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わたしのはなし
それから歩くこと十数分。私と白音先輩はボロっちい2階建てアパートの前に立っていた。
「ほら、着いたぞ」
「……先輩、家ってここなんですか?」
「それ以外にあるかよ。ほら、階段上がるから足元気ぃつけろな」
短く返すと先輩は外付けの階段を上がって行ってしまった。階段の軋む音に戦きながらも、慌ててその後を追う。
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「狭い部屋だけど、まあ適当に座って寛いでくれ。飲み物いるか?」
「い、いえ。水で大丈夫です……」
狭いキッチンと、六畳のワンルーム。それが先輩の住まいだった。
親が死んだ、と言っていたが。だから一人暮らしでもしているのだろうか?
そんな事を考えていると、向かいに座った先輩が切り出した。
「んで、中学時代の話したい事ってなんだよ?」
「……ええ。それは、あの……」
そこまで言って、一度唾を飲み込む。
緊張から喉がやけに乾いていた。
だが、それでも。
言うと決めたから。
ここから、先に進みたいから。
「私は中学の頃、友達を見捨てたんです」




