表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

狭霧時雨事件目録

赤い錠剤青い錠剤

作者: 西川希龍

活動報告で言っていた短編の一つです。一年生の時に書いたものですが、結構いい出来になっていると思います。添削もしましたので。あと、セリフに見覚えがある方は、仲良くなれそうですね。

ここは21世紀日本、一年で4800件もの殺人事件が起こる国。その中にはもちろん迷宮入りする事件もある。そんな迷宮入り寸前の事件を解決する私立探偵。通称【迷宮止め】。そんな彼の探偵事務所に飛び込んできた、過去最大の事件である。


「ふう、これで前回の事件の目録は完成。もしかしたら、この先の事件で役に立つかもしれないしな」


彼の名前は狭霧時雨。26歳。彼はこの国で私立探偵で、「狭霧探偵事務所」をやっている。しかし、この国で【探偵】という職業は爪弾きにされるような職業である。そもそも“探偵が殺人事件を解決した”などという話は聞かないだろう。解決していたら、大騒ぎのニュースだ。感謝状が送られるかもしれない。しかし、捜査の三要素は「被害者・証拠・現場」である。被害者や、その遺族に会うことは探偵だと難しい。さらには証拠・現場の閲覧権限すらない。つまり、【探偵】は社会不適合者とされていると言うことだ。しかし、ここには【迷宮止めの私立探偵】の二つ名を持つ探偵がいる。それが彼、狭霧時雨である。彼は高校時代から冴えており、高校3年間、定期考査、さらには全国模試で一度も学年1位を逃したことがない。その聡明さを見込み、県警にいる高校時代の友人から迷宮入り寸前の事件、【幼女連続殺人事件】を解決してくれないかと頼まれた。すると時雨は渡された資料を使いながら、ものの30分で三人のアリバイのある容疑者のうちの1人のアリバイを崩してみせた。しかし、彼が使ったのは資料だけではなかった。彼には狭霧羽衣という妹がいるのだが、その妹は凄腕のハッカーであった。彼女は飽き性なのだが、10歳のことに始めたPCだけは長続きし、そこから独学でハッキング能力を身につけた。23歳現在、【lose the victim】という少数精鋭の、尚且つ大企業からもサイバー攻撃からの護衛依頼を受けるホワイトハッカー集団に入っている。その妹に頼み、一般的には関係者以外閲覧禁止のカメラの映像や、交通機関の記録を獲得し、その情報も使い、つらつらと根拠を述べながら犯人を弾劾してみせた。それを友人を通じて捜査本部に送った。迷宮寸前のため、警察もダメ元で当たって見ると。その時雨の推理が当たっているのだ。この1回目で、警察は時雨に感謝状を送った。それが2回、3回と続く頃には警察は時雨に【特別捜査許可状】を渡すことによって、いつでも協力を得られるようにした。つまり、時雨を勝手のいい傀儡にしたのだ。ただ、その頃は彼も一社会人として商社で働いていた。そのため、要請があればいつでも協力できるようにと脱サラし、私立探偵として探偵事務所を開いた。それが狭霧探偵事務所である。そこから何件もの難事件を解決してみせ、今では警察の中では有名な【迷宮止め】である。しかし、いつもは閑古鳥が泣いている。そんな彼にも今日は予定があった。


「今は、、12時半か。そろそろあいつが来るころだな。今回はどれなんだろうな。ニュース見てみるか」


そう言いながら時雨はスマホを開いた。そのままニュースサイトを開いた。すると、その一番上に、連続殺人事件の要項が書いてあった。時雨がそれをタップすると詳しい内容が出てきた。被害者は3人でゲェムを使い殺害されたと書かれていた。


「今日はこれかもな」


[事務所]

そう時雨が言った瞬間に事務所のドアが開き、ある男が入ってきた。


「おう。来たか、正暉」


それは時雨の友人であり、解決を頼った友人、渡海正暉だった。正暉は県警で警部補をしている彼は、時雨と友人のこともあり、【迷宮止め担当警官】になっていた。


「ああ。今回も解決してもらいてぇ事件があってな」


「で、今回はどんな事件なんだ?」


時雨は聞いた。


「今回は遺体が見つかっていない。凶器も見つかっていない。いや、正確には凶器はわかっているんだが、回収できてねえんだ」


「どういう意味だ?」


そう時雨が聞くと、正暉はタブレットを差し出しながら言った。


「この動画が4週間前、県警に送られてきたんだ。とりあえず見てくれ」


[動画]


