集結1
少女は北川真央と名乗った。
「ぼ、僕かい?僕は九条孝」
話し合いの場所は公園に移されていた。人気のない公園には、寂しそうに遊具が点在している。
孝はこの真央と名乗った美しい少女に警戒の気持ちを抱いていた。なぜ自分の能力がばれていたのか。孝ですら、自分の能力の発現に驚かされたのは最近のことだ。最初は自分の妹に見せた。妹は、孝の見せた映像に悲鳴を上げ、恐怖した。何てことはない。ちょっと怖い映画の1シーンを現実に見せただけだ。しかし、効果覿面、孝は自分の能力を確信した。
「なぜ、僕の能力を知ってる?」
孝は一番気になることを率直に言った。
「あなた受験生よね。ちゃんと勉強してるの?」
真央は澄んだ瞳を孝に向けた。端正で美しい横顔は孝をドギマギさせるに充分だった。
「まあ、したりしなかったり。する時もあれば、しない時もあるみたいな」
「ふーん。受かる気ないんだ」
「いや、そんなことはない。二浪はしたくない」
「無理ね」
真央は単刀直入に失礼なことを言った。孝は幾分鼻白む思いで言い返した。
「やってみないうちから、言い切らなくても・・・」
しかし、声は小さくなった。この子は中学生くらいかな、随分ませた感じだが、飛び抜けて美しい。きっと、もてるんだろうな。俺なんか鼻であしらわれてる。孝はそう思った。そして、自分が完全に彼女にペースを握られていることに気付いた。
「もう一度聞くけど、なんで、俺の能力を知ってるんだい?」
「私ね。未来が見えるの」
孝は驚いた。そして、失望した。
「ん?ああそうね。大学のことは未来が見えるから、言うんじゃないの。今に、それどこじゃなくなる事件が起こるの」
真央はもったいぶったような仕草で、孝に向き直ると言った。
「あなたは日本がそうなる前に救うの。だから、勉強どこじゃなくなるわ」
「え!?」
更に仰天している孝に真央は言った。
「まあ、私を信じればいいの。もう、女子中学生を脅かして、憂さ晴らしをしちゃ駄目」
孝は肩をすくめて、面目なさそうに笑った。