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耳の主

作者: みなづき

 ゴー、ゴー、ゴー、と耳の奥で低い音がする。耳の中で何かがうめき声を上げるているかのような。もう、何日目だろう?自分の耳が静かになるときはない。

 しばらくライブはやめたほうがいいだろう。私は思った。バンドを組んでる仲間には申し訳ない。


          今日、言おう。

 

 そう考えながら私は練習のカラオケに着いた。既にみんな揃ってる。

 私は練習の時、いつも髪を縛ってる。が、今日はおろしたまま。物珍しげにみんなジロジロと見てくる。


「ごめん、私、しばらくライブできないわ。」


「何で?」


ドラムのナギサが一言。


「ミサキ、喉でも痛めて歌えへんの?」


心配してくれるエレキのナミ。


「ちゃう。喉は何もない」


「じゃぁ、何でなん?」


バンド活動に将来を賭けてるベースのミナト、少し苛つき気味。


「耳がなんか変やねん。耳の主がゴーゴー言ってる」


………は?っていうみんなの反応。だよね。


「多分、耳鳴りやと思う。けどなんか普通と違う気がして、音が低いねん。大きい音聞くと何かいろんな音が混じって不快に聞こえる。今はあんまり、大きい音聞きたくない」


 結局、バンド仲間は私のかわりのボーカルについて話し合って目星をつけて解散となった。結局、私の代わりなんていくらでもいるんよなー、と思ってみたり、虚しくなってみたり。

 家に帰っても耳の主はゴーゴー鳴いている。いつになったら落ち着くんだろう。夜寝るときも鳴いている。何がそんなに悲しいん? 

 

「つらいわ……」


ポツリと思わず呟いた。なにがつらいんだろう?自分でも今ひとつわからんな。ずっと泣いてる耳の主よりは自分はマシかな?


結局、耳の主の正体は分からぬまま共に過ごした。



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