1. アステイア王国辺境・ソラリス村(前編)
数ある作品の中から、本作を見つけていただきありがとうございます。
一話が長くなりすぎてしまいましたので「前編・後編」に分けました。
【本日、続きを投稿いたします!】
皆様、ぜひご意見といいねお願いします!!
平凡な中学生だったはずの主人公が、女神様からの「情熱的な(?)」贈り物と共に異世界へ。
チート級の魔力と、あまりにも美しすぎる容姿を手に入れた彼を待ち受けていたのは、キラキラしたスローライフ……ではなく、血の匂いが漂う厳しい現実でした。
「理想の転生」と「過酷な実戦」
その狭間で、少年がどう足掻き、どう覚醒していくのか。
蒼波のマントをなびかせた少年の、最初の一歩をぜひ見届けてください。
さわやかな風が草原を撫で、木々の隙間からこぼれる木漏れ日が、キラキラと地面を縁取っています。
そんな穏やかな異世界の平原に、一人の少年がふわりと降り立ちました。
「天界からはあっという間だったな……。あんなに光り輝いて……」
アルは、まだ唇に残る不思議な感触を指先でなぞりました。
「女神様、僕のファーストキス……あげちゃったな。責任、取ってもらおっかな」
少し気恥ずかしさを紛らわせるように独り言をこぼすと、彼は喉の渇きを覚えました。周囲を見渡しても川は見当たりません。
「……まずは、飲み水かな」
アルは前世の記憶を頼りに、おぼつかない足取りで水魔法を試みます。イメージするのは、岩間を流れる清らかな水のせせらぎ。しかし、転生したばかりの彼の体には、自覚している以上の膨大な魔力が眠っていました。
「わわっ!?」
指先から溢れ出したのは、コップ一杯どころではない激流でした。制御を失った水は奔流となって吹き出し、目の前の大きな木の根元を直撃。一瞬にして地面を抉り、そこには即席の大きな、鏡のような水たまりが出来上がってしまいました。
「……ふう、出すぎちゃった。でも、本当に魔法って使えるんだ。」
息をついてその場にしゃがみ込んだアルは、ふと水面に目を落とします。
「銀髪!?……めっちゃきれいな顔……。女神様、盛りすぎじゃない? これ、モテるようになるかな」
今まで学校で全くもてなかった中学生だったが、そこに映っていたのは、まるで精緻な細工物のように整った、気品あふれる少年の姿でした。
透き通るような肌、神秘的な光を宿した瞳、そして風に揺れる銀糸のような髪。
身に纏うのは、女神からの贈り物である「蒼波そうはのマント」。
風が吹くたびに裾が優雅に波打ち、まるでアルが小さな海を纏っているかのような幻想的な美しさを放っています。その下に着た純白のチュニックは、彼の銀髪と幼いながらも気品のある顔立ちを完璧に引き立てていました。
まさに「最高に尊い」という言葉が相応しい姿。 しかし、この時のアルはまだ、この美しさが異世界の残酷な現実の前でどれほど無防備であるかを知りませんでした。
「まずは、人が住んでいるところを探さないとな……」
木陰で一休みし、立ち上がろうとしたその時です。背後の草むらから、生暖かい風と共に「ギギギギ……ギチギチ」という不快な鳴き声が響きました。
「えっ、うそ、いきなり……!?」
振り返ったアルの視界に飛び込んできたのは、醜悪に歪んだ緑色の肌、剥き出しの黄色い牙、そして濁った殺意を湛えた瞳――ゴブリンでした。それも一匹ではありません。背後の藪から、さらに二匹が這い出してきます。
「ギィッ、ギャアア!」
先頭のゴブリンが、手にした腐った木のようなこん棒を振り上げ、突撃してきました。 アルは慌てて魔法を構築しようとしますが、先ほど暴発させたばかりで魔力の流れがひどく不安定。剣もなく何を使ったらいい!
「落ち着け……水、出ろ……!」
指先から放たれたのは、力ない飛沫のみ。 「慣れない体」は、頭で描く回避行動に追いつきません。ゴブリンの踏み込みの方が一瞬早かった。
ドゴォッ!!
「がはっ……!?」
脇腹に、焼けた鉄棒を叩きつけられたような衝撃が走りました。 蒼波のマントが衝撃を和らげたものの、体ごと数メートル吹き飛ばされ、アルは地面を転がります。口の中に鉄の味が広がり、呼吸が止まります。
「痛い、痛い痛い痛い……!」
涙で視界が滲む中、ゴブリンたちが勝ち誇ったように距離を詰めてきます。一匹が、倒れたアルの銀髪を掴もうと、汚れた手を伸ばしてきました。
(このまま……死ぬの? せっかく転生したのに?)
恐怖が、思考を白く塗りつぶしていきます。 しかし、その恐怖の底から、生存本能が叫びを上げました。
「ふざけるな……っ、まだ、何もしてないんだ……!」
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
せっかくのイケメン転生、そして女神様との淡い思い出……。
そんな余韻に浸る間もなく、異世界の洗礼(ゴブリンの物理攻撃)がアルを襲いました。
個人的には、水魔法が「コップ一杯」どころか「地形を変えるレベル」で出てしまうところに、彼の秘められたポテンシャルの高さを感じてワクワクします。
でも、まずはその美形な顔と命を守りきれるのか……!
「痛い、痛い!」と泣きながらも、最後に生存本能を剥き出しにしたアル。
絶体絶命の状況で、彼の膨大な魔力がどう炸裂するのか。
次回の更新も、どうぞお楽しみに!