「はぁい!警察の諸君。ご機嫌よう。今から楽しいゲェムをする!」


そういうのは犯人と見られる右目の部分を隠す仮面を被った人物だった。髪型はショート。ベランダで撮影されているのだろう。犯人の背後には森が見えた。


「相手はこの人! ジャン! 金森陸くんです!」


そこには眠る二十代と見られる男が椅子に座らされた体制で足を縛り付けられ、眠っていた。


「アレェ? まだ寝てるのかなぁ。こんな状況でよく寝れるなぁ」


割とそこまで高かった犯人の声が急に低くなる。


「おい。起きろよ。何寝てんだ。お前の最後の眠りがそんなに快眠でいいわけねぇんだよ。さっさと起きろクズが」


そう言いながら犯人は金森の頬を叩き始める。5回ほど叩いたところで金森が目を覚ました。


「な、何だここ! おい! お前誰だ! 俺を拐かしたのか!? 何が目的だ! 金か?! 金が欲しいのか! そうか、ならいくらでもやる。だからはやくこれを解け!」


そう金森は命乞いを始めるが、犯人にそんな物が通用するはずがない。犯人は再度高い声に戻し、告げる。


「そっかぁ。君、寝てて聞いてなかったんだもんねぇ。僕の目的はゲェムだよゲェム。命をかけた殺人ゲェムだ。ルールは簡単。ここに赤い錠剤と青い錠剤がある。この二つのうちから一つ錠剤を選ぶんだ。片方はただのビタミン剤だが、もう片方は毒が入っている! 飲めば悶絶しながら死ぬくらいの強い毒がね。もし君が勝てば僕が持っているこの携帯電話を使うなり自分のスマホを使うなりして助けでも何でも呼ぶといい。ただし、君が負けたら、君は死ぬ!! なんて面白いゲェムなんだ! さて、じゃあさっそく始めようか。錠剤を選ぶ権利は君にあげよう。好きな方を選ぶといい」


そういって犯人はトレイに乗った二つの錠剤を差し出した。


「はぁ!? ふざけんなよ! 俺を殺すつもりか! そうなれば俺の親父が黙ってねぇぞ! 警備会社の社長だ! すぐにお前のことを見つけてお前を生きられなくするん__」


その金森の言葉は途中で区切られた。それは犯人が金森を殴ったからだ。さらに犯人は金森の髪の毛を掴んで言った。


「いいからさっさと選べよ。このままだったらどうせお前は餓死するんだぜ? それなら少しでも助かる可能性のある方を選べよ。そんなこともできないのか? これだから高校中退やろうは」


「なんでお前がそのこと知って……いや、今はそんなことどうでもいい。俺は絶対にこのゲェムに勝って生きてやる! 俺は赤い錠剤を飲むぞ」


「じゃ、僕は青い錠剤だ。飲む時にはこの水を使うといい。じゃあ、同時に飲もうか。セーのっ!」


そう言い、2人は同時に薬を飲んだ。するとすぐに変化が現れた。


「ぐっ。がっ!」


毒を飲んだのは金森だったようで犯人の言葉の通り悶絶し、死んだようだ。


[事務所]

「なるほどね。ゲェムか。さっき見たニュースでゲェムとして殺されたって書かれてたのはこの事件だったのか。でもこれ本当に死んでるかわからないんじゃねえか? 死んだふりをして警察を揶揄っているだけの可能性もある。誤報するとは考えてねぇけど」


「俺たちも最初はそう考えてたんだけどな。この動画と同じ頃にこんな画像も送られてきたんだ」


そういって正暉はタブレットを操作し、ある画像を時雨に見せた。そこには腹にナイフを刺された状態の金森の遺体があり、腹部から血が大量に流れていた。


「この画像が送られてきたから、イタズラから殺人事件に切り替わったんだ。だけどな、情報が全くといっていいほどないんだよ。カメラの映像にも映っていない。つまり、人気の少ないところに誘えるところで拐かしているんだと考えた。だから一応知人の犯行だと思ったんだけどなぁ。あいつは若くして警備会社の取締役になって、色々悪事にも手を染めてたっぽい。ヤバい数の人に恨まれてたっぽいんだよな。恨まれすぎてて、容疑者が絞りきれん。そこで、お前にお鉢が回ってきたんだが、これを同じことが三件も起きてる」


「なるほどな。で、被害者情報は?」


「被害者はさっきの金森陸、高崎真凛、そして夢野圭介。前者2人は同じ27。夢野は56だ。被害者が老若男女で共通点があまり見つからなくてな。何を狙っているかわからない。ただゲェムをしたいというだけかもしれないが、」


「違うだろうな。犯人が途中で見せたあの裏の顔。普通はおちゃらけているようだが、ブチギレたんだろうな。で?今見つかってる共通点は一個もないのか?」


「いや、一応一つ。金森と高崎は同じ神崎東高校出身だ。ま、といっても2人とも3年の時に中退してるんだがな」


「俺らの一個上の先輩じゃねえか。しかし何で中退してんだ?」


「それがわかんねえんだ。確かに俺らの先輩だったが、そん時理由知らされてなかったろ?それに東高にはもう9年前から勤務してる教師がいないんだ。一応、高校にも行ったのんだがな。全くの手掛かりなしだ。だから俺たち警察もお手上げってわけ。ま、とりあえず頼んだわ」


