14〜17歳だが中身は20〜23歳の喪女だから似たようなものか。とかくファンタジーの世界は見た目と実年齢が合致しない場合が多々ある。エルフやドワーフなどは人間の3〜10倍寿命が長いし、魔族や神族に到っては語るも馬鹿らしい。
分類に“ロリBBA”というのもあるらしいので要注意だ。
――さて、閑話休題はこれまでとして。折角の温泉回である。本来ならここで互いの身体を洗ったり、胸を揉み合ったりとのキャッキャッウフフな桃色展開が行われる筈だが、唯一の女体はツルペタで、他の3人に至ってはブ〜ラブラである。
――何?この苦行な状況。
そしてそのブ〜ブラ3人側に少々困った事案が発生している。
ドロシーが作り出した温泉を利用した噴水的仕切りであるが、実はあまり役に立っていなかった。
元々のお湯が無色透明であり、多少ボヤけているものの、シースルーカーテン程度の役目しか果たしていないのである。まあ、深さ70cmの底が綺麗に見えている時点で気付くべきなのだが…。
そして表の看板、《……精力増進・子宝寿授》は伊達では無かった。
ブリック、アクロ、ライアの三人は皆、顔を真っ赤にしてかつて無い程のギンギンを必死に内股で挟み込んで己と格闘し、困惑しているのだった。
(な…何なんだよ、コレは…)
(……熱い、硬い、痛い)
(こ…コラ、顔出すんじゃ無いニャ)
所謂《Standing by ……complete!》な状態である。脚で挟み込んだはいいが、上体を反らすと骨も無いのに骨折しそうな程に痛みが走る。これまで彼氏も無く、身近な異性である親兄弟のそんな状態に出くわす機会も無かった為、ギルドや養成所の同年代達の噂話では聞いた事があるものの、対処法に到っては実質無知なのである。
水壁の向こうでは無責任にも呑気に鼻唄まじりに身体を洗うシルエットが見え、牡としての本能をこれでもかと刺激してくる。
まさか対処法を聞く訳にもいかず、朧げに知る手段も周りの眼があっては実行し辛い。
こうなれば治まるまで待つしか無い!それが彼女達の結論だった。治まるのが先か?逆上せるのが先か?
ここで無慈悲なる宣告が下る……。
「そろそろ上がりたいから先に出て行って欲しいデスよ」
三人は手拭いを忘れていた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
さて困った…。そう考えていたのはドロシーだった。
流石に上質な洗浄果実である。お陰で頭も身体も綺麗になった。 髪にこびり付いていた砂埃も肌にベト付く汗も流れ落ち、ストレスも疲労も心身ともにリフレッシュ、……ゴメン嘘吐いた。只今絶賛蓄積中。
原因は隣の三人。こちらとしては逆上せて湯中たりする前に早く出て行って貰いたい。
この温泉にはよく涸れかけた爺や、盛りを過ぎた好き者のオッサン達がやってくる。また長年子宝に恵まれない夫婦もそうだ。
この温泉は血流以外にも色々と活性化させる効能があるらしく、特に男性には霊験あらたかだ。
それが証拠に若い娘を何人も嫁に迎えたが世継ぎに恵まれなかった何処かの齢75歳超えのエロ爺(国王)がこの温泉に来ててからというもの、年甲斐も無く俄然ハッスルしまくって、国内どころか他所にも御落胤孕ませちまったのが原因で世継ぎ処か跡継ぎ巡って暗殺・毒殺なんでも御座れ、隣国巻き込んでの血で血を洗う国家間の大戦にまで発展したという歴史がある位だ。
それが話半分にしても恐らく若い隣の三人は大変な事になっているだろう。いくら起伏に乏しいツルペタボディーとはいえ、野獣寸前な奴らの前に無防備な状態で現れたくない。エロゲ知識を参照すれば丁度全てを埋められてしまうだろう。それは大変よろしくない事案だ。
自分が気を失ってしまうと水壁の仕切りも消え去り、フルオープンになってしまう。そうなってしまえば無抵抗な自分は生贄であり供物であり据え膳だ。まさに孕まされBad endな直行便になる。
桶でも何でも良いから使ってくれ。……いや、出来るならアクロを抱えて退出願いたい。万が一隣の少女が元男子なパーティーメンバーで、自分が元は女性である事を忘れてしまったら最悪だ。
海産物臭い波動が押し寄せる前にさっさと退出を促そう。
「そろそろ上がりたいから先に出て行って欲しいデスよ」
バシャバシャと動揺が伝わってくる。残念ながら推測通りのようだ。だが待てど暮らせど彼(女)等が上がるけはいはない、むしろ静かになったような気がする。
「…………」
『…………』
「マジかッ!?」
慌てて水の仕切を解除すると三人とも“元気に”逆上せきっていた。頭の方にも余分に血が廻っているなら少しは遠慮して欲しいと思わないでは無かった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
『ゴメンナサイッ!!!!』
ブリック、アクロ、ライアの三人は海老のように跳び退いてそのまま平伏している。後ろには部屋の壁があり、もはや退路は無い。
何故この三人が華麗にTheジャンピング土下座をかましたか…、それはドロシーが涙目で左頬を真っ赤に腫らしている事で察して欲しい。
「……別にもういいデスよ」
床にひっくり返った桶から零れた水を手拭いで丁寧に拭きながらドロシーは呟くように返事をした。
