【第17話】宰相の秘密
セオドは、シャオに相談をすることにした。また宰相との面会についてもお願いするつもりだ。
「クルミ様の商会が竜神王国にとって危機になっていたとは...
クルミ様がそのようなことを考えているとは思わないのですが」
「いやそれは、私も宰相殿に伝えたのだが回りの大臣達は危険視しているようだった。
それもラルセット公国との取引もはじめるとのことで、それが状況を更に悪くした。」
「あれには訳があったのですが」
あれは、フリードに対抗心を燃やすローマンがやったことだった。
あれでもローマンは冒険者のランクは最近Cに上がり更にラルセット公国のギルドでの権力も上がったのだった。
それを利用して、ギルドに薬を勧めたのだった。
ギルド職員も最初は仕方なくだったけれど、効果に驚き今では率先して使用を推奨しているのだった。
ちなみにクルミは、役にたったなら良かったよ。とお気楽に話しているのをシャオは、聞いていた。
その事をセオドに説明した。
「はぁとりあえず、クルミ殿に面会をお願い出来ないだろうか?
城にくると他の大臣が何をするか分からないので、お忍びでこちらに来させて欲しい。」
「分かりました。お伝えします。セオド殿も大変ですね。」
セオドも自分でもほんとだよと思った。城に連れて行くと大臣が始末を考える可能性もある。
それより恐いのは、おそらく始末は失敗する。そして、怒ったクルミ殿を止めるのは難しいと思う。
セオドは本能的に、クルミとは戦っても負けると考えていた。
こんな気持ちになったのは、竜王様の戦いを見たとき以来だ。
もしかしたら、竜王様と同等の力をもっているのではないのだろうかとも思っていた。
本当はそれ以上なのだが、セオドのレベルでは分かるはずもなかった。
シャオは早速、商会の本社に訪れていた。まだ数ヶ月しかたっていないのに急成長である。
これは王国が危険視するのも分かると思った。
クルミに事情を話した。
「えっそんなつもりはないよ。」
クルミはそれは、不味いと思った。ジークの後ろ楯となってもらい王への協力依頼できているのに、その国へ嫌われる行動をしていたとは考えもしなかった。
「宰相と面会の件お願いできないでしょうか?」
「こちらこそお願い!」
何とかわだかまりを無くしたいと思ったのだった。
最悪こちらには切り札がある。
その切り札のところに向かうことにした。
面会は明日行われることになった。こういう時は対応が早いんですねって思ってしまったクルミだった。
「クルミお姉ちゃん!」
アリスが気づいて近寄ってきた。
仕事をちゃんと頑張っていたので、数週間振りに会った。
「今日は何しにこられたのかな?」カーグシン竜王が話しかけてくる。少し迷惑そうだった。
「カーグに頼みたいこと、ジークやアリスに会いたかったからね。」
それを聞いて嬉しそうにするジークだった。
「それでは、少し休憩にしますか」
皆で休憩にすることにした。
簡単に食事をすませる。
「それで話しとはなんですじゃ」
カーグシン竜王に事情を話した。
「国の内政は、宰相と息子に任せていたのですが、息子もどこで遊んでいるのやら少し注意しないといけませんな」
あなたも遊んでるんじゃないのと思ったのだ。
ジークとアリスは修行を再開しており、話しは聞かせていない。
竜王とばらしたくないのと、ジークが責任を感じるかもしれないからだ。
「私も同席いたしましょう。宰相は息子が自ら選んだ者で、右腕のような存在ですからな」
そうなんだと思った。宰相を見たとき少し違和感を感じたのだが、それも関係してるかもしれない。
翌日、宰相は商会の本社に訪ねてきた。護衛を少数にして、セオドも一緒だった。
部屋に招き入れる。
あちらは共はセオド1人だ。
こちらは、シャオ1人にして人数を合わせた。
本来ならフリードがよかったのだが、あいにく今日は不在だった。
カーグシン竜王は遅れている。
少しイラついたが、昔からそうだったから慣れている。
長命種は時間の感覚もアバウトだった。そのうちくるだろうと話をすることにした。
まず、こちらと、王国の状況をお互いに説明した。
こちらに悪意はないとわかってもらえたようだ。
でも、ジークの対応は遅いのにこんなときだけ早いのはちょっと不満だったので、少し意地悪したくなってしまったのだった。
魔法で、鑑定を入室した時に行っていた。やっぱり年寄りのおじいさんではないようだ。変化か、幻惑かの魔法を使用している。
「私たちが信用してもらえる前に、本来の姿も見せない人に、信用について言われても説得力がないと思いますけどね。」
少し言いすぎたかなと思ったが遅かった。
「どうしてそれを!!」宰相が怒りをあらわにした。
「何を言ってるんですか?」
セオドは知らないようだ。
少し険悪な空気になったところで
「もう話し合いは終わりましたかな?」とカーグが入ってきた。
それを見て、宰相が驚く。
「竜王様!」即座に跪く。
セオドもつられて即座に対応した。こちらも変装した竜王は知らなかったようだ。
シャオも驚いているようだ。何度も会っている人が竜王だったら驚くよね。
「ミン、正体を表すことを許可する。」
一瞬迷ったようだが、ミン宰相は「かしこまりました。」
術を説いたのだった。
そこには、女性の姿があった。
おそらくエルフの血が入っているような、きれいな女性だった。
シルバーの髪にスタイルが素晴らしい女性で、クルミが思わず胸の部分から目がはなせなくなってしまった。
豊満な胸に! クルミもそこそこだけど、負けたと思った。どうしたらあんなに大きくなるのか知りたいと思ってしまったのだった。
「竜王様、なぜここへ」
竜王は、これまでの流れを話し始めた。
クルミはまだ正気に戻れないでいた。
勢いあまって、
「お姉様と呼ばせてください!」と言ってしまったのだった。




