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【第30話】ご褒美

各地で展開していたラルセット公国の兵士達も王都へ魔物達が攻め込んでいる連絡を受けて、引き上げていく。


竜神王国は、被害は少なくラルセット公国は多少の被害で抑えられた。しかし国内は、行方不明者が数ヵ月で数百人。そして王は、悪魔と協力したルーク公爵によって殺されたことにされた。


それをジーク王子が、自らの手で成敗したことになっている。


事実はどうあれ、ルーク公爵が最後に考えた通りに国民からジーク王子が指示を得ることに成功したのだった。


戦争終了から数日後。


あの後ジークは、国に戻り後処理に追われていた。


クルミはと言うと、勢いでジークを多くの人がいるなかで抱きしめてしまったので、少し気まずかった。


ジーク王子のフィアンセとの噂が街に広まっていた。


しばらく、ラルセット公国の城に近い屋敷に待機をしていた。


久しぶりにジークに会うことが出来たのも更に数日後になった。


「クルミさん元気でしたか?」


ジークも少し顔が赤い。号泣して恥ずかしいところを見られたからだった。


「元気だよ。そっちは大変そうね。」


クルミも少し緊張していたが、前よりも自然体で話せるようになっていた。


2人は王の執務室にいた。


「今回の件で、大臣達は悪魔への干渉は少なかったようで、全ての大臣がわたしが王になることを支持してくれています。」


「ルーク公爵のおかげでもあるのかな?」


「そうですね、大臣達も国民も全てルーク公爵が悪かったと言うことで統一して、今後の王政についてもなんとかなりそうです。」


「それで、いつ王になるの?」


「あと3年後、18歳になったら王に即位することになります。」


「そっかぁ」嬉しいような寂しいような複雑な気分だった。


さすがに王になったら、わたしでは無理かなと考えてしまった。


身分が違いすぎるからと考えていた。


しかしジークは違った。


「王に即位するまでに、試練を乗り越えますので、結婚してくれませんか?」


ジークのいきなり告白にクルミは固まってしまった。


「はい.....」


その一言しかでなかった。


「ありがとうございます!!」


今度はジークから抱きしめてきた。


クルミは、まだ固まったままだった。前世では、このような経験など皆無でどうすればいいのか分からなかった。


ミンお姉様に聞いておけばよかったと後悔した。


ジークも照れながら離れる。


「でも試練って何があるの?」

少し気になったので聞いてみた。王になるための試練かと思っていた。しかし違ったのだった。


「イサカリ商会の規則ですよ。クルミさんに勝利したものだけがクルミさんと付き合えるという。」


「えっあの...~」

少し違った気がするが、いつの間にそうなったんだっけ?

混乱するクルミにジークはさらに話をしている。


「クルミさんを狙っている方は多いですが、負けません!」


そんなことしなくてもわたしはいつでもいいのに!!


心の中で絶叫したが、ジークの表情を見て何も言えずに


「わかった。頑張ってね。」


としか言えなかった。


「それでは、今から会議がありますので、まだ話したいのですが申し訳ないです。」


部屋を出ようとするジークに、クルミはここで勇気を振り絞った。


「ジーク!!」


走りより、わたしの初めてをと振り向いた。ジークに口づけをするつもりだったのだが、失敗してしまった。


おでこにしてしまったのだった。


そもそもジークよりクルミが背が高く、クルミが目を閉じてしまったのが間違いだった。


嬉しがるジーク。残念がるクルミだったが、ここは余裕のある対応を見せなくてはと必死だった。


「頑張ったジークにご褒美です。」緊張しすぎてまた言葉が丁寧になってしまった。


満面の笑みのジークに、次は頑張らなくてはと決意するクルミだった。




ラルセット公国にもイサカリ商会の支店を出していた。


クルミは、憂鬱な気分で支店に向かっていた。


支店には、親衛隊が集まってきていたが、今は魔物に破壊された街の復旧に力を貸している。


竜神王国の国民が親衛隊は多いがそこはクルミがお願いしたら率先して動いてくれた。


「ラルセット公国でも親衛隊のメンバーを募集しなくては!!」


ローマンなどわけが分からないことを言っていた。めんどくさかったので放置してたら大変なことになっていた。


親衛隊の募集に1000人以上も集まってしまったのだった。

これから試験をするとのことだった。


「それぞれの適正にあった選別を行う。希望する仕事を記入するように!」


フリードが指揮をしていた。


最初はフリードは反対するだろうと思っていたが、今回の戦いで人手不足を感じたらしく、ローマンと2人で勧誘を熱心に行っていた。


さらにフリードは、情報伝達手段の確保が一番重要と考えたらしくクルミが召喚した妖精達と直接契約をすることに成功したようだ。


これには、クルミも驚いた。

妖精は、好き嫌いが激しくなかなか協力をしてくれないからだ。


クルミでも妖精達には苦労する。

しかし、妖精達は、【妖精交信】

【妖精の加護】というスキルを持っており、便利なのだ。


さすがは、フリードの一言だ。

クルミも妖精との契約をどうしたのか気になり聞いてみた。


「どうやって妖精と契約したの?」


「これもらったよ」


フリードに契約された。妖精、フィーと名前をつけた火の妖精が答えてくれた。


「1日 1Gをあげることにしました。」


1Gって、ご飯が普通100G~200Gくらいになり1Gでは何も買えない。


ひどい扱いだと思ったが、フィーは嬉しそうにしていたので何も言わないことにした。


フリードが悪い奴隷商人に見えてしまったのだった。


しかしこれは、使えると考えた。

奴隷扱いにするのではなくて、妖精交信の方だ。


ジークにも妖精を召喚して、適正な条件で契約をしてもらえればいつでも話せると思ったのだった。

今度会ったときに対応するつもりだ。


これから親衛隊の試験が始まるようだ。

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