あの後、温泉からどうにか引き擦り上げた三人を移動させようと俯せのブリックの下に潜り込んだものの、三歩ほど歩いただけで限界が来た。所詮10歳程度の体力では自分の1.5倍は重いであろう彼(女)等を運べる筈も無い。しかも歩く度に何かがお尻に当たるのだ、ナニかが……。
色々と危ないので3体のクロス・ゴーレムを召喚して脱衣所まで運び入れてから手拭いで水分を拭き取り、湯浴み着を着せて宿部屋へと運び込ぬむ事にした。
もし宿泊客や従業員と擦れ違った場合、クマやペンギンやネコを模したファンシーな縫いぐるみがえっちらおっちら人間を運ぶ様はさぞかし異様に見えただろう。
寝室に敷かれていた四組の寝具に寝かせてから固く絞った濡れ手拭いを額に乗せようとした時に冷たさで目覚めたブリックに反射的に平手打ちをされた反動で水を張った桶が転がり、今に到る訳だ。
ちなみに役目を終えてその身にタップリと水分を含んでしまったクロス・ゴーレム達は自分達の身体を限界まで捩るように搾り出した後、今は窓辺の軒先で自らテルテル坊主のようにぶら下がっている。そのシーンはちょっとトラウマになりそうだった。
「ブリック達の悲鳴や暴れた物音のせいで宿の人が来ちゃったデスから注意して欲しいデスよ」
バレたら幼女に混浴を強要した挙句、助けて貰ったのに暴力を振るった女装(HENTAI)野郎として捕まりたく無ければ……という意味で。
「そもそも“貸し切り”なのに何故一緒に入る必要があるデスよ。いくらでも時間はあるデスよ…」
『……あ!』と目を見開く三人。素泊まりでは無く、情報収集と養生を兼ねた宿泊である。焦る必要は全く無く、また心は元の女性のままである自分達だって野郎が何人も入った後で入るなんて嫌である事を考慮すれば当然の事だった。
だから同性のみと思われて同じ部屋に敷かれた寝具の内、一組をドロシーが窓側のテラスに移動させるのを止める事が出来なかった。
何だかんだと言いながらドロシーは自分達に気遣ってくれている。この宿だってわざわざ本館から離れた離れのコテージを借りて他の宿泊客との接触を避けてくれているのだ。
ドロシーはちょっとした厭味で済またようだ。本当に怒っているなら宿から追い出され、野宿を余儀なくされているだろう。
そんな不器用な優しさに感謝しつつ、「明日もう一度謝ろう」と思いながら改めて三人は床に就いた。
一定のリズムを繰り返す小さな虫の音の静かな夜。冴える月光は薄い紙が貼られた格子の引き戸に縫いぐるみ達のシルエットを3ツ浮かび上がらせていた。
「クマ…」
「……ペンギン?」
「ネコ……ニャ」
『………………』
――訂正ッ!ドロシーはメッチャ怒ってる、本気で怒っている。自分達は3人、縫いぐるみも3体、しかもモチーフは自分達を揶揄している風。
慌てて起き上がり、薄い紙が貼られた格子の引き戸を乱暴に開ける。……が、本来そこの寝具で寝ている筈の者がいない。掛け布を捲って手を触れてみる。
「……冷たい」
つまり最初からドロシーはここで寝ていなかった事になる。窓の鍵は架かっていない、足跡から察するに恐らくここから外へと行ったのだ。
「………まさか、置き去り、された?」
「どうするニャ、ライア達そんなにお金持って無いニャ!」
「あーー煩い、ちょっと落ち着け!」
ドロシーの荷物はある。通貨の入った革袋も共有アイテムもある。ただ決定的に無い物が……。
「アイツの武器が無ぇ……装備一式丸ごと」
つまりは臨戦状態で何処かに潜んでいるという事だ。
バンッ!と一瞬で背中を併せるように部屋の中心に集まる。今の内に〈素早さ〉〈攻撃力〉〈防御力〉を上げる補助魔法を重ね掛けしておく。全てでは無いにしろ互いの手の内を知る者同士、僅かな油断が命取りになる。
「油断すんなよ…」
耳を、目を、鼻を、そして髭を。全ての感覚を研ぎ澄ませ、息を殺して今や遅しと待ち構えていた。緊張感が半端無い。
………
……………
…………………
チュンチュン…
空が白み始めた頃、張り詰めた緊張の糸を断ち切ったのは酷く間の抜けた台詞だった。
「皆、何してるデスよ?」
湯浴み着に首から下げた手拭いで髪を拭く、ほんのり上気したドロシーだった。その殺気どころか緊張感ゼロな態度に毒気を抜かれてしまう。
「ドロ姫、今まで何処で何してたニャ!?」
反射的に魔法をぶっ放しそうになったブリックを押さえ込み、ライアが尋ねた。
「何って…、宿の本館に居る人にエメロードの情報を聴いて回ってたデスよ。その後、もう一度露天風呂に行ったらウッカリ寝ちゃったデスよ…」
恥ずかしそうに頭を掻くドロシーの言葉に三人はやっと此処を訪れた目的を思い出し、そして一人の早トチリを睨めつけた。
「……ウッ」
「……?。さぁ、もうすぐ朝ご飯も来るから顔を洗って一息ついたら出発デスよ」
そこで三人は改めてある事実に気付いてしまった。まともに入浴して無いどころか、まったく疲労から回復して無い事に……。
「……連泊、ダメ、もう一日?」
「明日は別の予約で埋まってるデスよ。人気の宿って言ったデスよ」
どうやら諦めるしか無さそうだった。
「またのお越しをお待ちしてるでの」
チェックアウトも済み、僅かな手掛かりを基に大きな不安を抱えたままドロシー一行はまた旅立つのだった。
「いざ、希望の都エメロードへ!!」
次回更新は筆者の体調と気分次第となります