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1-1 無能な付与術士は見知らぬ場所で目覚める

同時投稿です。


「ん?」


 目を覚ますと見知らぬ天井だった。

 所々に穴があいており、そこから光が入り込んでいた。


「ここは・・・・・・っ⁉」


 上体を起こそうとしたら、左肩に激痛が走る。

 思わず目に涙が浮かぶ。

 だが、確認すべきなので我慢する。


(ふにっ)

「ん?」


 右腕が何か柔らかいものに包まれていた。

 人肌程度に温かく、居心地の良さすら感じる。

 思わず視線を向ける。


「っ⁉」


 目の前の光景に驚いてしまう。

 見知らぬ美女が隣で寝ていたら当然の反応だろう。

 離れようとしたせいで、抱きかかえられていた右腕を一気に引き抜いてしまう。


「あんっ」


 女性の口から艶めかしい声が漏れる。

 目を開き、彼女はゆっくりと体を起こす。

 その一つ一つの動きが思春期の男には毒だった。


「あら、起きたのね」


 こちらを見て、女性は笑みを浮かべる。

 その優しげな雰囲気に思わず視線が釘付けになってしまう。

 だが、それも一瞬の出来事だった。


(パサッ)

「あら?」


 覆っていた毛布がズリ落ち、彼女の一糸まとわぬ姿が露わになった。

 一気に顔が熱くなるのを感じた。

 僕の行動は早かった。


「隠してくださいっ!」


 落ちた毛布を掛け、彼女の体を隠す。

 男としては名残惜しい気持ちもあるが、許可も無く見るべきではない。

 そういう倫理観はあるつもりだ。


(ズキッ)

「うっ」


 頭部と左肩に激痛が走る。

 あまりの痛みに目から涙が溢れる。

 なんだ、この痛みは?


「まったくもう・・・・・・怪我人なのに急に動くからよ」

「え?」


 女性の言葉に僕は驚きの声を漏らす。

 首を横にして左肩を見て、右手で頭を触る。

 どちらも包帯が巻かれている。

 明らかに怪我をしたときの対応である。


「ゆっくりしてなさい。ちょっと準備をするから」

「何を──」


 ベッドから降りた彼女の言葉の意味がわからず、問いかけようとした。

 だが、その言葉が最後まで紡がれることはなかった。


(バサッ)

「あら? 着替えを手伝ってくれるの?」

「っ⁉ すみませんっ!」


 すぐに背後を向き、ベッドにうずくまる。

 そんな僕の様子に女性がクスッと笑っていた。


 一体、どういう状況なのだろうか?







作者のやる気につながるので、読んでくださった方は是非とも評価やブックマークをお願いします。

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