表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/107

【第22話】戦争準備③

いまだ混乱する、ジークの横では竜王が現状報告を聞いている。


ジークとしては、竜王の件も驚いたが国の心配もしていた。


なぜ叔父はこのようなことをしたのだろう。前王との間は仲は悪くなくジークとしても優しい王のイメージがある。


変わったとすれば、姉が戻ってきてからだ。そもそも姉は、他国に嫁いだのだが、合わなかったとのことで戻ってきていた。


第二夫人の子供ということだけど、王の子には変わりない。

まわりは関与をすることはなかった。そんな姉を不憫に思ってか、叔父が援助していたのだった。


突然の王の病死。その後、叔父は変わってしまった。


大臣の1人が発言をする。

「そちらのジーク王子は今回の事何かご存知ではないのか?」


疑われているのは分かる、今進行する気配がある国のしかも王子なら当然だ。


「わたしには、叔父の考えがわかりません。どうしてこのようなことになったのか......」


他の大臣からも当然、疑惑の目、好奇な目で見られているのを感じる。王子として常に感じている視線だ。


「王子を交渉の材料とすることもできますぞ」


やはりその考えか、ジークも考えていなかったわけではなかった。


自分がいるから攻めてくるのは明らかだった。


交渉の材料でも構わないから国へ戻るつもりだった。国へ戻ればおそらく待っているのは死だろう。


王子といえまだ、15歳の若者にとって怖くてたまらなかったが、震えるのを我慢して発言した。


「わたしは交渉の材料でも構いません。それで戦争を回避出来るのであればこちらこそお願いしたい。」


即座に竜王が発言をする。


「それはならん」


「セルニア大臣よ、国を思う、そなたの気持ちもよく分かる。」


大臣が頭を下げる。


「しかし、皆は忘れているかもしれないが、この竜神王国は弱い者、国をなくしたもの、戦争で敗れたもの達が集まりできた国だったはず、過去の我らと同じものを見捨てよというのか?」


辺りは静まり返った。

一部の長命な者達は、懐かしい記憶を思い出していた。

圧倒的な敵を前に、怯まず諦めなかった竜王。そして、その横で万の軍に単騎で突撃を繰り返す剣帝の姿を。


ジークは、竜王の、言葉を嬉しく思ったがそれ以上に不味いと思っていた。配下の者達に独裁者に見えるのではないかと。


「竜王、それではこちらの被害がでる可能性もあります!わたしが国へ戻るのが最善の手です。」


「ジーク王子は、勘違いされているようですね。」

ミン宰相が話し始める。


「竜王の思いをわからないものなどこの場にいるはずがありません!」


会議の参加者が力強く頷く。


「それでも.....」

発言をしようとした、ジークの言葉を竜王がさえぎる。


「この者の性格は見ての通りじゃ、少しの間だが、この者に剣を教えることになって教えていたのだが、この者の剣は、守り耐える事ができる剣だった。」


竜王は続ける。


「政治的な事は、レオパルドに任せておるから、わしからはお願いじゃ、この者の事を気に入っておる、助けてやってくれないか?」


竜王が頭を下げる。


参加者達に同様がはしる。


「竜王様がおっしゃらなくても、戦うのとはもとより決まっております」宰相がこたえる。


「おーーー!」


と歓声が上がった。


ジークは感動で涙を流した。

今まで生きてきて、王子でないジーク本人の事を評価してくれる事が初めてだったからだ。


ざわつきが収まったところに、竜王の使いである火の鳥が表れた。


「ピーーー」

「ありがとう。」


竜王は、クルミに連絡をとり、レオパルド王がラルセット公国にいることを聞いた。なので、レオパルド王にも伝言を頼んでいたのだ。


「さて、はやく準備をした方がいいいぞ」


「それはどのような?」宰相が問う。


「我が息子は、既に単騎でラルセット公国に入っておるぞ」


ざわつく、一部の大臣はやはりかと思った。


ミン宰相は、1人で片付けるつもりなのですねと思った。


「それでは急ぎ準備を!」

ミン宰相が号令を出す。




レオパルドは、新しく徴兵された兵士の訓練をしていた。

皆くらい顔だったが、レオパルドの教え方、熱意に引かれているものも多くなっていた。


レオパルドは思うのだった。

この者達では、竜王国の鍛え上げられた兵士には勝てない。


全滅するだろう。生きるため、家族のために真剣に取り組む兵士達を見て思うところがあった。


「ふー、こんなとき親父ならどうするかなぁ」


つい考えてしまった。


そんなときに、親父の使い獣の火の鳥が表れた。手紙を渡して消えた。


その手紙には

『国には、我がいる。思うがままに成すべき事を成せ。』


その文だけだった。

その言葉にレオパルドは覚悟を決めた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