Story13 暗殺者と覚醒するもう一人の勇者
【・・・・3、2、1、はじめ】
無機質のアナウンスがゴングを鳴らす。明が地面を蹴り手にしていたのは、ナイフ二丁。刃渡りはこちらのほうが長いが、警戒は緩めてはならない。来たのに合わせて、流す。翔には、冬也ほどの応用力は無い。なので、手数。勢い。地に足のついた乱撃をする。
「そっちが数学の天才なら、体操全国一位、なめんじゃねぇぇぇっ!」
「ッ!」
明はナイフを扱いきれていない。逆手で振っているだけでしかない。重みがない。魔法特価な明が翔に肉弾戦で戦うのは、器用貧乏があるから。大成はできないが、器用に万遍なく立ち回るのは得意だ。だから魔法は使いたくないのだろう。
「行こうか。Սառույց, դրեք այդ ուժը բերանի մեջ և դառնաք իմ կերակուրը: Սառցե բերան(氷よ、その力を刃に込めて我の糧となれ。氷纏刃)」
「君は魔法が使えないと思っていたんだけどな。君たちは本当に規格外だ。最初に殺るべきだったね。」
「「デトネーション」」
「なんで君が爆裂を使うのかな?」
「動体視力向上。あとは口を見て、同時に近い形で詠唱する」
「・・・おしゃべりはここまでにしようかな」
「同感だ」
魔法を混ぜた明の攻撃を、完全に同じ立ち回りをする。時間が過ぎる。20分近くこんな均衡が続く。だがここでバフが切れ始める。そのタイミングで、明は大きなモーションで翔を討とうとする。だがここは冴え切った感覚で、後ろにバク宙。ついでに、あご下を革靴の先でかち上げる。後ろによろける明。集中力も限界に近い翔だが、ここで折れる気はない。明はまた構え直す。対する翔は双剣をジャリィンと鞘に落とし込む。右手は剣の柄に触れる。腰を落とした翔の回りには、光の粒子が集まっている。そんな翔を脇目に、明というと闇色の気を纏う。そんな両者を見るシオンは直感する。「次が最後の攻撃になる」と。
深呼吸をする二人の間には相反する覇気がぶつかりスパークし、火花を散らす。相互の気は高まりつつあるなか、一方は落ち着き、一方は昂ぶり。
目を閉じていた翔は、一気に目を開く。それと同時に、明は高く跳躍する。翔に向かい落下する。翔は今だ尚、深呼吸を絶やすことなく行う。
(冬也の熾烈炎陽のイメージだ、落ち着け。引き付けろ)
瞬きの踏み込みの、瞬きの蹴り。それをコンマ一秒で行う。それが熾烈炎陽という技。
明が、攻撃態勢に入る。
「あの人のためにも死んでもらうよ。闇の狼牙ッ!」
「・・・・」
明が振りかぶり、胴が開いた刹那、一つの光の点が、光の線となり貫く。明の視界は、すでに天井を向く。
「・・・光の一閃」
「なぜ君たちは僕に逆らう?なぜだ?・・・まあいい。これで終わりじゃない。冬也君によく言い聞かせると良い」
そう言って、明は闇の砂となり、風に流されていった。
あっ!そうそう。遅くなりましたけど、皆さんはクリスマスはどう過ごしました?私の友人は勉強で潰れたそうです。受験生とやらは大変ですねぇ。他人事な私も受験生なんですがねぇ。私はカップルを見てほっこりしていたいのですが、今年は平日というのもあいまってか、誰もそういう風がないんで残念です。遅ばせながら、メリークリスマス。年内まだ投稿するかな?まぁ少し早めですが、よいお年を。これを読んでいる皆さんに幸があらんことを願って。