「今回の成功報酬は?」


そう時雨は聞いた。こんな仕事柄なため、依頼がなければ全く金が手に入らない。そのため、稼げる時に稼いで置かなければならないのだ。


「こんくらい」


正暉はそう言って、手を広げた。


「了解。なんかわかったら連絡する。今日のところは帰ってくれ。っと、そう思ったが資料のコピーだけ取らしてくれ」


「もうそれがコピーだ。それやるよ。じゃ、俺は県警に戻るよ。現場がわかっても絶対自分1人で行くんじゃねえぞ」


「わかってらあ。そんじゃあな」


「おう」


そうして正暉は県警に戻っていった。


「さてと。あいつに調べてもらうか」


そういい、時雨は2階にあがって行った。事務所の2階は2人の住居になっており、事務所の上にあるため、ちょっとしたマンションくらいの広さはある。その家の階段踊り場上がって右に曲がったところの一室に時雨は入って行った。


「おい羽衣。仕事だ。とりあえず、こいつらの素性を調べてくれ」


そういって時雨は3人の情報が書かれた紙を渡そうとするが、羽衣は時雨の方を見ない。


「おい、聞いてんのか羽衣」


「ちょっと待って、今ビクロイできそうだから」


「まぁたゲームやってんのか。それ終わってからでいいから。とりあえず頼んだぞ」


「りょおか〜い」


時雨は資料を部屋の机に置き、部屋を出た。今度は自身の部屋に入り、外向き用のスーツに着替えた。そのまま肩掛けカバンと特別捜査許可状をもち、部屋を出る。そして時雨は一応羽衣に一言かけて家を出ようと思い、羽衣の部屋のドアをあけ、声をかける。


「羽衣、俺神崎東高いってくるから」


その声はもう届いていないようで、2つのPCの画面にはもう大量の検索ウィンドとハッキングアプリらしきものが画面に分かれて映っていた。片手ずつでタイピングしているようだが、速すぎて視認はできない。


「やっぱ、あいつはすげえな」


そう言いながら時雨は静かにドアを閉め、事務所を出た。


[神崎東高]


彼が東高につき、校門から学校に入ると、不審者として扱われ、避難訓練のようになってしまった。


「えー、不審者情報不審者情報。 校内駐車場に不審者を発見。職員室にいる職員は至急駐車場にきてください。で?君はなんなの?」


そう聞くのは教務主任のようだ。


「先生って何年前からいますか?」


「あ?5年前だがそれがどうした」


「ちょっと遅いんだよなぁ。じゃあ、今の教師の中で8年前からいる先生、例えば、、あけみんとかいない?」


時雨は田中明美の名前を出した。田中明美は神崎東高で数学を担当している教師である。年齢は36歳。美人教師として時雨が在校中はあけみんの愛称で呼ばれており、今も生徒には人気のフレンドリーな教師である。


「あけみん? もしかして田中明美先生のことか? お前、明美先生と知り合いなのか? まさか、明美先生の彼氏とか!?」


「俺に恋人はいません。あけみんとは教師生徒の関係です。8年前の担任ですよ。今はもうあけみんって呼ばれてないんですか?」


「呼ばれてないな。で? 明美先生に何のようだ?」


「いや別にあけみんに用はないんですよ。僕が用があるのは11年以前から勤務してる職員さんなんですが、、」


その時、明美が駐車場に着いた。


「お、時雨君。不審者は君だったのか。あんなに真面目だったのにどうしたんだい?」


「不審者は勘違いです。これ見てください」


そういい、時雨は特別捜査許可証を差し出す。


「これはなんだい?何か、警察の印が入っているようだけど」


「これは特別捜査許可証って言います。これがあれば無条件で警察の捜査に口出しできるんです。3、4個迷宮寸前の事件を解決した結果、こうなりました。で、今日は、金森陸先輩と高崎真凜先輩が殺されたことについてお聞きしたくて」


「ああ。聞いているよ。まあ、誰に恨まれてもおかしくなかった奴らだったらしいからな」


「それで何か知りませんか?」


「いや、私が入ってきた頃にはもう卒業していただろう。それは知っているはずだが。彼らがいたのは9年前か。9年前からいた先生なんていただろうか」


そこまで話したところで、教務主任の先生が口を出してきた。


「あの用務員の中山次郎さんはどうなんだ? 彼は結構長くいるんじゃないか?」


「ああ。彼は15年はこの学校にいるらしいしな。多分、素性を知っているだろう。聞きにいってご覧。多分事務室にいるから」


「ああ、山じいですね。あの人まだいるんだ。非常勤勤務だから県警が来た時にはいなかったのか。ありがとうございます。とりあえずいってきます」


「うん。いってらっしゃい」


そういい、時雨は事務室へと向かった。その後、とても小さな声で明美は話す。


「なぜ今君が立ち塞がるんだ」


幸いにもその声は誰にも聞こえていなかったようだ。


[事務室]


