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異世界に転生した

心地よい肌触りの布に包まれている。


こんなの俺の家にあったっけ?

っていうか俺、玄関で倒れなかったっけ。

いつの間にベッドに移動したんだろう。


そうか、俺の本能がベッドを求めたのだな。本能グッジョブだ。


さて、今何時かな。出勤までもう一眠りくらいはできるだろうか。


枕元にあるであろう時計を取るために手を挙げると俺の目には小さな手が映った。


ん?


なにこれ。


とりあえず目の前で振ってみる。


おお、俺の意識したとおりに手が動く。


え、なにこれ、俺の手?


うひょー、え?


どういうことだ。


俺、ついに徹夜しすぎて頭おかしくなっちゃった?


それともこれ、夢?


あまりにも脳に負担がかかりすぎてついにおかしくなってしまったのだな。そうか。エナジードリンクではやはり限界があったのだよ。知っていたよ、あれは一過性のドーピング効果はあれど持続作用はそれほどないって。だから俺は持続させるために何本も一日に飲みまくっていただんけど、やっぱ限度はあるよな。


「あなた、起きたわよ」


女性の声が聞こえる。


優しげな声だ。


「おおー、ユーリ、目が覚めたか?よく眠っていたなぁ」


頼もしい男性の声が聞こえる。


ユーリ?二人は俺を覗き込むように見ている。


ユーリって誰ですか?

と聞こうとして俺の口から出た言葉は


「あーあーうーえ?」


というものだった。


それから数日。


ようやく俺にも事情が飲み込めて来た。


どうやらここは俺がかつて生きていた日本ではない、らしい。


母さん、と思われる女性が何事か呟いて火を起こしたり、父さんと思われる男性が剣を振るうと風の刃が発生し、木を切り倒したりしているシーンを見かけた。

あれは魔法というやつだろう。

間違いない。俺が社畜になる前に見ていたアニメと非常に酷似している。


そして今の俺は赤ん坊だ。生まれたばかりの赤ん坊なのだ。中身は28歳社畜だ。


俺が思ったことは

「これ、マニュアルありますか?」だ。不測の事態が生じた場合、まずマニュアルがあるかどうかで問題の処理における難易度がだいぶ変わる。次に前例があるかどうか。


そしてこの2つとも俺には与えられていない。


どうしたものかと思案したものの、赤ん坊の俺が自発的に出来るのは母親の乳房をしゃぶるくらいだ。

排泄物?あれは俺のコントロール外だ。

まだ赤ん坊だから仕方ねーよな。

母親はとてもきれいな人だった。

見た目は日本人。日本人は小振りなおっぱいが平均的なのだが、この御方は平均以上の立派なものをお持ちだ。

実物を目にしたのは何年ぶりだろうか。全く俺は仕事以外何をしていたのだろう。


「はっ!」


外からは父さんが剣を振るう声が聞こえてくる。

細マッチョのこの男性もまた日本人的な外見をしている。


両親どちらもとても優しく俺に接してくれる。まあ、赤ん坊に優しく接するのは普通のことか。


俺には兄弟姉妹はいないようだ。


さて、今日もごろごろ過ごして時々おっぱいを飲む一日が始まる。


社畜時代に比べて格段に心に余裕がある。

やっぱ社畜ってクソだな。

ああ。でも寝てるだけっていうのはとても退屈だ。早く大きくなって自分で外を歩いて回りたいな。


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