【第1話】美少女となってもてまくりたい
傭兵として、魔法剣士として最高位のSランクの武勇を誇る女性だ。
飯盛 胡桃 (イサカリ クルミ)
可愛らしい名前に似合わず、大きな身体、いかつい顔。
がさつな性格。こんなのだからこれまで独り身
そんなクルミも高齢になり、多くの弟子に慕われながら余命数日となっていた。
死に姿は見せたくないと、弟子達は部屋の外に出した。
ベットで、自分のこれまでの人生を振り返る。
生涯に悔いがありすぎる!!
生まれ変わったら、
かわいい姿で恐れられることもなく普通に恋や結婚もしてみたい。
「死ぬ間際に女々しいな、やり直せたらいいのにな」
だが、恥ずかしいところは見せられない。
そっと屋敷に火を放った。
「願わくば、生まれ変わったら普通の女の子に!!」
こうして伝説の英雄の生涯が終わった。
はずだった。
目が覚めると、草原の中に寝ころんでいた。
「あれ、まだ死んでないみたいだな、誰か火の中から助けてくれたのかな、余計なことを」
身体のおかしさに気づく、身体が軽くなった気がした。
起き上がることができた。ただ視線が低い気がする。
近くの小川に移動する。
「エッ!! この身体はなんなの!」
声もガラガラの声から変わってしまっている。
落ち着こう、夢ではないよう
放心状態になっていると
「どうかしましたか?」
少年が声をかけてきた。
「いえ、大丈夫です。少し気分が悪くて。」
「私の知り合いの屋敷がすぐそこにありますから休みますか?」
「いえいえ、大丈夫です。」
お供の中年女性が、
「ここは危険だから、一緒にきなさい!人買にさらわれてしまいますよ!」
そういえば、薄手の服だけで他に何もきていない、仕方がないので一緒に行くことにした。
そこそこ立派な屋敷に案内される。
「それでなぜあんなところに1人でいたの?」
お供の中年のおばさんが聞いてくる。
「それが気づいたらあそこにいて、記憶がなくて」
説明も難しいので記憶喪失にすることにした。
「それは困ったわね」
「しばらくここにいるといいよ。」少年が軽い口調で言ってきた。
「僕の名前は、ジーク ラルセット」
「あなたは?」
「クルミ」
「私はモーリアスですよ」
「ホントに王子様には、困りましたよ。」
「王子様なんですか?」
「知らないの?やっぱりこの国の人じゃないのかもね。人攫いから逃げてきたのかしら?」
「いいじゃない、しばらく面倒見るよ。」
王子様は、顔を赤くしながら説得していた。
照れてる?この私を?
部屋にある鏡を見てみる。さっきは川でよく見えなかったが、凄い美少女だ。年は18くらいかな?
背も低く、目もパッチリで黒髪のロングだ。私が憧れていたよりもきれいだ。
王子は12歳くらいかな、金髪でかなりのイケメンだ。ただまだ子供だなぁ
でもそれもいいかも!
戦では、気持ちの切り替えが早くなければ死ぬ。
これは気持ちを切り替えて、今の自分を受け入れよう。
これから新しい生活が始まるんだ。
疑問より嬉しさの方が勝ったのだった。
とりあえず、食事をいただいて寝ることにした。