「山じい。元気っすか?」


そう言いながら時雨は事務員室に入る。


「おお。時雨君じゃないか。久しぶりだな。不審者扱いされたのは君だったのか」


「はい。久しぶりっす。今日は聴きたいことがあってきたんす。金森先輩と高崎先輩が殺されました」


「そういえばニュースになっていたね。しかし、あの2人がかい。まあ、天誅なんだろうね」


「どういうことですか?」


「君が2年生の時、三年生が1人自殺しただろう」


「そう言えばそんなこともありましたね。受験勉強の辛さでと聞いていましたが」


「本当はいじめがあったんだよ。彼はいじめの被害者だったんだ。小鳥遊たかなし光輝君。いい子だったよ。人一倍責任感が強くて、自分の責任だと被る癖があった。そんな小鳥遊君を二人が主となっていじめたんだよ」


「なるほど。殺人犯に心当たりとかってあったりするっすか?」


「小鳥遊君の親族ももう他界してるみたいだしね。もう何もないよ。いや、そういえば彼には姉がいたという話だったかな」


「そうっすか。ありがとうございます。それじゃあ俺はこれで」


そう時雨が用務員室から出て行こうとするが、その時、時雨のスマホが鳴った。時雨はメッセージを確認すると、ニヤリと笑い、次郎の方を振り返り告げた。


「山じい。もう一つ聞きたいことができました」


[ダンス部室]


「で、時雨君。なんでダンス部に来たんだい?」


「実はもう1人被害者がいましてね。この学校の元理科教師。夢野先生っすよ」


「ああ。彼か。さっき話したいじめを見て見ぬ振りしたことにより、飛ばされた教師だね」


「ええ。らしいっすね。僕たちのクラスは担当されていなくて、もう記憶にもなかったっすけどね。その夢野先生がダンス部顧問だったので何かわかるんじゃないかと思ったんすけど、流石に8年前の記録は残ってないっすね」


「そりゃそうだよ。ま、彼は頭がいい人には甘かったけど頭が悪い子、もとい弱い子にはめちゃくちゃ叱ったりするようなエコ贔屓教師だからね。彼も恨まれるよ」


「なるほど。あれ?そういえばまだ14時くらいっすよね。なんで部活やってるんすか?」


「今日は期末テストなんだよ。だから少し早いんだ」


「へ〜。ん? あの額は何すか?」


時雨は部室の壁にかけてある額を指差して言った。そこには【先入観にとらわれるな】と書いてあった。


「ああ。あれはダンスは自由であっていいんだということを表してるらしいよ」


「そうっすか。じゃ、今日は一旦帰らしてもらいます」


「ああ。じゃあね。たまには顔を見せるんだよ。文芸部にもね」


「ええ。じゃ、さよなら」


そういい、時雨は事務所に戻って行った。


[事務所]


時雨が事務所に戻った時、もう5時をすぎていた。


「羽衣ナイス。助かった。おかげでもう一回行かずに済んだしな。んで、今から買い物行ってくるけど今日の飯何がいい?」


「寒いから鍋。ラーメンのやつ」


「了解。そうだ、買い物行ってる間、東高の小鳥遊光輝ってやつのこと調べといて。その姉のことも。もしかしたらこの事件に関係あるかも知んないから」


「わかった。その代わり、」


「ん? なんだ?」


「ハーゲンダッツ五つ」


「贅沢だなぁ。それに寒いとか言ってるヤツが食うもんじゃねえだろ」


時雨は呆れた声を出す。


「買ってくれないならやらない」


と、羽衣はいじけてしまった。


「はいはい。買ってくればいいんでしょ。味は?」


「抹茶×2、バニラ、クッキーアンドクリーム、いちご」


「了解した。買ってきてやるから調べといてくれよ」


「うい」


ハッキング能力に優れた大人の殻を被った子供なのかもな。そう、時雨は思うのであった。


[スーパー]


「さてと、鍋の具材と、ラーメンなんだし天一の出汁でいいか。後ハーゲンダッツ。どうせなら明日とかの分も買っておくか。明日は、、中華系で行くか。明後日は、肉じゃがでいいだろ」


彼は、独り立ちをしてから、一年ほどはずっと外食、コンビニ弁当、惣菜類だったが、両親が2人とも死に、羽衣と住むようになってからは料理を覚え、そこらのレストランのシェフよりは料理が上手くなっていた。彼が、鍋コーナーで買い物をしていると、前から見覚えのある人物が歩いてきた。


