24話:ジョブズ、アップル買収へ
しかしネクストキューブ は開発と運用のしやすさから、世界初のWebサーバとして用いられたという大きな功績も残している。また、世界初のWebアプリケーションサーバ開発運用環境Objectsが、開発され新発売。NEXTSTEPとその開発機能はWebサーバなどを比較的簡単に開発構築、運用できる利便さを兼ね備えたものであり今日のマックOSにも受け継がれている。
NEXTはソフト事業に特化した後、世界初のウェブアプリケーション開発、運用環境であるWebObjectsを出荷、NEXTSTEPも自社内開発を行う金融機関などに受け入れられ、まずまず安定した経営をしていたが、株式公開は出来なかった。1995年末、ジョブズは友人でオラクル創業者エリソンと、共同で経営の傾いたアップルの買収を画策する。
エリソンはWindowsを打倒すべく、ネットワークコンピューティングを提唱しジョブズとアップルによって実現しようと考えていたが、最終的にジョブズと話が合わず、買収提案が流れた。ジョブズは1996年の11月頃、アップルが自社内でのOS開発が暗礁に乗り上げ、次期OSの基本技術を外部に求めているという話を聞きアップルにNEXTSTEPを売り込もうと画策した。
そして、当時アップルのCEOだったギル・アメリオに電話をかけ1985年の退社以来、久しぶりにアップルを訪れアメリオやマークラ達と話し合いを持ち、簡単なプレゼンテーションを行った。アメリオは後に、この時のジョブズの対応を愛想の非常に良い好感の持てるものだったと言っている。アメリオとアップルCTOのエレン・ハンコックは次世代MacOSマッキントッシュを動かすための基礎的プログラムの候補を提案した。
それはBe社OS、サン・マイクロ・ソラリス、マイクロソフト・WindowsNT、NEXTSTEPの4つを挙げた。元々アメリオは、ワークステーションやサーバで用いられ堅実に動作するUNIXの中でも特にカーネギーメロン大学で開発されたMachに目を奪われていたが、詳しくて調べるとNEXTSTEPが最適と考え特にWebObjectsの出来に感動しジョブズからの売り込みがなくても交渉は行うつもりでいた。
ジョブズはNEXTSTEPの良い面も悪い面もすべてさらけ出し、完璧なプレゼンテーションを終えMacOSをNEXTSTEPに決まり1996年12月20日、アップルがNeXT社を4億ドルで買収することに合意し次期OSの基盤技術としてNEXTSTEPを採用すると発表。ジョブズはアップルに非常勤顧問という形で復帰し1997年2月、正式にNeXT買収が完了した。
アップルに復帰する際、買収代金の一部として6か月先まで売却できないとの条件で150万株の株式を譲渡されていたがアップルの復活を半ば諦めていた事もあり期日が来るなり、またしても
1株を残して即座に売却した。ジョブズは経営の実権を奪取すべくアメリオを追い出すための画策を講じた。アメリオはいまだにアップルの業績を向上させられないとして全ての役員を味方にした。
アメリオをCEOから引きずり下ろし7月にアメリオが退社すると経営陣はジョブズにCEO就任を要請したが、ジョブズは多忙を理由に断った。当時、筆頭株主であった立場を利用し役員たちに辞任を迫る。結局、マイク・マークラを含む経営陣はほとんどが辞任し、その後任としてエリソン
やジョブズと縁のある人物が就任した。




