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転生?TS!ロリ!百合!冒険!  作者: 秘密(単に匿名)
23/63

2-5話 ギルドマスター

2022/1/18追記:修正!

2-5





現在、沈黙が部屋を支配している。今まで説明してきたラルフとミルも知らなかった事実に、空気が固まったのだ。



(流石にびっくりするよね……)



沈黙の原因となってしまったマヤも、申し訳なさそうにうなだれていた。ここで、ギルドマスターが


「説明以前の問題だったか。しかし、面妖な事だ。我々の言葉はこうして通じているというのに。」



沈黙を破り、皆の意見をまとめてくれた。マヤたちもそれぞれ思考を巡らせながら頷く。



「ならばギルドマスター、今出来る説明はしておきましょう」





〇しばらく後





(大体わかった。まとめると、こんな感じだ。)


===========

マヤ [謎の種族]


特技:[謎の特技]


依頼回数:0

クリア数:0

犯罪回数:0

===========



この言語は発音の方法が日本語と似ている。いや、もはや日本語と違う点が逆に目立つぐらいには少ない。昨日の夜に『センタ・クッキー』なんてあったが、あれもきっとそういう部類だろう。魔力をネリネリしながら理解できるレベルだ。



(今考えれば、確かに時々変な発音もあったような……)



時々そんな事があるだけで、普段は殆どない。恐らく、元から存在していた言語をローマ字みたいにして日本語に置き換えているのだろう。つまり、あれだ。ここは転生者が無双した後の世界という事だ。



「……飲み込みが早くて助かる。」



そして、その後も依頼の受け方の説明等を受けたがここら辺はテンプレ通りだった。クエストボードから張り紙を剥がし、カウンターに持っていけば受けられる。カンタンだ。一応、小さなルールはあるが。


そんな説明を一通り終えた後、一旦一息つくと、ギルドマスターは少し声を落としてこう言った。



「して、最後に。マヤ殿は、目的があるか?」



ツーー……と、脳波の音が聞こえる。しかし、前から言われていたことだ。マヤの中では大体の方針が決まり始めていた。



[いろいろなモノが見たいです!]


(本当は何もないけれど、やっぱり観光したい。ダラダラもしたいけど。)



実際にこの言葉に嘘はない。だからか、ギルマスは安心したようにイスにもたれかかった。そうして、大きく一息。全ての話題が終わった。空気がそう告げている。

授業や講義の終了にもにた、さわやかな空気が

「……ただ」


[!?]



重圧。重い。空気が重い。再度体はこわばり、不意な出来事に緊張が走る。そうして、まるで見計らっていたかのように、



{コンコンコン}



扉がノックされた。しかし空気は変わらない。誰も応えないし、動かない。



「ここで、始末するべきか」


{(ギルドマスター、お茶をお持ちしました)}



扉の外には余程のKY(空気読めないやつ)が居るのだろう。いや、彼女もまた被害者なのかもしれない。



「それとも、生け捕りにするべきか」


{コンコンコンコン(ちょっと、無視はやめてくださいよ!)}



ざわっ



放たれる、黒く赤い空気。濃厚な殺気。日常空間は、既に無い。


(体が動かない!?こんな事っ……ホントにあるのか!)


何かの術だろうか。比喩でもなく、体が動かない。動かせたとしても、小指がぴくりと動いただけで『斬られ』そうだ。


そう、斬られる。



「……マスター?」{ガチャッ}

(それはダメだろっ!)

{ドタッ!!!}



マヤが理解した瞬間、まるで影のようにギルドマスターは滑り、動き出した。素早くシャープな、鋭利な刃のような動きだ。たった一瞬、しかしマヤの体は反射的に魔力を



[があぁっ!]{ヴォッ}

「ギャーーーッ!?」


「んがっ」「ちょっと!」{ギィィイ}



魔力を足に纏って、がむしゃらに飛んでいた。全てがスローモーション、女性が持ってきていたお茶(?)が飛び散り、氷は宙を舞う。実体化しかけたタケシがギリギリの状態でギルドマスターの得物……短剣をぎこちなく遮っていた。そういうふうに感じた。



{……イィン!}



金属音が鳴り響き、微かな風が頬を撫でる。そして後から、カップが地面に落ちる。マヤはその様子を見るどころか気づくことすら出来なかったが、また影は動き出した。



「よっほっほっほっ」



中身が少し零れ落ちてマヤの顔にかかったが、腕、肩、頭、と全て回収してもう一度トレーに置き、静かに机へ。



[……]「「……」」



その頃には殺気のようなものは消えており、空気が戻り始めた。



「ひ……ひぃぃぃ!」


「すまない、殺すつもりはないから安心せよ。」


「ふぁ……ふぁい……」



半泣き状態の女性従業員の手を取って立たせると、彼女はそのまますごすごと出て行った。


{パタン……}



「マヤ殿」


[っ!]

話しかけてきたギルマスをマヤはにらむ。



「危害を及ばすような意思はないならば、いい。今はそれが分かればそれでいい。」


そう言ってギルマスはソファーにもう一度座り、茶を飲んだ。ミルとラルフも疲れた顔で座りなおし、


……ん?