「おや、時雨君じゃないか。買い物かい?」


それは明美だった。


「あけみんじゃないですか。そうです。妹の分も作らなければいけないので。妹がいなければ別にコンビニ弁当でもいいんですけど。あいつにそんなもの食わして栄養不足で倒れさせたらこっちとしても嫌なんでね。あけみんも鍋ですか?」


「そう。寒いからね。そうか、君には妹がいるんだもんな。それで? 事件の進捗はどうだい?」


「とりあえず、被害者三人全員に共通点があることがわかりました。それに、彼らが一つのいじめに関与していたことも」


「被害者が三人? ああ。夢野先生か」


「最近ニュースになってたから知ってますよね。あけみんが来た年に噂になってませんでした?」


「ああ。いじめを見て見ぬ振りをしたことによりその被害者が自殺し、懲戒免職にされた上に飛ばされた理科教師だね。確かに私がきた年に滅茶苦茶騒がれていたな。それで、そのいじめというのは小鳥遊君のことかい?」


「ああ、知ってるんですね。そうです。小鳥遊先輩のことです。やっぱし、いなくても知ってますよね。ニュースにもなってたみたいですし」


「そうだな。まあ、頑張って犯人を見つけるといい。ただ、あまり調べすぎて殺されることのないようにね。もう三人も殺してる奴だ。もしかしたらこれ以上調べられたら面倒だということで君を殺すかもしれない。君が毒殺されたら私も悲しいいんだからね。気をつけて」


「お気遣い感謝します」


そう言って、2人は別れた。そのまま時雨は買い物をし、会計を済ませたが何かさっきの会話に違和感を感じていた。しかし、その違和感の正体に気づくことはなかった。ひとつ思っていることがあるとすれば、明美の口調が変わっていたことだった。時雨が在校中はもう少し、と言うよりも大分柔らかい口調だった。


[事務所]


時雨が家に帰ると、すぐに羽衣の部屋に入った。


「進捗は?」


時雨がそう聞くと、羽衣は即答した。


「もう終わってる」


「早いな。それって住所とかもわかった?」


「まぁある程度のことは」


「OK。助かる。資料化して欲しいんだけど」


「それももうできてる。あとはプリントアウトするだけ」


「了解。それプリントアウトしといてくれ。今から鍋作るし」


「うい」


そんな会話をし、時雨は鍋を作り始めた。鍋に水をいれ、沸かす。その間に、野菜を切る。そしてリビングのテーブルにガスコンロを置く。湯がわけば天一の鍋の出汁を入れ、切った野菜を入れる。そしてそれをコンロにのせ、コンロにガスを刺す。鍋ができると、時雨は羽衣を呼びにいった。


「羽衣、できたぞ」


「今行く」そうして、兄弟2人で鍋を囲んだ。


「グループの仕事はどうなんだ?えーとlose the victimだっけか」


「ちゃんとやってる。三ヶ月に一つくらいはあるからね」


「しかし、大丈夫なのか?」


「何が?」


「俺が死んだ時のことだよ。俺探偵やってんだからもしかしたら依頼遂行中に死ぬかも知んないんだぞ? そん時料理とかできなくて羽衣が餓死しそうで怖い」

「大丈夫。その時はサイト見ながらやるから!」


羽衣はドヤ顔で言った。


「それ自分料理できませんって言ってるようなもんだって気づいてる?」


「別にいいんだよ。私時雨兄のこと信じてるし。そんなすぐに死なないって」


「そうかよ」


時雨は照れていった。


「あぁ〜。もしかして時雨兄照れてる〜?」


「そんなんじゃねえよ!」


時雨はムキになって言った。その顔は明らかに真っ赤になっていた。


「で?小鳥遊先輩は何があったんだ?」


「当時のアカウントとか運営に入って探して投稿見てみたんだけど、いじめの愚痴が多かったみたいだね。‘死にたい。’とか‘Kが今日も蹴ってきた’とか‘Tが今日もバカにしてきた’とかね。それに対して同情も多かったけど、‘お前が悪いんじゃねえの?‘とかいうリツイートも多かった。で、金森さんとか高崎さんの垢も見てみたけど、5個にひとつくらいはバカにしてたかな。だから完全にクロだね」


「姉の住所とかは?」


「千葉県神崎市東町2丁目10-8」


「了解。明日行ってみるわ」


「時雨兄そんなことより早く麺入れて」


「はいはい」


そんな会話をして、その日の調査は終わった。

[2日目]

その日、時雨は小鳥遊の姉の家に来ていた。名前は小鳥遊蘭。光輝からはウザがられていたが、光輝のことを溺愛したいた。そのため、光輝が死んだ後、話をしっかり聞かなかった自分のせいだと自分を責めるようになった。今は両親も死んでしまっているため、家で一人暮らしをしている。また、二度と光輝のような被害者を出さないために神崎大学で教鞭をとっている。


