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模擬戦 その2

前後半で終わると思ったらなんか3つになりそうです

訓練棟は教室棟から歩いて5分くらいのところにあった。まぁ、連絡橋で繋がってるんだけど。大小11の訓練施設が備わっておりARデバイスの調整もできるって佐々木先生が言ってた。

「京と福田は準備室に行ってくれ。ほかの者は観客席に移動しろ」

今回使うのは第6訓練場。最も規模が大きく観客席も備わっているため、学校内の催し物でもよく使われるらしい。

茶々は第1準備室で戦闘用のブーツに履き替え、長すぎる髪をゴムで1つにする。

すると、後ろから足音が近ずいてくる。

「調子はどうだ」

佐々木先生だ。

「まずまずですね。」

首をゆっくり回し、肩をグッと上げストンッと力を抜く。

「福田はなぁ」

何を言うんだこの人?

「父親が軍の上層部でな。幼少から厳しく育てられてきたらしい。それを乗り越えてきたという自信から、自分が学年で1番だと勝手に思っているようだ」

なかなかの痛い奴だな。それに軍の上層、福田。。。

「だから、くれぐれも壊すなよ。クラスメイトが減るのは気分が良くないだろ」

ほほぅ。そう言うことかぁ。

「准将もお人が悪いですね」

茶々の声色が変わる。

「ここまでされちゃあ」

そして茶々の周りから温度が無くなる。

「本気を出すしかないようですね」




「何とか間に合いましたか?」

「君はッ。忙しんじゃないのかい?」

社会センター生徒会長''菅季臣(すがときおみ)''。普通なら高校1年生の模擬戦なんかを見るような暇はない。

「あれって生徒会長じゃない!」

「本当だぁ!この試合見に来たのかな?そしたらすごくない!」

菅は甘いルックスで教科を問わず女子に大人気なのだ。A組の女子も騒いでいる。日本で1番忙しい学生である彼が一体なんの用か?佐々木先生は眉を潜める。

「気になる生徒がいるんですよ。」

そう言って菅はにっこり笑った。



第2準備室。福田がブツブツと呟いている。

「俺は強い。俺は強い。俺は強い。たとえ模擬戦でも俺は勝たないといけない。俺は。。。」

『キャーーー!!生徒会長よ!』

ホールの方から声が聞こえる。

「生徒会長だとッ。ふんッ。俺を見に来たのか。やはり俺は期待されてる!」

『両名準備が出来次第ホールの方へ出てきたまえ』

(試合だ。俺の伝説がこれから始まるんだッ)

福田はまだ京茶々という化け物を知らない。


「オッ、出てきたぞ!」

プレイヤーの2人がホールに出てくる。

「茶々ちゃん普通と違くない?」

杏奈が心配そうに雲母に尋ねる。

「茶々っち、戦う時は人が変わったみたいに冷静になるんだよ。昔から」

だから大丈夫。そう言う雲母の手はこのホールに来てから固く結びっぱなしだ。

『この模擬戦ではARデバイスがプレイヤーの体力を設定し、その体力を先にゼロにした方の勝ちとする。それでは、ARデバイスの準備を始めてくれ』

佐々木先生の号令で2人は準備を始める。

「認証開始」

『網膜、静脈、指紋、声紋、パスワード、オールコンプリート。使用を許可します』

茶々のデバイスは独特な機械音と共に展開を開始する。

「何だあれは。ふざけてんのか」

福田は自分のデバイスを握りながら苛立つ。

「ホワイトボード?」

杏奈の言った通り茶々のデバイスはホワイトボードのような形になった。

菅が目を見開いて佐々木先生に尋ねる。

「佐々木先生あの子は一体。。。」

「見てればわかるさ」

佐々木先生は菅の方も向かず答える。

「それでは始めましょうか。格の違いを見せてあげます」

「ギリリィィィッ」

福田の怒りが頂点に達し、佐々木先生の笛が鳴る。

「ハインドッ!」

福田が叫ぶと迷彩色のヘリが現れる。

ハインドは旧ソ連の開発した戦闘ヘリで実戦投入を幾度とされた正真正銘の殺戮兵器だ。

福田を乗せた空飛ぶ鉄塊は30mm連装機関砲を放ちながら茶々に迫っていく。

「死ねェェェェェッ!!」

観客席の雲母や杏奈が反射的に目を覆う。

「騒がしいですよ、虫けらの分際で」

が、その瞬間ハインドが弾けて福田が落ちる。

「それでは授業を始めます!」

そして景色が変わる。

「ここは、教室、なのか?」

いきなりの事に困惑する福田。

「ええ。限りなくそれに似せたものです」

福田の目の前には茶々。手を伸ばせば届きそうな距離に敵がいる。しかし、体が動かない。

「なんだこれッ」

茶々が指し棒で黒板を叩き注目を促す。

「今日は十字軍について勉強しましょう。福田君は世界史が得意のようでし、簡単でしょう」

そう言って茶々は福田に笑顔を向ける。

その笑顔に恐怖を覚え震えが止まらなくなる。


地獄(じゅぎょう)はまだ始まったばかりー

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