【第21話】戦争準備②
ラルセット公国、玉座は空席のはずだがそこに座る人影があった。
前王の弟ルーク公爵だった。
その目は黒く光っていた。
そこに2人の女性が表れた。
ジークの腹違いの姉。エルレイス
ジークのフィアンセだった。トリニカ。
トリニカは、ルーク公爵の変わりように驚いていた。
トリニカは、貴族の令嬢。ラルセット公国でもそれなりの力を持った貴族の家柄で、正直ジークにフラれたことについてなんとも思ってなかった。
顔はいいのだけれども、少し内気のジークにイライラしていたからだ。ろくに話したこともなかったのだ。
「さてと、進軍の準備は進めている。竜神王国の、属国としようと考えているジーク王子に答えを示さなければならんな。」
「そうですね、叔父様。いまいましいジーク、竜神王国に後ろ楯になってもらうなんて」
エルレイスの発言に驚いてしまったが、悟られないように我慢した。
不思議に思っていた。
ルーク公爵は前は穏やかな方だった。トリニカの父とも親しくその縁もありジークの婚約者にということだったが初めはあくまでも候補者の1人だったのだが、いつの間にか1人だけとなった。
この場をはやく逃げ出したくなった。
その後の会議では、ルーク公爵が
攻撃の正統性を主張。
反対する貴族を弾圧した。
竜神王国は、ミン宰相が対応に追われていた。当然老人の姿である。
報告を精査して、対応策を考える。
「そろそろお時間です。」
王が不在のため宰相が、全権を握ることになる。戦いになる、ならないは別として、このような大事なときに不在の王への信頼が揺らぐことが一番注意しないといけない。
王への不満が、起こらないように対処したくてはいけない。
それにしても王はどこに行かれたのだろう。しかし、ミン宰相は少しも王への不満はなかった。
あの方が、このような国の危機に戻ってこられないと言うことは、重大な何かがあったに違いないはず。もしくは、この事態を対処すべく動いているのでは?
今回の王の失踪事態ももしかして.....
ミン宰相からレオパルド王への揺らぐことがなかった。
ミン宰相が
「待たせて申し訳ない」
大臣達がいる部屋に表れた。
領主も数名参加している。
参加者達は、王がまだ帰ってきていないことに気がついた。
「まだ王はお戻りになっていないのですか?」
1人の大臣が質問してくる。
「何か問題があるか?」
「いえいえ、このような時に何をなさっているのかと思っただけですよ」
「それは...」
ミン宰相は、やはりこの質問は当然と思っていた。しかし、発言も注意しなくてはいけない。
どうしようかと考えているところ
この中で、ミン宰相の次に権力者の大臣が発言をしてくる。
よく、いつも対立している大臣だった。
しかし発言は予想外だった。
「宰相、勘違いしないでいただきたい、王がこの場にいないのは何かこの事より重要な事が起こっているからではないでしょうか? もしくは既に動かれているのでは?」
ミン宰相と同じ考えであった。
「この程度で、我らの王への信頼が揺らぐことはこの程度ではありません。」
「その発言を嬉しく思います。」
「それではラルセット公国への対応はいかがいたしますか?」
「もちろん、攻めてくるなら迎え撃つのみ。」
「おーーー!」
会議をする必要すらないくらい意見はまとまっていた。
普段は、言い争う立場のもの達も王国の危機には一致団結した。
これも王の日頃からの対応のおかげだと思う。ミン宰相はレオパルド王に無性に会いたくなった。
「それでは、対策について話をしていきたいと思う。」
これから対策について、話し合おうとしているときだった。
「会議中に失礼するぞ」
竜王が会議の場に表れた。
ジークを伴って、アリスはドレドラスのところだ。
「竜王様」
この国の守護者、皆が頭を下げる。
手上げて、こたえる。
「それで、どうするつもりじゃ」
後ろでジークは、驚きすぎて腰を抜かしそうになった。
ジークは、竜王ってこの国で一番偉い人じゃ....
どうしよう、アリスなんてお金もらって修行しているのに。あっ自分もかぁ
混乱しながら、対策についてもさらに頭を悩ませるのであった。