「ここが小鳥遊先輩の姉さんの家か。蘭さんっつったか。蘭さんに聞けば犯人わかっかな。とりあえず話聞くか」


そういい、時雨はインターホンを押した。すると、


「はい、、」


と、か細い声で、蘭が玄関のドアを開けて出てきた。


「すいません。俺、狭霧時雨といってこう言うものでして」


そういって、時雨は特別捜査許可証と、探偵証を見せた。すると、蘭は目を見開き、息を呑んで驚いた。


「は、はい。どうぞお入りください」


蘭は時雨は家にあげた。


「失礼します」


時雨がリビングの椅子に座って待つと、蘭がお茶を出してくれた。


「ああ、ありがとうございます」


「そ、それで探偵さんが何のご用でしょうか」


「金森陸、高崎真凜、夢野圭介が毒殺されたのはご存知でしょうか」


「はい。一応ニュースで見ました」


「その三人が弟さん、小鳥遊先輩のいじめに関与していたことがわかりまして、その時の様子と、犯人に心当たりがないかどうか、お聞きしたいと思いまして」


「いじめがあった頃、光輝はあまり笑わなくなりました。私が揶揄ってもなんの反応も示さず、ただ‘うん’と言うだけでした。そのころ少しおかしいとは思ったのですが、告白して振られたとかそういうことだろうと、勝手に軽く思っていました。しかし、光輝が自殺し、そこで初めて私はいじめがあったことを知りました。正直、犯人に復讐したかったですが、無理だったんです。実行犯は中退し、見逃した教師は飛ばされましたから」


「なるほど。あなたがもし、今殺せるとしたら殺しますか?」


「殺しますよ。でも、もう無理じゃないですか。もう、毒殺されてるんですから」


「そうですね」


「時雨さん、犯人を絶対捕まえなくちゃいけないんですか?」


「確かに、被害者三人がしたことは許されることじゃないです。でもその三人を殺した犯人も人の命を奪うという許されざることをしました。だから絶対に見逃すことはできないんです」


「そう、ですか」


「今日のところは帰らしてもらいます。また何か思い当たることがあれば言ってください。これ、連絡先です」


そういって、時雨は名刺を渡した。


「わかりました」


そういって、蘭はその名刺を受け取った。そのまま、時雨は小鳥遊家を出たが、やはり、何か少し引っかかっていた。そのことを考えるようにぶつぶつと呟き始めた。


「誰が犯人か。流れ的に小鳥遊光輝のいじめに関係してしている奴の可能性が高い。つまり、姉の可能性もある。ただ、もう死んでいるから殺すことはできないという言い方的に蘭さんが殺したのではないのだろう。じゃあ、教師? 小鳥遊先輩と仲がよかった教師なら殺す可能性はあるだろう。ただその場合、なんの手がかりもなくなる。だからその可能性は考えたくない。今の教師であり得るとしたら、山じいか。いやしかし、山じいは恨んでなさそうだった。それに誰にでも好かれるような優しい性格だったから殺人は起こさないだろう。じゃあ誰だ。三人を毒殺したのは。ん? 毒殺?」


{ニュースでゲェムで毒殺されたと騒がれてたのはこのことだったのか}


「そうか。ニュースでは毒殺とは言われてない。なら毒殺ということを知っているのは警察と俺と後、犯人だけ。そのはずなのに毒殺だと言うことを知ってた人間がいたはずだ。それは、、」


そこまで考えた時、時雨は後ろから口を塞がれてしまった。突然のことに反応ができず、そのまま腕に注射器を差し込まれ時雨は眠ってしまった。


[森の館]


「ここはどこだ」


時雨は目を覚ますとそう呟いた。足を動かそうとするが、全く動かなかった。足の方を見ると、椅子に縛り付けられていた。そこで時雨は全てを悟った。


「ああ。なるほどね。連れ去られて殺され待ちってところか」


「察しがいいじゃないか。狭霧時雨君」


「やっぱりお前か。連れ去った目的は口封じってとこか?」


「正解だ。君が調査をやめてくれればこれ以上殺人を繰り返すつもりもなかったんだけど。まあ自首はしないけど」


「で? ゲェムやんないの? あけみん」


「へぇ。わかったんだ。なんでわかったんだい?」


そういうと、犯人は仮面を外した。そこには田中明美の顔があった。


「あんたは犯人じゃねえと知り得ない情報を知っていた。それは被害者が毒殺されたということだ。確かに、最近連続殺人のことはニュースになっていたが、死因までは公表されていなかった。それなのにあんたは‘毒殺‘といった。ただ、毒殺と言ったのは1人じゃなかった。小鳥遊蘭も毒殺だということを知っていた。つまり、あんたら2人は協力して三人を殺した。おおかた、あんたが実行犯で蘭さんが毒の調達もしくは被害者の拉致ってとこだろ」


