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【第88話】魔物討伐依頼

クルミはギルドマスターに会った。

ギルドマスターは見た感じは人間に見えたが、クルミは違う種族の気配も感じていた。


中年の男性で、品の良い貴族のような見た目でカールヒゲがよく似合っていた。


名前、ナクリウム=ラウラと言った。


「わたしのことはナクリウムと読んでいただけると嬉しいです。聖女クルミ様。」


どうやら相当緊張しているようだった。


「よろしくね。」


「それにしても、見た目が伝わっている、情報と違いましてご挨拶も遅れて申し訳ございません。」


「気にしてないから大丈夫ですよ。」


Sランクの冒険、相当気を遣って対応しているのを感じた。


クルミはもとの姿に戻ることにした。


「あ~。」

フリードが残念そうだった。


情報通りの姿で、ナクリウムは安心したようだ。そこでSランクの推薦をしてくれたのはなぜなのか質問をしてみた。


「その件につきまして、あまりお力になることができず申し訳ないのですが、ナオルグの王、ナーダ=ナオルグ王からの推薦状が突然届いてきましてわたしも詳しくは知らないのです。」


更に詳しく聞いたところ、クルミがどのようなことをしたのか、強さなども噂程度しかナクリウムは知らないとのことだった。


直接王に聞くしかないのかなと思った。そこで面会のお願いをすることにした。ナクリウムは快く引き受けてくれたが少し時間がほしいとのことで、更に遊ぶ口実を手に入れることができてクルミは喜んでしまった。


「クルミ様。何か嬉しいことでもありましたか?」


フリードから厳しい視線を感じた。



ナクリウムから情報を収集してギルド部屋から出たところ受付が何やら騒がしかった。


「わたしの依頼はまだなんですか?」

「ドラゴンを退治してほしい!」

「護衛任務をお願いしたい!!」


など午後からの依頼が殺到している状況だった。


午前中は、冒険者に依頼を斡旋。

午後からは依頼の受注。

と完全に分けているようだ。



見送りのナクリウムが事情を説明してくれた。

「お恥ずかしい限りで、トルゴラムとの小競り合いが増えて依頼が増えており数ヶ月前の大きな衝突でこちらの高ランクの冒険者達が被害が出てしまい。Dランク以下のものしか対応できていないのです。」


そんな時、受付でお願いしていた人達がギルドマスターに話しかけているクルミ達を見つけて、直接依頼をしに向ってきたのだった。


「あんたら、冒険者か?お願いを聞いてほしい!」

まだ子連れの女性が勢いよく迫ってきたのだった。


それを見ていた他の人達も殺到してきた。


「静まりなさい!依頼はあちらで伺います。こちらの方々は、冒険者ではございません!」

ナクリウムが騒動を抑えている。


「さっクルミ様。こちらへ。」

フリードがギルドの外へ誘導した。

ナクリウムに軽く頭を下げて、ギルドを後にした。


外には、メリット、久遠と陽向が待っていた。


「何か、ギルド立て込んでるみたいだね。」

メリットが心配そうにつぶやいた。


「私供だけで解決できる問題でもありませんしね。」

フリードが答えた。


宿屋に戻ることにした。


「つけられてますね。」

フリードが警戒した。


クルミはまたこのパターンかと。アリスの時を思い出していた。


「心配しないで、危害はないよ。」

クルミは全員を制した。


ここで予想外の動きをする人物がいた。陽向だ。最近は久遠と手を繋いで歩くのが楽しくなってきており、そして歩くのも好きになっていた。


走り出してしまったのだった。

しかも偶然かつけている人がいる方。


「陽向!」 

久遠が追いかける。


陽向を捕まえた時、つけている人物が驚きの声をあげた。


「きゃ!」

そしてその女性の子供が泣き出してしまった。


ギルドでクルミに迫ってきた。母娘だった。


「すまん。」

「あっさっきギルドでお会いしましたよね?」

クルミは気づいていたが知らないふりをして声をかけた。


「あの・・・・やはり冒険者の方ですよね?」


久遠を見た、視線は剣を見ている。


「お願いがあります。」


やっぱりこうなるよね。

とりあえず事情を聞くことにした。


住んでいる村が魔物に定期的に襲撃を受けており助けてほしいとのことだった。

オークやトロールといった魔物が家畜や農作物を狙って襲撃をしてきており困っているとのことだった。


「ギルドにお願いしたのですが、依頼料が安く引き受けてくれる冒険者がいなかったのです。」


オークやトロールは割りと駆け出しの冒険者でも倒せるので優先順位的にも低いと判断されたのではないかとクルミは思った。


「ふぅ~。」

考え込むクルミ。


「依頼料はあまり出せませんが、わたしたちも手伝いますのでお願いできないでしょうか?」


クルミは母娘を観察した。狐の亜人のようだ。ただ力は弱く戦力としては一般人より少し強いくらい、これはオークやトロールの相手は厳しいと判断した。


母親が訴えている時も赤ちゃんは泣き続けていた。そんな赤ちゃんに陽向が指を差し出す。赤ちゃんは陽向の指を握りしめた。


クルミは赤ちゃんの状態も確認していた。


「少しいいかな?」

赤ちゃんのおでこに手をあてる。

回復魔法をかけた。


「少し弱ってたからね。無理しないで。」


「ありがとうございます。」

母親が礼を伝えた。


「さっ参りましょうか?」

フリードがクルミを促す。少しイラッとクルミはしたが勘違いだと気づく。


フリードが母親の手を引いて宿に案内しているのだった。


「あなたは、運がいいですね?クルミ様は、子供に非常に弱いのです。お話は私供の宿で聞きます。お子様もそこで休ませてください。」


「ありがとうございます!!」

母親は涙ながら御礼を伝えた。


「クルミさんバレバレでしたよ。」

メリットから言われて、ちょっと焦って顔が赤くなるクルミだった。

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