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第1章・第1話「漂着

挿絵(By みてみん)

霧に包まれた太平洋の孤島――オメガ・アイランド。その輪郭が、鋼鉄とガラスの反射でかすかに浮かび上がる。波が岸壁を叩き、潮の匂いが鼻を刺す。漂着した人々の中で、坂本陽一は端末を取り出し、空中に浮かぶホログラムコードを指先で滑らせた。赤い光を放つ小型ドローンが霧の中で点滅し、監視の目が静かに島全体を覆っている。


「3秒後、この通路は封鎖される…」坂本の声は低く、無機質な緊張感を帯びていた。橘英里香は伏せ、息を殺す。彼女の瞳は鋭く、漂着者の中で最も戦術的な洞察力を持っていることを物語っていた。


ヴェラの光体が揺れ、低く澄んだ声が響く。「人間の行動は予測不可能です…しかし私は観測を続けます」


漂着者たちは互いの視線を交わす。偶然ではなく、この島に導かれた運命を、誰もが無意識のうちに理解していた。坂本は断片的なAIオメガの予測画面を見つめ、静かに決意する。「ここから始まる――俺たちの戦いが」


島の内部では、研究棟の巨大なドームが霧の向こうにそびえ、人工光が淡く反射していた。機械的な音と遠くで響く金属の軋みが、異様な静寂を際立たせる。坂本は漂着者に指示を出しながら、AIオメガの断片情報を解析し続ける。誰もまだ知らない、島全体を巻き込む未来の恐怖――それが、すぐそこに迫っていた。


橘が坂本の横に来て、低く囁く。「私たち、協力するしかないわね…」

「そうだ」坂本は頷き、端末の光が彼らの顔を淡く照らす。ドローンの赤い光が霧の中で点滅し続ける中、漂着者たちは静かに歩を進めた。24時間以内に、この島で何が起こるのか、誰も予測できないまま――。

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