「すごいね。正解だ。ま、わかったところでどうだということだがね。もう君は死ぬしかないんだ。私とのゲェムに負けて」


「さあそれはどうでしょうね」


この時、内心時雨は焦っていた。実はなんの攻略法もわかっていなかったからだ。三人殺されていると言うことは一度も明美はゲェムに負けていない。しかし50%を3回連続で当てる確率は12.5%である。そんな確率を一度で当てられるわけがない。ただ、死んでいないと言う事実がここにあり、それはつまり、12.5%を当てているということだ。なぜだろう。彼女はなぜ一度も外していないのだろうか。時雨はそれを解明するために、2日の調査を思い出す。


{片方はただのビタミン剤だが、もう片方には毒が入っている。悶絶して死ぬくらいの毒がね}


{毒殺されないようにね}


{先入観に囚われるな}


この時、時雨は気づいた。


「なるほどな。そういうことか」


「? どうしたんだい。何がわかったんだい?」


「いえ、こちらの話です。私は赤い錠剤を飲みますよ」


「じゃあ私は青い錠剤だな。この水を」


そこまで言った時、時雨の声がその発言を途切れさせた。


「いや、水はいらない。私は錠剤を飲む時は水を使わないんです」


そう時雨が言うと、確実に明美は動揺していた。


「どうしたんですか?何か問題でもありますか?」


「い、いやないが。本当にいらないのかい?」


「やっぱりそういうことですよね。この錠剤、どっちも毒入ってないでしょ」


「ど、どういうことかな」


「あんたは3回のゲェムに勝っているが、その確率は限りなく低い。が、あんたは一度も負けていない。錠剤に毒が入っていなければ相手がどちらを飲んでもあんたが負けることはない。ならどこに毒が入っていたのか。それはここ」


そういい、時雨はコップに入った水を指差す。


「この水の中だ。錠剤に毒が入っているとあんたから説明を受け、それを信じた被害者たちは、あんたに渡された水で錠剤を飲んだ。が、錠剤の中に入っておらず、水に入っていた場合、あんたは負けることがないだろうしな」


「そうか、気ずかれてしまったか。さすが、探偵だな。正解だよ。私の負けだ」


「あんたはなんでゲェムとして殺人をしたんだ?」


「私はね、光輝くんと付き合っていたのだよ。教育学部卒で家庭教師をしていて、その時に知り合ったんだ。そして彼が高二の時に付き合った。だけど、高三の秋に彼は死んでしまった。それが三人のせいだとわかりはしたが、どこにいるのかわからなくてね。そこで、蘭さんにも手伝ってもらうことにもしたんだ。先輩なら連絡先知ってるんじゃないかと思ってね。それに、彼女は大学で教鞭をとっているから、一応薬学室にも入れるようだったしね。だからそこで毒となるものを持ってきてもらったのだよ」


「ひとつ、言わせてもらいます。ルールがなっていないゲェムをゲェムと呼ぶのはおかしいのではないでしょうか。あなたがしたことは、勝手にルールを改変し、自分が勝てるようにした。つまりはチートです。それは一番ゲェムであってはいけないことです。あなたは人を殺すだけではなく、小鳥遊先輩が好きだったゲェムまで汚してるんですよ」


「君に何がわかるというんだい? 大事な人を失い、もう何かをやる気力も出なかった私の気持ちが」


そう、明美は冷ややかな声で言う。


「もう死んでしまったことは取り返しがつかないし、死んだ人を取り戻すことはできません」


「だから! 君に何がわかると言うんだ!」


と、明美は怒声を浴びせる。


「僕だってね、もう両親がいないんですよ。でもね、僕が働かなければ妹が飢えるんです。妹のためだったら僕はなんでもしますよ。それはあなたの殺人の動機と同じはずです。小鳥遊先輩のためならなんでもするっていうね。でもね、人は殺しちゃダメなんです。もしも、あなたが死んだ時に、天国があるかどうかは置いておいてもあなたは小鳥遊先輩と同じ天国に行けない。そうしたら本当に二度と会えなくなるんです」


「天国なんて存在しないのだよ」


「しますよ。その方が都合がいいです」


「都合がいい、か。そうだね。まあ、君を殺すことを諦めた訳じゃあない。私は助けないからね」


「構いませんよ。もう縄は解けてます」


そういって時雨は立ってみせた。

「! どうやったんだい?」


「簡単な話です。あなたとのゲェムの間、ずっと縄を解くことに集中していました。しかし、素手だけじゃ解けないことがわかったので、ズボンの後ろポケットに入っているナイフで切りました。僕も一応探偵やってるんですからこんなふうに襲われることもある。だから護身用にナイフくらい持ってますよ。本当に殺そうと思うのならこれとっておいた方が良かったですね」


