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【第10話】決勝戦②

武術大会の参加者は混乱していた。


クルミの試合が第1試合だったのが問題だった。


参加者はこれは無理だと思った。

かなりの参加者がリタイアしてしまったのだった。


そんな中、空気が読めない参加者もいた。ドレドラス。20代半ばだが見た目で、もう少し年上に見える。


その横には、10歳くらいの少女が歩いていた。


「参加者がリタイアが増えて、助かった!でも何でだろう。1回戦はあれはわざとだな。どこかの貴族令嬢かなんかだろ。

これはチャンスだな」


少女はアリスという。


「そうだね、よかったね!」


アリスはそんなことはないと思っていた。あのクルミという人は強すぎると思った。


あれは、反則だと思った。

でも、ドレドラスとは親子ではないが孤児だった。アリスを拾って育ててくれた。


冒険者としてもEランク。


田舎の村で、私を育てるために危険な任務は行わず採集任務や村人の手伝いなどを行って食いつないでいた。


しかしその村での生活も国同士の戦争に巻き込まれて、竜神王国に流れてきたのだった。


そこで武術大会に出場して安定した暮らしをしたいと考えて騎士団への入隊を目指した。


「ふーー」ため息がでた。


アリスは、心配していた。なぜかというとドレドラスは弱いのだ。


決勝には5人出場するはずなのだが2名はリタイアした。


だから3人での決勝となる。

ドレドラスは勝ったと思っている


「しょうがないなぁ」


実はアリスはこの時代で珍しいスキル保持者だった。


スキル【剣士】だった。


クルミのもつスキル【剣帝】は【剣士】スキルの上位スキルになる。



このスキルは物心ついた頃から分かっており使いこなしている。


村に来る野党、魔物を気づかれることなく排除していた。

それによりある程度経験をつんできた。


また、こっそりやると覚悟を決めた。


「隙をつかなくては、厳しいかなぁ」


まずは、クルミは後回しでもう1人の参加者を先に狙うことにした。


「ちょっと、散歩してくるね。」


「遅くなるなよ、今日は前夜祭だからな!」


「は~い!」


アリスは、ドレドラスが喜んでいて自分も嬉しくなった。


頑張ろう!と小さくガッツポーズをした。


参加者の宿は、分かっておりもう1人の決勝進出者の後をつけた。


フードを被っており暗殺者のような格好だ。


静かに後ろに迫った、人もいなくなり、ここならと動いた。


「ウッ アー」


一撃で気を失わせた。そして、両手、両足をしばり近くの小屋に運んだ。


重かったが何とか運び込めた。


「ごめんね、大会終わったら解放するから!」


意識はないが話しかけて後にした。



そして次の相手、クルミのもとに向かったのだった。


なかなか、チャンスもなく焦るアリス。


もう間もなく決勝戦が始まってしまう、どうしよう。




その頃クルミ達は、会場へと移動していた。


クルミは、実はアリスの存在に気づいていた。


朝からずっと尾行されているようだ。ジークへの襲撃者かと思ったがジーク達は来賓席へ移動した後も尾行されている。


「なんだろねぇ」


「つけられてますよね」

シャオ、メリットも当然気づいている。

シャオは気配で、メリットは探知魔法で。


「1人のようですね」メリットが人数も確認した。


それなんだよなぁ。クルミは考えた。


刺客の場合は少なすぎる。

私の観察、もしくは興味本意でという考えもあるが、それにしては敵意がある。


「聞いてみるかな?」


「大丈夫ですか?」メリットは心配そうだ。


「大丈夫、大丈夫!」


「あっちで、戦いの準備をしてくるね!」

そう言って、1人になることにした。


何かあれば必ず仕掛けてくると思う。



アリスは、ようやくつかんだチャンスを無駄にしたくないと覚悟を決めた。


「勝負は一瞬、なかなか強そうだけど不意をつけば何とか」


アリスは、距離をつめた。建物のかどを曲がるタイミングで勝負にでた。


背後から先ほど奪った剣で斬りかかった。


キーン


あっさりと止められてしまった。

しかも後ろも見ずに、アリスは焦ったが


「まだ、これで」


横へのなぎ払いの一撃。


これはクルミに防がれた。


「どなたかな?」


声をかけてきた。普通に問いかけられたアリスは驚き固まってしまった。


クルミは少し驚いていた。


襲ってきた人物が10歳くらいの少女だったからだ。

黒髪のショートカット。目がクリクリしてとても驚いているようだ。


ジークよりも年下だよね。


それに技量は、かなりのものだった。


クルミだからなんなく対処できたけれど他のものだと厳しいと思う。


「子供のいたずらじゃないよね?」


答えに返事はない、そして不利を悟ったのか距離をとり逃げ出してしまった。


子供だったこともあり、クルミは見逃すことにした。



シャオが現れた。


「なかなかすごい子供でしたね。でもなぜ追わなかったのですか?」


「子供がじゃれてきたのかもしれないでしょ」


笑いながら答えた。クルミは子供には昔から甘かった。


昔も怪物役でよく子供達と相手をしたものだ。


「まったく」シャオもあきれている


「必死な感じがするからまた来るでしょ」


今度は、理由を教えてほしいと思ったのだった。





アリスは、全身から汗が吹き出していた。全力疾走したからではない。


「何あれ、勝てない.....」


泣き出してしまった。


勝てないのではなく、このまま決勝戦では間違いなくドレドラスは負ける。


真剣で、生死を問わないから下手すると死んでしまうかもしれない。


それが怖かった。


陽気なドレドラスはいつもアリスのそばにいてくれた。家族のような存在だった。


騎士団への入隊もアリスに少しでもいい生活をさせたいからと分かっていた。


考えた、どうすればいいのか。

まだ子供なので、単純な考えしか浮かばなかった。


最初に襲った参加者のもとへ向かった。


「この人の代わりに私が参加しても分からないよね、そして、これを使えば.....」


顔を隠して出場することにした。

何としてもドレドラスの命だけは守らないと。

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