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第1章・第9話「揺れる信頼」
暗号の解析を終えた坂本たちは、次の中継ポイントへ向かって慎重に進む。だが、漂着者たちの間には微妙な緊張が漂っていた。互いの過去や目的がまだ完全には明かされていないからだ。
橘は小声で坂本に問いかける。「ねぇ、あなた、本当に信用していいの…?」
坂本は一瞬沈黙し、端末を見つめながら答える。「俺も信頼できるとは言えない。でも今は…協力するしかない」
高橋は周囲の音に耳を澄ませ、影から現れる可能性のある敵やドローンを警戒する。「ここで仲間割れなんてしてる暇はない。全員で進むんだ」
ヴェラの光体が揺れながら解析結果を告げる。「互いの協力関係が安定すれば、生存率は向上します。しかし疑心暗鬼は行動の遅れを生みます」
霧に包まれた廃墟の中、漂着者たちは互いの存在を確かめながら歩を進める。赤いドローンの光が揺れ、監視網が微かに反応する。島の中で信頼を築くことの難しさと、緊迫した現実が彼らを試していた。