「そうだね。最後くらいゲェムのルールに則るよ。これを使いな」


そう言って明美は携帯電話を渡してきたが、時雨はそれを受け取らなかった。


「俺のスマホって、持ったままですか?」


「いや、その場で踏み潰した」


「それならその携帯電話は不要です。多分そろそろ警察が来る頃でしょうから」


時雨がそういったまさにその時、パトカーのサイレンが聞こえてきた。


「やっぱり、あいつはすげえな」


「何をしたんだい?」


「俺のスマホにはGPSがついてます。受信先は俺の妹のPCです。その受信信号が消えたことで何かあったのだと考え、あんたが連れ去る時に使った車のナンバーを近くのカメラから特定。その車を追跡し、カメラから消えたら、そこまでの脇道を探し、そこから辿り着くであろう場所を特定。そう言うわけでしょうね。本当にすごいやつっすよ。PCの能力は俺じゃ到底及ばない。いつも助かってますよ。じゃ、いきましょっか」


「ああ」


そう言って、2人は屋敷から出て、サイレンが聞こえる方向に向かっていった。そうすると、50メートル程歩いた先に、パトカーが止まっていた。


「おーい警察の皆さん! 俺は無事っすよー。犯人の田中明美も捕まえましたー」


そう時雨が声をかけると、すぐに1人の警官が走ってきた。


「おい、時雨! お前1人で現場行かないって言ったよな!」


「しゃーないだろ。俺だって拉致られるなんて思ってなかったんだから。ま、とりあえず事件は解決だ」


「結果論だ。お前が死んでたら妹に迷惑かけんだろ? もう危険なことはすんじゃねえぞ」


「俺もしたくてこんな状況にしてるわけじゃねえよ。とりあえず帰らせてくれ。死への緊張が今来た」


「事情聴取はするからな」


「うえーめんどいんだけど。明日にしてくんない?」


「それくらいだったら通るだろ。とりあえず、田中さん。いきましょうか」


「ああ。行こう」


こうして犯人は逮捕され時雨も家に帰れて、一件落着。とはいかなかった。明美の証言から小鳥遊蘭が共犯だということはわかったのだが、小鳥遊家に行くと、そこはもぬけの殻だった。生活の形跡も消されており、結局蘭を捕まえることはできなかった。


[事務所]


その日、事務所は大騒ぎだった。事件を解決し、無事家に帰った時雨だったが、羽衣に叱られてしまっていた。

「時雨兄! なんでそう危険なことをするかな? もし私が寝てたらどうするつもりだったの?」


「そこは信用した。俺が襲われる危険性のある時にGPSを確認してるって」


「結果論でしょ? まぁ無事だったからいいけど」


「そっか。まあ、とりあえずもうすぐ光輝来るから下降りるぞ。お前にもお礼したいって言ってるし」


「え? 私行きたくない」

「だめです。無理にでも連れて行きます」


そう言うと、時雨は羽衣の手を引っ張って、事務所に連れて行った。5分後には、光輝が到着し、第一声が、


「なんで1人で行ったんだよ!」


と言うものだった。

「俺だって行きたくて行ったわけじゃねえよ! 拐かされてんだよ! お前もあそこいたんだから知ってるだろ!」


「知ってるけど! それでも! お前のこと心配したんだぞ! と言うより! お前が死んだら羽衣ちゃん死ぬだろ!」


「知ってるわ! でもその妹を信用したからこそ調査をつづけたんだよ!」


「結果論だろ! せめて俺らに連絡して、警察数人といけよ!」


「そんなことしたら話聞けないかもしれないだろ!」


そんな喧嘩をしていると羽衣が止めた。

「はーいそこまで。時雨兄も光輝さんも騒ぎすぎ。苦情くるからやめて」


「お前その対応してないじゃん」


「うぐっ」


「なんだったら最近家の外でてないじゃん」


「うがっ」


「今日だって会おうとしなかったし」


「うぎゃっ」


「と言うことで今日から運動してもらいます」


「はうぅ。わかったぁ」


「なんだよお前ら仲良いな」


「信用信頼するくらいはな」


「私も一応頭の良さは認めてる」


「羨ましいねぇ。ま、とりえず本題入るよ」


「おう」


「今日は報酬を持ってきた。最初から言ってた成功報酬の五百万、それと危険手当の五十万で合計五百五十万だ」


「ありがとう。どうする? このまま三人で寿司でも食いに行くか?」


「行こう。寿司清がいい」


「はいはい」


「俺も行っていいのか」


「いいだろ。今日は休みか?」


「一応午後休だけど」


「じゃあもう休みになるわけだな。行くぞ」


「おー」


「よっしゃ食うぜ!」


こうして、一旦平和な日常が戻ってきた。しかし、また解決依頼をうけ、危険な目に会うのはまた別の話。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 妹が名探偵の主人公より優秀そうなのが笑えました。 [一言] 主人公が名探偵とのことですが、犯人を特定する根拠がほぼ一つしかないというのには少し寂しさを感じます。大学生でもよさそうと思ってし…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