2.傲慢
家に帰り、2人から話を聞く。
「俺は小暮湊人。湊人でいい。君は?」
「儂はルシファー。傲慢の悪魔じゃ」
「悪魔?」
「うむ。悪魔より魔族と言ったほうが分かりやすいか?」
「いや、悪魔でいい。てか魔族って何?」
「魔族は魔界に住むもののこと。悪魔はそのなかの1つというわけじゃ」
「あと、今何歳?」
見た目は8、9歳くらいなのに、この口調。
悪魔だから年をとらないとかそんな感じか?
「120歳くらいのはずじゃ。詳しい年は覚えとらん」
「そっちの人は?」
「私はヘルシーナ・ドラグステイ。シーナでいい。一応、魔王」
「一応?」
「現在、魔界では魔王側と皇帝側に別れて戦争になっている」
「で、皇帝側が優勢と」
「そういうこと」
「この子を匿うってのは?」
「こちらが唯一持っている大罪だから。ここで失うわけにはいかない」
「大罪? 七つの?」
「ああ。魔王や皇帝より強い」
「それをどうして匿う必要が?」
「大罪は能力のようなものだ。この子がずっと年を取らないのも、そこに理由がある。そして、その能力は受け継がれる。殺されたなら殺したものに」
「老衰とか病気で死んだら?」
「それはない。大罪の力で老いないし、病気にもならない」
「事故で死んだら?」
「後継者に受け継がれる。自殺の場合も同じ」
「後継者はどうやって選ばれるんだ?」
「同じ種族の中からランダムに選ばれる。その結果、彼女は9歳のときにルシファーになった」
「てことは前のルシファーは事故死か自殺で死んだってこと?」
「自殺だよ。皇帝側に奪われるぐらいならと言って死んだ。そのとき近くにいた彼女がルシファーになった」
今のルシファーが120くらいだから110年くらい前ってことか......
戦争ってそんな前からあったのか。
「どうして俺なんだ? 人間界のほうが隠れやすいってことなら他の人でもよかっただろ。たい焼きあげたから?」
「それもある。けど一番の理由は、君の近くにいると気配が消せるから」
「は?」
「大罪は魔力量が多いから、気配を消しにくい。でも、君の近くにいるときだけ気配が完全に消える」
「なんで?」
「多分、先祖が魔族と関わってたとかだと思う」
「で、誰から護ればいいんだ? さっきから話に出てくる皇帝?」
「その通り。幸運なことに皇帝側は大罪を1つしか持っていない。それに会っても逃げるぐらいは出来るだろう」
「殺すのは? こっちには大罪1つと魔王がいるんだし、勝てそうだけど」
「無理だね。ルシファーは体が幼い。あの体じゃできることは少ないから確実に負ける。戦わず、逃げろ」
「報酬は?」
「は?」
「報酬だよ報酬。リスク背負ってこいつ匿うんだから報酬ぐらいあるだろ。第一魔王側になる意味がない」
「魔界の半分とかいらない?」
「いらない」
何の役に立つんだよ。
「分かった。それじゃあ......」
「それじゃあ?」
「君のその、退屈な日々を変えてやるよ」
そう言って笑った。
まるで、こう言えば従うことを知っているかのように。
でもそれは、きっと、自分が本当に望んでいたことだ。
だから、
「分かった。こいつを匿えばいいんだな?」
「ちょっとまて何故そうなる?! そんなことに命かけるのか?! というか儂おいてけぼり?」
隣で幼女がうるさいが、構わない。
「ミナト......もう少し話を......」
これが俺の選択だ。




