【第5話】護衛任務
5回目の襲撃を退けたあとのことだった。
「理由を話してもらえますか?」
「巻き込んでしまって申し訳ない、このように直接的にしかけてくるとは思わなかったので」
ジーク王子が話し始めた。
王様が、亡くなられたとのことで死因は自殺だった。それから王位継承はジーク王子となるのだが、それを王の弟はよく思ってなかったとのこと。
今回も隣国へ王位継承の挨拶に行かれてはと進めてきたのも王の弟ルーク公爵だった。
これは罠ですね、誰でも分かりきった話ですよね。
「ルーク公爵は、護衛の兵を出します。とのことでしたが、危険と判断しまして断りました。
それでお忍びで旅立ちました。
何としても隣の国へ竜神王国に向かわなくてはいけなかったのです。」
中年の剣士、シャオリュウが説明してきた。
「私はモーリアスにどうしてもって頼まれて....今は後悔しています。」
魔法使いのメリットが呟いている。
襲撃で、この2人をみたところそこそこの強さだと思った。私ほどではないけどローマンよりも強いと思う。
「先代王に頼まれて何かあったときには助けて上げて欲しいと、頼まれておりまして、今回同行しております。」
シャオリュウが同行の理由を話した。
「もう最初から言ってくれたらよかったのに」
ちょっとすねてみた。
「ごめんなさい!!」
王子が焦っている、ちょっとかわい。まぁ襲撃者はそれほど脅威じゃなかったから何とか大丈夫でしょ。
それと、竜神王国....
ものすごく聞いたことがある、というよりは生活していたことがある。
500年後竜神王国、竜人は長命種なので知っている人はいるかもしれない。ただ外見で分かるかどうかの問題。
今日は、近くの村で宿をとった。
警戒はしているけど村で無理やり攻めてくることはないだろうと思った。
夜、王子がこっそりと宿を出た。
ちゃんと察している。
後をつける。
何をするのかと思ったら、ただ座ってぼんやりとしてるようだ。
「さすがに村のなかですけど、1人になるのは感心しないですよ。」
びくってなる王子。
「ちょっと1人になりたくて」
王子の気持ちも分かる、父親の自殺。自殺かどうかも分からないし、そんな中の襲撃。
嫌になってるだろうなぁ
「これからどうしよう。皆が期待してくれてるのも分かるし、それ以上に嫌な視線も感じる。」
性格的にメソメソは嫌いなので、一言アドバイスをすることにした。
「逃げちゃえば」
「えっ!」
「何を考えても成るようにしかならないなら、考えても無駄ですよ。」
人生経験は豊富なので、前世では責任、期待などをこたえるのに苦労した。
「そんな割りきれると楽なんでしょうけどね。」
まだ子供だから、しかたないかなぁ。
やったことはないが、やってみるかぁ
ぎゅっと抱き締めて上げた。
「よしよし、私がそばにいるときは大丈夫だからね。」
王子は固まっていた。
「はい....」顔が赤くなっていた。
私もおとなな感じで頑張ったが、これまで、やって上げた経験もなく、ドキドキだった。
これはよかったのかな?
お互い悩みこむ不思議な夜だった。