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這い寄る者  作者: ツヨシ
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5

母親が様子を見に行ったときには、そこにはもう誰もいませんでした。


そこで田所の奥さんが下柳夫婦に、それを報告したのです。


しかしこの時点においては、怪しい男を見たのは小学校二年生の女の子だけでした。


そんな子供に大人と同等の観察力や判断力を期待できるわけもありません。


そうかと言って、まったくの思い違いと決め付けることも出来ず、怪しくない人を怪しいと勘違いした可能性と、本当に怪しい男がいた可能性の二つを考慮して、とりあえずは警察には通報せずに、本人と両親、そしてマンションの住人たちが周りに目を配り、充分に注意をすることになったのです。


小学校二年生の女の子の証言があってから三日ほど経ったある日、まゆちゃんが言い出しました。


「誰かに見張られているわ」


まゆちゃんはその容姿がずば抜けているだけではなく、頭の良さ、そしてカンの鋭さも高校生とは思えないほどに優れていたのです。


いや、海千山千の経験を積んだ大人でさえも、まゆちゃんほどの切れ味を持っている人はまれでしょう。


それは異質と言って差し支えのないほどのものでした。


自意識過剰になっても不思議ではないほどの経験をその身に数多く受けてきたというのに、常に冷静に回りを観察し、いつも的確な判断を下すのです。


誰にでも出来ることではありません。


ましてやまだ女子高生と言う身分であればなおさらのこと。


そんな彼女が「誰かに見張られている」と言えば、彼女を知る人からすればそれは歴然たる事実となるのです。


下柳夫婦はすみやかに警察に通報しました。


日本の警察は優秀です。

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