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B-23

Fool on the hill  

作者: あQ

 ビートルズになれなかった男達は大勢いた。

 ジョンの最初のバンドは高校生の時で、クォーリーメンというバンドだった(グループ名はジョンの通っていた高校の名前から取ってある)。しかしポールと出会ったジョンはバンドを解散してしまう。ジョンはポールと仲良しになり、ポールを通してジョージも加わる。クォーリーメンはジョンのビートルズ以前のバンドとして有名になり、今でも彼らはジョンの御陰でちんけな作品ながらCDを出せている。

 スチュアート・サトクリフはジョンの美術学校の友人でジョンに誘われビートルズに入った。しかし演奏が下手だった為ポールと衝突し辞めてしまう(彼の生涯を描いた映画で「ビート・バック」を観よ)。死後の画家としての彼の評価はビートルズの七光りがあっての事だろう。

 ピート・ベストはリンゴ・スター以前のドラマーだったが、クールなキャラクターが他の三人と合わないという事でリンゴに変えられてしまう。また、「LOVE ME DO」レコーディング時には、ピートでもリンゴでもなく、ジョージ・マーティンが用意した別のドラマーがいた。彼の名を筆者は知らない。

 ローリング・ストーンズは今でこそ、ビートルズと並び讃えられる英国ロックだが、デビュー当時はヒット曲がなかった。その為ビートルズの「I wanna be your man」をカバーとして頂いた(ミック・ジャガーの濁った歌い方と本家の歌を比べるのも面白い)。ストーンズはビートルズの作曲に刺激されて成り上がっていったが、ビートルズ程の売上や影響力は評価が乏しい。

 ボブ・ディラン・・・

 評価が高いグループで、ビートルズと世界を二分した、と言われた事もあるのはビーチボーイズである。かつてビートルズがアメリカを襲い、チャートの一位から五位までを埋め尽くした時、首位を奪還したのはビーチボーイズの「I GET AROUND」だった。また、ビートルズの「ラバー・ソウル」に刺激を受けたブライアン・ウィルソンは世界一と謳われたアルバム「ペット・サウンズ」を作り出した。ポール・マッカートニーはこのアルバムを聴いて感動し、ベースやコーラスに影響を受けつつ、最高傑作「サージェント・ペパー・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」を返答として作り出したのだ(ジョンやジョージはそれ程のアルバムではないと言っているが)。しかしこのロック史上における名作は数々のミュージシャンに打撃を与え、立ち直れなくなる人物さえいたのだ。ブライアンもその一人で、すっかり神経衰弱に陥ってしまい、鬱状態が続くのであった。ビートルズのプロデューサー、ジョージ・マーティンはブライアンの事を「ビートルズ以上の人間???」と語っているのだが。

 ビートルズに便乗して、彼ら擬きのグループはたくさんいた。同じリバプールのアニマルズや、ザ・バース、ビージーズ、ビリー・ジョエル、ETC。他に「打倒ビートルズ」を掲げていたアイドルグループ、モンキーズは作曲はおろか、演奏さえままならないグループだった。

 エルビス・プレスリーはロックの祖であり、ビートルズメンバーも彼によってロックの洗礼を受けたと言って良い。しかしビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインが予言したようにビートルズはプレスリーよりもビッグになるのである。ビートルズはアメリカ公演に来た際にプレスリー本人と会っている。しかし後にキングはニクソンに、ビートルズは薬物を持っている、と陰口をしたそうだ。

世界で最もレコードが売れたグループ、ザ・ビートルズ。(二位はレッド・ツェッペリン)その下にはビートルズになれなかった男達が大勢いたのである。

 

 そして今この文を書いている僕もなれなかった愚か者の一人である。 

(完)

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