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22話:ジョブズの積極性と謙虚さ

 また、ここで話題をアメリカのスティーブ・ジョブズに戻すことにしよう。スティーブ・ジョブズが1986年はじめ、突如、アップルコンピューターを退職してピクサー・アニメーション・スタジオを1千万ドルで買収したとのニュースがアメリカ中を駆け巡った。買収額の1千万ドルの内訳はジョージ・ルーカス自身に500万ドル、ルーカスフィルムに500万ドル、その会社をピクサーとして、1986年2月3日に独立会社とした。


 買収の背景としてルーカスフィルムが7年間に及ぶCG作成ツールの研究に拠る現金流出を止めたかったこととルーカスフィルムの視点がCG作成ツールより、むしろ映画制作に移っていた事と、ルーカスの離婚慰謝料の支払いがあった。ジョブズは買収資金として退社したアップルコンピュータの株を売り払った資金の一部を流用した。


 独立当時のピクサー経営陣はエドウィン・キャットマル・社長兼CEO、アルビー・レイ・スミス・エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼制作監督、スティーブ・ジョブズ・会長となった。スティーブジョブズの考えはアニメーションスタジオをつくることではなく、アップルに対抗する次世代の家庭向けコンピュータをつくることにあったようだ。


こうしてピクサー・イメージ・コンピュータを販売する事業として新たなスタートを切ったが、思うように売れず赤字が続き、スティーブジョブスが5400万ドルもの大金を自分のポケットから会社に注いで何とか存続できるような状況だった。そこでピクサーは大きく舵をきることになります。ハードウェアの販売をやめ違う領域に向かう事を決めた。次に向かう領域が何か、また自分の会社を

支えられるかをわからない。


 この大冒険に踏み切った訳は、ただひとつ、自分たちが最初からやりたかった事をとことん追求するという決意だった。その後、CGアニメーションで活路を見出そうとしたピクサーはジョン・ラセターの作った短編アニメやCMなどでクリエイティブな賞をとることにより実績を作り、遂に、あのディズニーからピクサーが長編映画を作りディズニーのものとして配給したいのだが、協力して

欲しい言われた。


 出来た作品がトイストーリー。これまで、ピクサーに、口出ししなかったスティーブ・ジョブズが、素早く動き、トイストーリーを公開する前に株式を公開しよう決めた。ジョン・ラセターとキャットムルは「いや。とりあえず2、3本獲ってからにして下さい」と反対した。しかしジョブズは駄目だ、今やるんだと決めた。


 これにはジョブズのトイストーリーがヒットすれば、ピクサーをディズニーが、怖いライバルだと、感じて、パートナーとして買収するはず。そうすれば有利な条件で契約できると言う綿密な戦略があった。そして、トイストーリー公開の1週間前・1986年2月3日にピクサーの株式を公開した。ピクサー初の映画が興行収入記録を打ちたて、株式公開により1億4千万ドル近い金額を調達した。


 そして、ジョブズの思惑通り、ディズニーから、契約を見直し、ピクサーと提携関係を結びたいとの話があり半々という条件も了解させた。ジョブズは、さらにジョンラセターとキャットムルにディズニー・アニメーションとピクサーの両方の経営を任せると言った。その当時、低迷していたディズニーは、その後、キャットムルを中心に抜本的に制作体勢を見直し「塔の上のラプンツェル」「アナと雪の女王」の大成功で盛り返した。


 試写会を終えた後のジョブズが控えめに自分は映画づくりに関しては素人だから全く無視してもらっても構わないがと前置きして、するどい感想を述べた。さらに続けてジョブズはピクサーのスタッフに「生まれ変わったらピクサーの映画監督になりたい」と漏らした。 ジョブズとピクサーの関係は、あまり知られてないが、監督たちと、太い絆で結ばれていて、ジョブズにとってピクサーは特別な存在だったようだ。

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