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やっぱり中二病は救えないっ!  作者: Runner Champe
第一章 アヴィリティ・ファンタジスタ
9/11

エリュシオン~つまり、襲撃でした~







幼馴染みである白斗が帰った翌日。

本来、休日であり、学校はないのだが、おれは凡祖学園の校門前に来ていた。鳴神会長に呼び出されて。

どうやっておれの携帯番号を知ったのかはわからないが、恐らく生徒名簿か何かを見たのだろう。

鳴神会長の用件は昨日、おれが学校を休んだために延期となった春日木と <夢楽園(ファンタジスタ)>をぶつけるという、例の案件。


「それにしても……。別にわざわざ休日にしなくてもいいんじゃないのか?」



自分の不始末が招いた結果とはいえ折角の休日が無駄になって、あまり気分がいいとは言えなかった。



「今日は一日、ごろごろする予定だったのに……」



ぐちぐちと文句を垂れながら、おれは校門を潜って生徒会室へ足を進めた。

















「…………」



休日だからかなのか、それとも単におれの気分の問題なのか。一日ぶりに見た生徒会室の扉は前回に増してよりその神々しさを増していた。

前回、というか二日前に初めて生徒会室に訪れたときも、並々ならぬ神聖的というか、なんというか。

……とにかく、ただの生徒会室とは思えないほどに威圧感を感じる場所ではあったのだが、今回はその威圧感というものが段違いだった。

……なんだよ、コレ。

生徒会室ってこんなにヤバそうな雰囲気醸し出す魔窟でしたっけっ!?



「はぁ……」



ここで木偶の坊のように立ち止まっているだけではなにも始まらないので、仕方なくおれは生徒会室の扉をノックした。

……なんか、最近よくため息ついてるような気がするよ、はぁ……。



「入りたまえ」



ノックのあと、一拍おいて鳴神会長の入室許可が下る。

ドアノブに手を置き、半時計回りにドアノブを捻ったおれは生徒会室の中へ入っていった。

















「やぁ、正直ボイコットされるかと思ったが来てくれて嬉しいよ」



「会長にはおれがボイコットをするような人間に見えましたか」



入室後、二日前と全く同じ態勢で席について書類を整理していた鳴神会長はおれが席に着いた途端、嫌みを言ってきた。

冗談だとは分かっているが、それでも気分を害したおれは少し強めの口調で反論する。



「はは、すまない。そう怒らないでくれ、冗談だ」



「だとしたら、会長は相当な捻くれ者ですね」



皮肉げにおれがそう返すと、鳴神会長は笑いながら、君がそれを言うか、と返してくる。



「それで?なんでわざわざ休日におれを呼び出したんですか。こんな無駄口叩くためにおれを呼び出した訳ではないでしょうに」



「ふふ、すまないな。少し、悪ふざけが過ぎた」



鳴神会長は目尻に涙を浮かべながら、おれの言葉に続けた。……どんだけ笑いの沸点低いんだよ、この人。



「では、さっそく本題に入ろうか」



そう言い出した鳴神会長は真剣な表情をしていた。

……切り替え速いな、おい。



「君が春日木さんと <夢楽園(ファンタジスタ)>を決闘させるという意志が最早、揺るぎようのないものだと言うことは分かった。だが、実際問題、彼女とアレをぶつけたところで彼女の中二病は更正されるのか?」



「まあ、そこら辺の所はまだ確証は持てませんが、同程度の力を持つ相手に全ての力をぶつければ一先ず、彼女の能力は失われますね。……それは鳴神会長が仰る <夢楽園(ファンタジスタ)>にも言えることですが」



「何故、それがわかる?」



真剣な表情に凄味を聞かせて、鳴神会長はおれを詰問する。

……少し、気圧されながらもおれはその理由を答える。



「た、単純なことですよ。同程度の力を持つということはお互いの力が拮抗している。それはつまり、能力を使いきるということです」



「……なにが、いいたい?答えになっていないぞ」



「まぁ、待ってくださいよ。それを今からーーーー」



ーー突如。

耳を劈くほどの金切音が発生し、刹那、おれは右肩に激痛を感じた。

ちらりと目に入ったのは黒い一筋の閃光。



「ぐあっ!!」



勢いよく壁へ吹き飛ばされたおれは攻撃された方向を睨む。

肩からは湧水のように血が吹き出て、大量の脂汗をかく。

痛みは感じないことから、アドレナリンが大量分泌されているのかもしれない。



「テンメェ、よくもわたしをあんな地獄のような場所に落としてくれやがりましたね……!」



「……っ。知るかよ、そもそもお前が襲ってきたのが悪い」



「はっ、知らねぇでやがりますよ!今度こそ、ぶっ殺してやがります!」



「……忘れたのかよ、アレを。また、返り討ちにしてやるっ!」



これはハッタリだ。

さっきからアドレナリンの影響か、正常な思考ができない。

だから、アレを使うことは、できない。



「使われる前に倒せばいいんでやがりますよっ! <鏡写しの遊戯世界(ワンダーランド)>!!」



彼女がその名を呟くと同時に空間が歪み、次の瞬間には目の前にいた彼女の姿はなくなっていた。

……能力か!!



「ぐあっ!!!」



風を切る音と同時に空間が少し揺らぎ、見えない刺突がおれへ向けて容赦ない一撃を繰り出す。

その攻撃を躱そうにも相手の姿が見えないため、回避は困難であり、気が付けばおれは右腕を貫かれていた。



「くくくっ、ついに追い詰めてやがりましたよ!このまま、死にやがれですっ!!」



視覚できない存在から声が聞こえる。

こっちは見えないのに相手は見える。

なんとも、不気味でーーーー



「もう、許さないよ」



ーーーーとても、とても不快だった。









前回の更新から大分たったわけですが、失踪する気はないので安心してください。

それにしても一人称はやっぱり苦手ですね…。

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