【第31話】武器探しの旅
親衛隊になるための募集試験が行われた。
今回は300人くらいに増やしたいとフリードは言っていた。
そのお金は大丈夫なのかクルミは心配になった。
フリードからは、イサカリ商会の傷薬が戦争で知名度が上がり需要が増えているとのこと。
まずは、見習いからですぐには親衛隊にはなれないらしい。
いろいろ考えてるようだ。気になるのは、クルミにお小遣いがあるのか不安だったがそこはしっかりくれることになった。
これで好きな物が買えると思ったのだが、そこまでのお小遣いはさすがにまだ無理らしい。
「それで、試験ってわたしは何をするの?」
「クルミ様は実技試験をお願いします。いつものように戦っていただければ大丈夫です。」
なんか、あんまり褒められた気がしないがジークの件でストレスがたまっていたのでちょうどよかった。
その、結果、千人はいた参加者がクルミとの実技で半分以下に減ってしまったのだった。
クルミと仲良くなりたいなど、クルミが優しそうだから、仕事も楽だろうなど邪な動機の者が多かったのだ。
フリードとしては、計算通りだった。
「やられても立ち向かうくらいでないと意味がないですからね。」
その後、残ったものをさらにフリードが面接をして決めていったのだった。
計画通り、親衛隊見習いが300人増えることになった。これでイサカリ商会の従業員は500名となり、そこら辺の貴族よりも強い存在となってしまったのだった。
今では、メインの薬の販売だけでなく、ギルドからラルセット公国を襲った魔物で逃げ出した魔物達の討伐も行っている。
順調に発展しているのだった。
クルミは考え込んでいた。
悪魔は、執念深い。また来るだろうと考えていた。
しかも、ラルセット公国は復讐のためにこれからも狙われる可能性が高い。
そろそろ、クルミも鍛え直さなければと思っていたところだった。
以前カーグシン竜王と話した時、カーグから指摘されたことがあった。転生前に比べて魔力は増えたが筋力に身体の反応が追い付いていないと言われた。
確かに体格が変わり華奢な身体になってしまったので仕方ないとは思うが対策も考えないといけない。
あと武器も探さなくていけないと思っていた。クルミの力を耐えきれる武器がないのだ。
優先が高いのは武器の確保だと思い、フリード、ローマンに相談もしていた。
「クルミ様変わり使うとなると伝説級の武器が必要になると思います。ただそのような物はそう見つからないのです。」
「そうだよねぇ」
今は切れ味はあまりよくないが、折れにくい剣を使っていた。
神剣と呼ばれた剣を、前世では使用していたが今は何処にあるのかわからなかった。
カーグに聞いとけばよかったが、その頃はおしゃれに夢中で必要性をあまり感じてなかったのだった。
「ふぅ 一度竜神王国に戻って探してみるかな。」
「わたしも御一緒させてください。貴族達に情報提供をさせましょう!」
あまり、ジークから遠いところに行くのは心配はあるが戦力増強は早急にする必要があった。
それにフリードの妖精交信をジークにも、活用しようと考えていた。
さっそく準備をすることにした。
数日後、ジークに面会が出来ることになり事情を説明した。
「そうですか、確かにクルミさんには普通の武器では厳しいですよね。」
「ジークのことが心配だから、ジークにも妖精を召喚するから契約をしてほしいの。」
さっそく呼び出すことにした。
何が来てくれるのかクルミにはわからない。ただ何かしら応じてくれると考えていた。
「この地を集いし妖精よ。われの求めに応じて言葉をつむぎ、あらわれよ!」
しばらくして、ジークが光に包まれた。
「あれ、妖精じゃなく精霊がきちゃったみたい。」
『あなたの求めに応じて参りました。』
しかも光の精霊だった。
これは、凄いことだった。ジークは光の精霊に認められたのだった。
クルミも光の精霊に力を借りることができるが、水の精霊の方が好かれていた。
「ジークのことを守護してくれる?」
クルミは、お願いをした。
『わかりました。』
そっけない態度だが、契約をしてくれるみたいだ。
「よろしく!」ジークは不思議そうにしていた。
妖精よりも精霊は強く、悪魔にも優位になる点も多く頼りになることは間違いなかった。
「少しずつ精霊と仲良くなっていってね!」
「さみしいのでなるべく早くかえってきてください!」
ジークの言葉に行くのをやめようかと考えてしまったクルミであったが、ジークのためになると考えて竜神王国へ向かうのだった。