【第7話】武術大会
クルミは、幸せだった。
まずは、アクセサリーショップをまわり。
「これください!あっ、こっちも見せて」
そこには、洋服も売っており幸せの絶頂だった。
いろいろ試して、購入しまくってしまったのだ。
前世では、質素倹約、戦い優先とのことで無駄にお金を使うことも弟子がいるためできなかった。
転生して今までのうっぷんを晴らすかのように買いまくってしまった。
アクセサリーの値段もよく確認していなかった。
持っているお金を全て使いきってしまったのだ。
気づいたときには後の祭り
「どうしよう!!」
アクセサリーを再度売りに行くのは絶対に嫌だ!
王子にもさすがに頼れない。
こんな時にローマンが懐かしくなる。私のお財布のローマン。
ここにはいない、呼べば飛んで来そうな気がするけどね。
それにしても前世ではあり得ないような武器を整えるお金もないのだ。安い剣で、スキルで器用に使っていたがさすがにガタがきている。
「あーぁどっかでお金稼げないかなぁ」
そんなことを言っていると、変な人たちに絡まれた。
「うちの店で働かないか?」
「妾にならないか?」
「一回どうか?」
とか..... 丁寧にお断りした。
再起不能で許してあげた。
「可愛くなるのも煩わしさがあるんだね」
少し思ってしまったのだった。
幸い宿泊はジークが用意してくれたところがあるので助かった。
ふと街に張られたポスターに目が止まる。
「武術大会開催」
賞金100万G 剣、槍、素手全て可
商品として武具、武器 進呈
「やった!」これに出場すれば、もっとアクセサリー買える!!
さっそく応募した。ギルドに所属してランクがDなのですんなり出場することができた。
ポスターを最後まで見ていないのは失態だった。
注意事項に重要な記載があったのだった。
夜宿に帰って夕食の時に、シャオリュウとメリットに合流した。
ジークはさすがに王宮に部屋を用意してもらっているらしい。
王様と面会は数日後とのこと。
さすがにすぐ会えるわけではないらしい、国としてのメンツもあるようだ。竜神王国は大国で後ろ楯があると違うみたい。
私の知っている竜神王国は、迫害を受けていて、それでも少数精鋭の国だった。だからいろいろ助けたりもしたんだったけ。まぁ悪い思いでではなかったな。
「それで、クルミさんは?買い物楽しんだみたいですけど」
増えた荷物をチラ見してメリットが話してくる。
私は武術大会の話を2人にした。
2人は心配してくれているようだ。
大丈夫だと思うけど、心配してくれるのはありがたいな
「じゃ明日があるからまたね!」
そうそう部屋に戻った。
今日買った、洋服、アクセサリーが私を待っている!
これからは、1人で楽しみの時間だ。楽しみだなぁ
残った2人は、少しあきれて見送った。
「それにしても、実力は申し分ないかと思いますが、これでお別れですかね?」シャオが神妙な顔で聞いてきた。
「そうですね、武術大会の上位者は王国騎士に慣れて、生活は安定しますからね。クルミさんは賞金目的でしょうが」
「王子が悲しみますね。まだしばらく力になってくれるかと思ってたんですけどね。」
「もしかして、クルミさんはその事をしらなかったってことはないですよね?」
「さすがにクルミもそこまでバカではないと思いますよ」
ハッハッっとシャオが笑っている
。
メリットは、ありそうな気がしていた。
クルミはホントに気づいていなかったのだった。
翌朝、クルミは武器をどうしようかと考えていた。
シャオにお願いして、練習用の鉄剣を用意してもらった。
刃を無くしている変わりに折れにくくなっている。まぁ鉄の棒みたいなものだ。
「ほんとにこれで大丈夫でしょうか?
生死については主催者は問わないとのことです」
「大丈夫だよ。なんとかなりますよ。」
「気をつけてくださいね!」
メリットも応援している。
「魔法の援護は本人がする場合は許可されているが、部外者はダメみたいなので、お役に立てず申し分ないです」
「そりゃそうですよ」
王子がこちらに向かってきた。
「ほんとに大会に参加されるのですか?」
ものすごく暗い顔をしている
なんで??
「大丈夫ですよ。心配しないでください。」
「くれぐれも無理をなさらないでください!」
「頑張ってきますね!ジークのために」
「えっ!」王子が驚いた表情だ。
その時メリットは分かってしまった。クルミが注意事項を読んでいないことを。
それを告げようとしたら、クルミは会場に入ってしまったのだった。
悩むメリットだった。
大会出場者は100名。
女性はクルミ1人だけだった。
驚いているようだ。どう対応すればいいか戸惑っているみたいだ。
しかしそこは、腕に自慢のある参加者だった。ほどなくして冷静になった。
20名に分けて一気に戦うやり方のようだ。1組~5組で戦う。
クルミは1組、最初の戦いからだ。
武術大会、試合、決闘など多くを経験したクルミに気負いはなかった。
「よしやりますか」