(あれ?今どうやってお茶飲んだんだあの人。ていうか、魔法使えたよね今。それっぽいの出たよね。二人吹っ飛んでるしね。いやホントごめん)



[ごめんね……]


「…大丈夫だ。今のは仕方ないだろう」



流石に申し訳なくなって謝ったが、ラルフは普通に許してくれた。ただ、ミルは何も言わない。もう辛くなってきた。ため息しながらイスに座る。



「して、先ほどの特技。報告には無かったが……それはなんだ?まあ、この辺りは教えられないのなら別に良い。」


[あれはボクにもわかりません。でも、名前は付けてあります。『剛』です]



縦に抱く形でタケシを実体化。これは凄いのか、ギルマスも「ほう」と少し驚いたという感情を見せる。



(……個人的には、黒い力のほうが気になってはいるんだけどね。非合法パワーって呼ぼうかな)



「マヤ殿はわからない部分が多い。しかし一般的には、なにも無い空間から武器を出すような特技を『インフィクション・ウェポン』と言う。……少なくとも、珍しい特技ではある。」


[いんふぃくしょん……へぇ~]



(なんか急に技名っぽいの出たなぁ。なるほど、インフィクションねインフィクション。)



そして数秒の間を置いた後、ギルマスはパンッ、と手を叩く。



「では、もうそろそろ昼食を摂ろう。無論、おぬしらも一緒だ」



するとさっきまでは疲れていたミルとラルフの顔が急に明るくなり、「「やったー!」」と喜んだ。ギルマスが移動した方向にマヤもついていく。


(そんなにお腹減ってたのか)


出会った時の調子を取り戻した二人を見てマヤは一安心するのだった。





〇しばらく後





「どこにします?この時間だと混んでいる店が多いと思いますが。」

「私はどこでもいいで~す!」


噴水広場まで歩いたが、まだ店は決まっていない。ギルマスは少しうなってから、「ついてくるがいい」と歩き始めたのでワクワクしながら進む。ギルドから噴水広場を左に曲がり、大きな下り坂を降りる。……遠くの海が見えてキレイだ。


大通りを抜け、少し狭い道へ。大通りは車4台は通れる道だったが、それに対してこの道は人が3人通れるくらいだ。周囲を見渡していると、突然、鼻の中にツンとした芳醇な匂いが立ち込めてきた。



[あ、いい匂いしてきた]

(なんかこの匂い知ってるような気がするけど)



まるで迷路のような道だが、大通りの圧倒的な存在感により迷うことは無さそうだ。遠目で大通りを見ると、焼き鳥みたいな屋台も見えた。うまそ~~。


噴水広場から10分ちょっとで店にたどり着く。



「ここかぁ~!マヤちゃん、アタリよここは!」

「もしかして、ウワサに聞いた行きつけの店って……」


「ふふ。この匂い、たまらぬ」

{ガラララ}



むわっと広がる香辛料の香り。これは、アレだ。ご飯にかけて食べる、辛くて最高にうまいアレ。きっと皆もよく食べるやつ。最高だぜ。



マヤはたった3日とはいえ、久しぶりに食事らしい食事にありつける事に感激していた。



「おや、いらっしゃい。…ん?」


店の中には6つのテーブル。どれも4人で座れそうだ。厨房との壁にカウンター席も用意されている。殆ど満員だが、奇跡的に一つのテーブルが空いていた。店主がマヤを見るが、すぐに店の奥に入っていく。


4人でテーブルに座る。

マヤはとりあえず外側に座った。出口に近いところがいいんだっけ?


ギルマスがメニューを取って、みんなが見える位置に開く。しかし、本人はもう決まっているのかメニューは見ずに、こちらを見ている。ラルフとミルも決めたようなので、マヤもシンプルなものを選んだ。絵で。


ベルを鳴らし、店員にメニューを伝える。「いつもの3つと、少なめ一つ……」と小声で言い、店の奥に入っていった。しばらくすると店員が出てきた……がほかのテーブルへ持っていた。よくあるよね。こういうの。


一人でやっているのかな?と思ったが、あの人は運んだりメニューを聞くのが役目なのか、そこまで厨房には居ない。尻尾をふりふり ぱしぱし しながら待つ。すると、



「マヤ殿。もし、エラーが起きたとしても虹色のカードで出てくることは無い。情報は皆無。もし今後、何か変化が起こるようならば是非私に報告するように。」



移動中、ギルマスも様々な経験から予測を立てていたが、現時点ではマヤの正体は断定できないらしい。



[はい。……ギルドの従業員さんに伝えればいいですか?]


「いや、紙に書いて黒いポストに入れておいてほしい。ミル、ラルフもだ。頼んだぞ。」

二人はうなずいた。


ギルドにあったポストの内一つは、ギルドへの報告用らしい。主には犯罪が起きたり、クエストの期限を延長したいときに使ったりするのだ。


もう5分ほど待つと、店員が料理を運んできた。ミルが魔法で水作り、コップを4人に配ってくれる。あー、水は無料じゃないのか。日本ってそう考えるとすごいよね。



{ゴトッゴトッ、ゴトッゴトッ}



素早く皿を2つずつ置く店主。するとラルフが、先に硬貨を出した。銀、銅。そういえばお金について聞いていないなぁ。



4人に出された料理は、そう……『カレー』だ。おいしいよね。僕は中辛が好き。

もう少し語彙力があれば、カレーって途中で分かるんですけどね・・・・・。

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