第1話 イズミリェーニエ
「その車に手をかざしてみてね!そうしたら物の過去が見れるようにプログラムしておいたよ!」
車(とはいっても砂埃をかぶり、かろうじて判断できたもの)に手をかざしてみる。
「…っ…!!」
激しい頭痛が突然襲ってくる。目眩がして、吐き気もある。立っていられないほどだが、なぜか身体はピクリとも動かない。
視界が白黒になり、今が昼か夜かさえ分からなくなった頃、気がつくと、そこは先ほどまでいた荒れ果てた国ではなくなっていた。
地面はない、空もない。ただ、空間が広がっていた。薄紅藤や藍白などの淡くも冷たい色がマーブル状になっている。その空間を「自分が」走っている。
周りを見渡すと、自分と同じような車が上下左右、色々な方向に走っている。だが、よく見ると、車に乗っている者は人ではなかった。身体の一部が機械でできている者、魚のような者、植物のような者、そして、もはや形すら留めていないもの。
突然、周囲が白い光に包まれ、大きな振動が起こった。光が徐々に収まると、そこは先ほどまでいた空間ではなく、かつて栄えていた頃のヴィル・デセスタだった。
「やぁ!毎回配達ご苦労さん!」
「いえ!この仕事好きなので…はい!いつものです!」
「本当ありがたいよ!また、よろしく頼――
ドカン!
大きな爆発音が響き、激しく揺れた。
「大変だ!!あいつらが…はやく逃げ
気がつくと、そこはもといた荒れ果てた国だった。
無線からコマンダーの声がする。
「お疲れ様!情報はこちらにもしっかり転送されているから安心してね!次はあっちの民家の方を調べてね!」




