Story15 手合わせ
「ッシ!ッシ!」
俺は、珍しく早起きし、宿舎の裏の庭で、愚直な素振りをしていた。いい汗もかいたし中に入ろうかとは思ったんだけど、雷と氷の単語詠唱の練習をすることにした。
「雷弾、氷弾」
町の中なので、あまり強くは打てないが、まあ普段の戦闘ではとても役立つ。そんなこんなをしていると、起きたばかりだろう翔が出てきた。
「あ、冬也。はよ」
「ああ、翔、手合わせしてほしい。」
「ああ、いいよ~」
軽そうな返事をして、構える翔に、俺も構え戦闘を申し込む。二人して同じ、居合の技を出そうとしている。
【・・・・・2,1はじめ】
無機質のアナウンスの後も、二人は動かない。翔は目を閉じ、光を集める。対する俺は、三つの魔法を刀に込め、鞘で閉じ込めている。時間は、止まっている。二人の間に風が吹く。腰を落とし、鞘口を持ち、魔力を込める。10分はそうしていた気分だが、二人は動く。
「光の一閃」
「炎雷一閃」
俺は、引き下げられた右足に炎の如き爆発を起こし、雷のスピードで距離を詰める。翔に関しても、光速で動く。上から来る居合に対する、俺の下からの居合。
カーンと、高らかに金属音を響かせる。はじかれるそれ。体がそれに持っていかれる。先に動いたのは、翔。はじかれた手首を返し、体を翻し、首めがけて刃が迫る。それを、氷のように静かに、体勢をさらに低くし退ける。刀に意識を注ぎ込み、集中する。翔を見据えたままの俺の目には、周りが止まったように。いや、遅くなったように見える。そして、炎の爆発力、氷の静けさ、雷の神速のイメージを反芻する。あたりは気温が上がり、息が蒸発する。俺は銀のように白熱する雷を纏う。そして刀は氷を纏う。
「星光の一撃」
低い体勢のまま、少し後ろに下がり、右回転し、立ち上がるように、胴に刀を入れる。咄嗟に双剣で同をガードする翔。さすがにやばいと思い、胴の部分に結界を張る。だがそれが不幸して後ろに思いっきり吹っ飛ぶ。
「翔。大丈夫か?」
「ああ。背中がイテーだけさ」
「よかった」
「あんまよかないけど・・・」
「もういいかなお二人さん」
「シオンさん、居たなら止めてくださいよ」
「いやー、見てて面白かったんでね」
「それで何の用でしょうかね?シオンどん」
「ちょっと二人にいい話があるよ。」
「ふ~ん」
「先ず翔君。君は、聖職者の人たちの所で修行できるように手配しておいたから行っておいで。」
「はい」
「次に冬也君は、水魔法を得意とする騎士がいる。ちょっと魔法盗んできちゃいな。もう私のも持っているんだろう?」
少し驚いた。俺がすでに持っていることに気づいているあたりに。まあ修行していいなら少しいいかも知れんな。
「それじゃあ、有り難く行かしてもらおうかな」
「分かった、そう手配しておく。なんか暇してるなら、闘技場に行くといい。出発は翔君は明後日。冬也君は、明々後日ね。忘れずに。」
「分かりました。ありがとうございます」
「うん。楽しんでおいで」
よし取り敢えず闘技場に行こう。




