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【第2話】王子の姉

昨日は、よく寝れた。

久しぶりに清々しい朝を迎えた。


トントントン


「どうぞ」


モーリアスが入ってきた。


「お着替え持ってきましたよ。早くこれに着替えて朝食にしましょう。」


王子の召使いなのに感じの良いおばちゃんだ。


「ありがとうございます。」

にこやかに挨拶をした。


「これは!!」


ドレスだった!


これまでの人生で着たことがあるだろうか、感動して涙ぐむ


「あらあら、安心して大丈夫ですよ。着せてあげましょうね。」


何を勘違いしたか知らないが、着せてくれるようだ。


「あら、可愛くて似合ってるわよ」


ホントに似合ってるんだと思う。鏡の前で回ってみた。スカートがフワッと舞った。


「さぁ行きましょう」


連れられるままに、朝食会場に着いた。


「おはようございます。」

ジーク王子に挨拶をした。貴族がするようにスカートを掴んで挨拶してみる、初めての経験だ。


「あっ おはよう」

ジーク王子は明らかに動揺しているようだ。


一緒に食事を食べ終えたところで、事件は起きた。


「ジーク入るわよ!!」

「困ります、来客中ですので」

モーリアスが止めているようだかドアが開いた。


「誰その子?」金髪のくるくる髪の女が見下ろした感じで見てくる。嫌な感じのやつ。

もう1人後ろに青色の髪をした女性がいた。


「姉上!今日はどうされたのですか?」

「ちょっとそこまできたから顔を見にきたのよ、悪いかしら?」


「そんなことはございません」

なんか嫌そうな感じで王子が話している。


「今日はトリニカも連れてきたよ、あなたのフィアンセ候補ですよ。」


ガーーン、私は知らないうちにショックを受けた。

いい雰囲気だったのにフィアンセ、まだ子供なのに。


「トリニカ嬢ご機嫌うるわしく」

感情のない挨拶をしている王子。


なんかわけありかな、そこら辺は年の功で察してしまった。


「ところでその子は何?」

トリニカと言う女性が聞いてくる。


「こちらは、クルミと言いまして、困っているところを助けてあげたのです。」


「もう大丈夫でしょ。早く出ていってもらいなさいな」姉が冷たく言ってきた。


「それが記憶を失って困っているようなのです。」


「なら教会にでも預ければよろしくて」トリニカがもっともなことを言う。


「申し訳ございません。すぐに準備いたします。」ここは、素直に引き下がることにした。


「分かればいいのよ、さっさと出ていきなさい。」姉が冷たくいい放つ


部屋を後にしたのだった。

ちょっとイライラ。昔の私なら力でねじ伏せてたわね。


ふぅーー


「ごめんなさいね。」モーリアスが話しかけてきた。


「王子にはいろいろ事情があってね」


詳しく話を聞くことにした。


まぁ今の王は、双子で王子の父親が王だったのだが母親が王子を産んですぐに亡くなったそうだ。


そして、王はひどく落ち込みその弟が今は実権を握っているとのこと。


あの姉は、側室の子供だそうだ。

正室がいなくなり今は姉の母親が強くなったらしい、そして王の弟とも関係があるのではないかとのことだった。


複雑な家庭だけど、王室にはよくある話だと思う。


私が生きてた世界でも派閥争いがあり巻き込まれたりもした。

しかも武力では、私を味方にした方が有利とのことで嫌な思いもした。


どの世界もそうなんだ。


あとそういえば、今さらだけどこの国の名前について聞いたことがあるような。私の世界にもあった気がする。


ラルセットとの王子の名前。ラルセット公国。

少し調べてみよう。


モーリアスから少しばかりのお金をもらって屋敷を後にした。


街の中を歩いてみた。目指すは図書館。街を歩くと男性からの視線を感じる。それどころか数人から声をかけられた。


人生で初めての経験で、顔が一気に赤くなってしまった。


可愛いと有利なんだと改めて感じてしまったのだ。


図書館で調べていたら、衝撃の事実だった。何と私が生きていた世界の500年後だったのだ。


知っている国もあれば知らない国もあった。滅んでいる国もあった。


ある程度調べおえた。これからの生活も考えないといけないよね。どうしよう。


ジーク王子のことは気になるが、生きていかなければいけないからね。


やっぱり冒険者になるしかないかなぁ


とりあえず、ギルドに行ってみよう。この時代にもあるみたいだ。


その前にスキルはどうなのか確認しないと。


この時代は、生きていた世界よりもスキルを使える人が少ないようで、スキルを使える人は貴重みたいだ。


ちなみに私のスキルは、


『剣帝スキル』

剣を使うスキルの最高位


『創成魔導師』

魔法スキルの最高位


『薬師』

製薬スキル


他にもあるがこの3つがメインだ。


まずは、魔法から

「原始たる火の精霊よ、力を与えたまえ。火炎弾」

火の玉が飛んでいく。

昔と変わらないくらいのものができた。問題なく使用できるみたいだ。


続いて剣は、拾った棒を使ってみる。「神速連武、二連」

大きな木を二等分にすることができた。こっちも使えるようだ。


これで何とかなると安心した。


ギルドへの登録をしないと行けないからギルドに向かうことにした。


まだギルド制度はあったんだ!

少し感動してしまった。


ギルドへの申請をすませよう。

受付の男性に声をかけた。


「あの、ギルドに登録をお願いしたいのですが、こちらで大丈夫でしょうか?」


「はい、大丈夫ですよ。」

30代くらいの男性が少し驚いている。でも仕事なのかテキパキと書類作成を行ってくれている。


「あとは軽い試験になるのですが」

周りの視線が痛い、こそこそ話も聞こえてくる。

「あんなかわいい子供が冒険者?」

「魔法かな?」

「一緒にパーティーを組んでくれないかな」


以前は恐怖の対象でしかなかったので、熱い視線に正直気分が少しよくなった。


「おれが試験相手になってやるぜ!」

数人の男性から、声をかけられた。


受付の男性も困っている、彼はリーギスと言うみたいだ。


その中でもランクが一番高いローマンと言う冒険者が相手をしてくれるみたいだ。ランクはD


「よろしくね」と軽い挨拶をしてくる。紳士的な人物のようだ。


リーギスが模擬戦で使用する木剣を渡してくれた。


「それでは、始めてください。」


転生して、今回の人生はおしとやかに女の子らしく過ごすことを目的としているので、わざと負けることにしていた。


手加減しないといけないからね!


「お手柔らかにお願いいたしますね。」


笑顔で声をかけた。

その破壊力で、見物人の何人かが猛烈な応援をしてくる。


「ローマン傷1つでもゆるさないからな!!」

「おれとかわれ!!」


無視しましょう。


まずは、軽く剣を振るったつもりだったのですが....


ズバッ ドーーン


吹っ飛んでしまった。

周りの観客が固まる。


やってしまった。華奢な身体になっても力は昔と変わらないみたいだ。


その事を自覚することになってしまった。


熱烈な応援団も現実逃避し始めた。

「ローマンのやつ上手いぜ。」

「あそこまでわざとやらなくてもいいのにな」

「気を引くためだな!」


わざとローマンが負けたことになっているようだ。


現実を理解したのは、ローマンとリーギスだけだった。


こうして私の冒険者としての新しい1歩が踏み出されたのであった。

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