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第1章・第2話「初動」
漂着者たちは霧の浜辺で一時停止し、互いの顔を見渡した。まだ互いに信頼は生まれていない。坂本陽一は端末の光を頼りに、島内の監視ネットワークを解析する。
「ドローンの動きが異常だ。ここから先は注意しろ」坂本が指示する。橘英里香は頷き、仲間たちに合図を送った。
高橋は拳を握りしめる。かつての任務の感覚が呼び覚まされる。「敵がいる。確実に監視されている」
ヴェラの光体が漂着者たちの周囲を漂い、低く響く声で告げる。「行動の選択肢は限られています。しかし、協力による生存率は向上します」
漂着者たちは小さく息をつき、決意を新たにする。坂本は端末で次の経路を照らし、橘と高橋に指示を出す。「行くぞ。次の中継ポイントまで、安全に」
霧の中、赤いドローンの光が揺れながら追跡する。漂着者たちは互いの存在を頼りに、未知の島の内部へ歩を進めた。島の内部では機械音と風のざわめきが交錯し、誰も予測できない未来への緊張感が高まっていた。




