【第8話】武術大会②
開会式が行われた。
ここで、大会の詳細な説明を聞くことになる。
驚きの事実があった。
上位者は、竜神王国の騎士になれる。王国騎士団の募集の大会だったということになる。
ジークごめん!と心の中で謝った。
まわりの参加者は、生死問わないとのことに動揺しているのかと思ってしまったみたいだが、そこは私としてはそれほど重要ではないです。
「やっぱりあの様子じゃ、クルミさんは騎士団のこと知らなかったみたいですね。」メリットが話している。
ジークが説明を求める。
メリットが推測を説明してジークが安堵した。
貴賓席で見学をしていた。
王は、いないが宰相、騎士団長が隣に座っている。
「ジーク王子の護衛の方も参加されているようですね、可愛らしい方ですが大丈夫でしょうか?」
宰相が声をかけてくる。
「実力は、問題ないかと思います。」答えたのはシャオリュウだった。
「そなたが、そう言うのであればそれなりなのだろう。リュウの名をもつ者だから」
騎士団長セオドリュウが答える。
「それよりも、大会の成績次第になりますが、もし好成績でも騎士団への入隊については無かったことでお願いしたい。」
シャオリュウが頭を下げてお願いをした。
「それは私からもお願いをしたい。私の側近の1人なので」
「それほどですか...」
「まぁこちらとしても、他国の者を簡単には入隊させる気はございませんのでご安心してください。」
宰相が答える。
ジークは、ほっとした。これでクルミを心から応援できる。
それよりも、ただ無事で戻ってきてほしいと願った。
そんなやり取りがあったとは知らないクルミは焦っていた。
賞金は欲しい、武器も欲しい。
仕方ない、棄権して別の資金確保を考えよう。
ギリギリまで悩んでいる最中に、第1試合が開始された。
悩んでいたのは他の参加者達も同じだった。
あの少女は、死ぬかもしれないとは思ってなかったんだろう。
かわいそうだから、軽く気絶させて敗退にしてあげようと。
参加者の中で奇妙な一体感が生まれた。
皆が鞘から剣を出さなかったことで、参加者の誰もが同じ気持ちだと理解した。
開始早々、1人の男がクルミに向かって突撃してきた。
「えっ、なにこれ」
殺気もない、手を抜いていることがハッキリわかった。なぜか鞘も抜いていない。
「私をなめるな!!」
『疾風流星』剣技スキルを発動した。
「あっ」「ちょっと」「まて」
次から次に叩きのめしていく、まてなど、戦いの覚悟も決めていないとは無情けない。
参加者の気持ちなど理解できずに、単純になめられたと思ってしまった。
前世でもこのような屈辱を味わったことがなかったので激情してしまったのだった。
ふときづいてみると、まわりは気絶した参加者しかいなかった。
「アッ!」
もう後の祭りだ。
会場は静まりかえった。あと爆発的なクルミコールだった。
貴賓席では、セオドリュウが驚いて、シャオリュウにつめよっていた。
「あの少女の剣術は、疾風勁草流ではないのか?今では使い手はいないはずだぞ!」
「私もハッキリとはわからず本人に聞くしかないかと」
「あのような者がそばにいるのであれば、少人数での訪問も納得です。」宰相は別の意味で感心していた。
会場は興奮冷めやらぬ状態だったが、クルミはなんとか平常心を装い観客に手を振るのだった。
こんなに声援をもらえるのも気持ちいいからまぁいいや
呑気なことを考えるのであった。
この後、負けた参加者がクルミ親衛隊になることになるのであった。