第四回 いけず!
「そう言えば美奈子さん、管理人さんにはもう挨拶を?」
フレンチトーストを食べながら、耕輔君が聞いてきた。
「うわっ、こうすけ、“ながら”とかバッチィ(滝汗)」
「うるせーよっ!(汗)」
「軽くご挨拶はしましたが、それだけですかね…」
おはようございますとか、こんばんわとか、その程度の挨拶だ。
「なら今日辺り挨拶しておくといいですよ。日曜日は大体おられますから」
律佳ちゃんが豪快に卵焼きを食べているのが妙に目に付くが、気にしない気にしない。
「えっ。いつもはおられないんですか?」
「場合によりますね〜…仕事柄色々とあるらしくて」
律佳ちゃんが私のフレンチトーストをとったけれど、気にしない気にしない。
「ってコラ律佳!美奈子さんのとっちゃダメだろ!?」
「えぇ〜、お腹減ったの〜!」
「冷蔵庫と相談して来なさい!」
「ふぁ〜い」
律佳ちゃんは席を立って冷蔵庫の前に歩いていった。
「あれ?でも、その、管理人さんは“管理”が仕事じゃないんですか?」
「まあ、そうなんですけど…」
「ね〜ね〜冷蔵庫さん、今日は何かある〜?
『お〜、可愛い可愛い律佳ちゃんか!今日はね、いいのがあるよ〜』
おお、それ出して出して!
『でもこれは死んだこうすけのカタミだからなぁ…』
いいのいいの!」
律佳ちゃんが声色を変えて、『冷蔵庫』と自分の会話を見事に成立させている。しかし、何故か話の内容がとてもシュールだ。しかも矛盾してる。聞こえているはずであろう耕輔君は全く意に介さず突っ込む様子もないが…慣れっこなのだろうか。
「“普通”、はね」
律佳ちゃん折角のセリフカットインは完全にスルーされ、管理人さんの話を続ける耕輔君。
ということで私も律佳ちゃんをスルーする〜……うっ、何か寒い(滝汗)
「じゃああの、聞いたらいけないのかも知れませんけど、“普通”じゃない“理由”と言うのは…」
「高校生なんです」
…ん!?今話しが飛んだ!?って言うかワープした!?え、なに、どうゆうこと?(汗)耕輔君が高校生ってこと?社会人だと思ってたっ(汗)
「いや、耕輔君が老けてるからって高校生って言うのは分かってますっ!」
「えっ!?(汗)うわー…初めて言われた〜…」
「う、うえっ?(汗)」
…この感じ、どうやら的を外してしまった上に空気を破砕してしまったようだ…!!(汗)でも私が悪いわけじゃないし…
「…何かごめんなさい」
「何かかよっ!!(汗)」
……。
思いっきり突っ込んだ後、耕輔君は汗をかき、かりかりとこめかみを掻いた。
「あ〜、え〜と…ごめんなさい、俺の文章不足でしたね(汗)
ここの管理人さんが、高校生なんですよ」
「えっ…?管理人さんが、高校生…」
「はい」
!! こういうとき、割と身近に管理人さんがいることがあるのよね…まさか…!?
「…あなたが管理人さんとか言うオチは…?」
「は?あ、いやすいません。そうゆうサプライズ的なことはありません(汗)」
「あ、そう…」
「……(うわ…何故だか分からないけど、傷つくなぁそれ…(汗)」
「じゃあ、会いに行きます!」
その時、
「ちばぁあう!(ちがぁう!)『○、あいふぃふぃふぃふぁす(愛に逝きます)』ふぁろ(だろ)ー!?」
律佳ちゃんが冷蔵庫のなかにあったであろうフランスパンをかじり、いや、ひきちぎりながら、そう突っ込んできた。
でもフランスパンかじって、いや、ひきちぎりながらだから口がふぁふふぁふなってて何て言ってるか分からないッ!(滝汗)
「ご、ごめんなさい、そうでした…」
でも律佳ちゃんの目がマジだったので、私はとりあえず謝っておいた。
「…いや、頼むから突っ込みどころは絞ってくれ…orz」
と言うわけで。何故か私たちは、四人で管理人室前に挨拶に来ました。
「違う!三人だろーが!!」
と急に耕輔君が怒り始めた!(汗)
一番普通そうに見えてた耕輔君だったけど、実は○チガイなのか!?
「違う!四人だよ!」
律佳ちゃんがその例の“もう一人”を指さした。
「バウッ」
バウッ!?と思う人はいるだろうけど、実はコレ、人ではありません(汗
…この“ワンちゃん”は私のお隣さん、ドク太君である。律佳ちゃん家じゃない方のお隣さんのペットだ。
「いや一匹じゃないか!」
耕輔君が律佳ちゃんにまけじと突っ込んだ!やはり芸人魂か!?
「差別はんたーい!!って言うかドク太はもはや家族だとおもいまーす!ほら、美奈子さん、ドク太も言って!」
「え、あ、うん、さべつはんたーい」
とりあえずとばっちりはゴメンなので乗っておく。
「アウーンっ!」
何て言ってるか分からないけど、ドク太も遠吠えした。
「…もう、いいよもう」
あ、耕輔君イジけた。
その時、さっき鳴らしておいたインタフォンに反応し、管理人さんが出てきた。