【第36話】拠点作成
人々が集まり、竜神王国の支援部隊も含めて1000人は越えていた。
アリスはドレドラスと一緒に見廻り、難民の救助など手伝っている。ドレドラスは人望はあるようで部下達には慕われているようだった。
数日後には、2000人を越える人数になりそうだ。富士の国の周辺の街からも人が集まってきている。
ただ不安材料は、女性や子供、高齢者が多かった。
ラルセット公国から、親衛隊を呼ぶのも時間がかかるし、余り過剰戦力だと相手を刺激しかねない。
また、開国派と鎖国派が休戦して
一時的に和解したとのこと。
複雑に絡みあった状態になった。
今日はメリットが連れてきてくれることになった、この国の有力者のライゲン将軍が会うことになっている。
遠くで、メリットを探知した。
将軍なのに護衛は20人程度。
「クルミさん、こちらがライゲン将軍になります。」
歳は60くらいかな。そのわりにはしっかりとしているようで堂々とした雰囲気だ。
「聖女様、ご紹介に預かりました。ライゲンと申します。」
「クルミでいいよ。」
聖女様と呼ばれるのは照れる。
「それではクルミ様と呼ばしていただきます。」
それから今後について話をすることになった。
大量の難民をどうするのか?
富士の国が荒れた理由などライゲンから教えてもらったのだった。
全ては、大将軍がなくなったことから始まっていた。
原因不明の死亡。開国派のシャイブ大臣が関係があるのではないかとの噂もある。
そして、経済的にも衰退していっていた。他国への戦争をしていて、若い男性もいなくなり人口が減少。国の衰退の見本のような展開だった。
「正直に申しますと、わたしは大将軍に戦争の終結を意見して側近をクビになってしまったのです。大将軍がいなくなり変わるかと思っていたのですが、変わるどころかますます酷くなる一方でした。」
クルミは前世の時代を思い出していた。
クルミには、兄がいた。小さい頃はクルミに剣を教えてくれた兄だった。クルミと共に成長した。
剣の腕は私がすぐ抜いてしまったんだけどね。
その頃から富士の国は、戦いばかりを繰り返す国だったなぁ。
わたしはそんな国が嫌で、出ていったけど、兄は武功を重ねて大将軍になったけ。
「クルミさん聞いてるの??」
「聞いてます!」
メリットが指摘してきた。
もう遠い過去の話で、記憶も曖昧なんだよね。
「クルミ姉ちゃん、ドレドラス連れてきたよ!」
アリスが入ってきた。
ライゲン将軍がアリスの顔を見て固まって、何か考え込んでようだ。
「どうしたの?」
「知り合いの顔に似ていたもので。まぁ気のせいでしょう。」
ドレドラスが話を遮ってしゃべり始めた。
「それで、これからどうするつもりなのだ。」
「うーーん」
みんな考え込む。
「これだけの人がいるのはすごいなぁ。これなら街も作れるくらいだな!」
ドレドラスが、場の空気を変えようとおどけて話をしている。
その言葉は、クルミにひらめきを与えてくれた。
「街ねぇ。確かに作れるかもね。拠点を作り、国からも街として認めてもらうのもいいかもね。」
「みんなで過ごしやすい街を作るってことですか?」
当然過ごしやすい街じゃないと!
女性が多いから、お菓子や洋服は譲れない。アクセサリーショップも作りたいなぁ。
「しかし、収入になりそうなものがないのではないか?」
そこは、ひらめいてしまったのだった。薬のもとになる薬草を栽培して、イサカリ商会に販売を任せる。
もともと今の場所は、3国間の間にあり交通の便もいいと思う。
ドレドラスの適当な発言から始まるとは、運だけはいい人だよなぁ
街というか村を作る。護衛、富士の国に対する対策としては、ラルセット公国、竜神王国に、後ろだてになってもらえれば大丈夫だと思った。
「まずは、村のような感じにして、暮らしやすさの改善をするということでどう?今後を考えるとやっぱり拠点は必要だよね。」
とりあえず、意見はでなかったので村を作ることから始めることにしたのだった。