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ミニ物語~ケータイメール~

作者: 凪夜 流歌

【ヒグラ】

それは突然来た。

着信を伝えるメロディが部屋中に響き渡る。

「あ、メール」

携帯を開くと、知らない人からだった。

誰だろう、と私は本文を開く。

『良かったら私と友達になっていただけませんか?』

それだけが書いてあった。

気味の悪いメールだなと思った。でも、ただの悪戯か何かだろうと、最初は気にしていなかった。



朝、メールの着信音で目を覚ました。

ああ、また今日も来た。

例の、差出人不明のメールだ。

今日で丸一週間。このメールの着信で起こされる。

内容は『おはよう。良い朝だね』とか『おはよう。今日はヒマ?ヒマなら返事ちょうだい』とか。

朝だけじゃない、学校から帰って来て、部屋に置いてあった携帯を見ると着信ランプがついているのは当たり前になっているような気がする。

内容は『学校お疲れ様。これから勉強?頑張ってね』とか『今日は雨だったね。傘ちゃんと持って行ってた?』とか

正直、恐怖を感じた。

親に相談してみたが、「あら、モテるからって自慢しないの」と笑われただけだった。

メールがあまりにしつこいので電源を切ってみたが、良い結果は望めなかった。

電源を切っても着信拒否をしても、かかって来る。

それが、半年も続いた。

相手は、私が何処に住んでいるかとか、名前や生年月日、家族構成なども知っているようだった。

私も、相手のメールで徐々に相手が分かってきた。

名前はミタカと名乗っていること、学年は違うけど、同じ学校にいるということ。

同じ学校、と出た時、鳥肌がたった。

見られてる。何処かから、誰かから、昼も夜もずっと、見られてるんだ。

そう思うとまた、怖くなった。

親に相談してみてもだめ。学校の友達も、最初は怖がっていたがここまで続くと、信じてくれなくなった。

私は、一人になった。

部屋に着信が響く。

『大丈夫?今日はずっと暗い顔してたね。』

今まで、一度も返信をしたことがなかった。

でも、一回だけ。一回だけなら・・・いいかな?

私は返信ボタンを押した。



【ミタカ】

それは突然来た。

着信を伝えるメロディが部屋中に響き渡る。

「あ、メール」

携帯を開くと、知らない人からだった。

誰だろう、と僕は本文を開く。

『良かったら私と友達になっていただけませんか?』

それだけが書いてあった。

気味の悪いメールだなと思った。でも、ただの悪戯か何かだろうと、最初は気にしていなかった。



朝、メールの着信音で目を覚ました。

ああ、また今日も来た。

例の、差出人不明のメールだ。

今日で丸一週間。このメールの着信で起こされる。

内容は『おはよう。良い朝だね』とか『おはよう。今日はヒマ?ヒマなら返事ちょうだい』とか。

朝だけじゃない、学校から帰って来て、気味が悪くて部屋に置きっぱなしにしてある携帯を見ると、着信ランプがついているのは当たり前になっているような気がする。

内容は『学校お疲れ様。これから勉強?頑張ってね』とか『今日は雨だったね。傘ちゃんと持って行ってた?』とか

正直、恐怖を感じる。

親に相談してみると、「怖いわね、メアド変えてみたら?」と言われた。

メールがあまりにしつこいので電源を切ってみたが、良い結果は望めなかった。

電源を切っても着信拒否をしても、アドレスを変えてもかかって来る。

それが、半年も続いた。

相手は、僕が何処に住んでいるかとか、名前や生年月日、家族構成なども知っているようだった。

だが僕も、相手のメールの内容で徐々に相手が分かってきた。

名前はヒグラと名乗っていること、学年は違うけど、同じ学校にいるということ。

同じ学校、と出た時、鳥肌がたった。

見られてる。何処かから、誰かから、昼も夜もずっと、見られてるんだ。

そう思うとまた、怖くなった。

また親に相談すると、警察を呼ぼうかと言われたが、相手も学生だし、と断った。学校の友達も、最初は面白がっていたが、僕が本当に困っていると知って犯人探しに協力すると言ってくれた。

僕は、前より信頼出来る人が増えた。

部屋に着信が響く。

『最近、楽しそうだね。何で?』

今まで、一度も返信をしたことがなかった。

でも、一回だけ。一回だけなら・・・いいかな?

僕は返信ボタンを押した。



【日倉】

「どうして・・・?」

窓もカーテンも閉め切った暗い部屋

日倉は布団を頭から被り、携帯の画面で顔を照らしながら肩を震わせていた。

違う。こんなの違う。私の想像してたのと全然違う・・・!!

何で?何で??

何で三鷹は一人にならないの??

私はずっと、こんなに独りなのにっ

何で!?

暗い部屋に、押し殺したような嗚咽が静かに響く。

その時、メールの着信音が部屋に響いた。

あまりに大きな音だったので隣の部屋にも聞こえていたのだろう。

隣は父の部屋だ。

うるさい!と叫び、壁を殴る音がする。

またお酒に酔っているんだろう。

私はそれを無視して急いでメールフォルダーを開く。

三鷹からだった。

初めて返ってきた三鷹からのメール。

そこにはこう書いてあった。

『君はきっと寂しいんだ。メールでなく、口で話しかけてごらん。相談なら聞くから』

やっぱり、違う。

想像してたのと全然違う。

でも、明日は。

明日こそは、陰からじゃなく正面から、おはようって言ってみようかな。





最初の【ヒグラ】は日倉の想像・・・妄想?かな。

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