始まりは、突然に。
初投稿です。
誤字脱字等で後程手直し入ります。
宜しくお願いします。
気付いたら見知らぬ草原に、ぽつんと立っていた。
いつの間に、どうやってここに来たのか心当たりを探す。
昨夜も私はいつものように翌日の仕事を考えながら就寝した。世間的にアラフォーと呼ばれる年齢になり、出会いはあれど結ばれることなく現在もお一人様。今はもう焦ることもなく、なるようになれと日々を送っていた。
今は年末前の繁忙期。接客業に従事しながら商品手配、仕入れ品出し等をこなしている。
はて、やっぱり心当たりがない。
草は膝下まであり、風にサラサラと揺れている。
クセのある長い髪が頬に当たりくすぐったい。
夢にしてはリアルで、くすぐったさや日差しの暖かさ、草花の匂いも感じる。
服装も寝間着にしているスウェットではなく、フード付きパーカーにジーンズ、スニーカーと普段よく着ているもので違和感がない。
心当たりがないのはしょうがないので、現実の確認をしていくことにした。
「まずは指差し確認ー。前ー」
声に出しながら目を向ける。
草原、やや遠くに林、その奥に森。
「右ー」
草原、道、遠くに街?目を凝らすが度があってない眼鏡ではぼんやりしか確認出来なかった。
「左ー」
草原、やや遠くに林、その奥に森。
「上ー」
青空、雲、時々鳥、太陽の他に月?天体が二つ。
ん!?月が二つある?
「そして最後にー、後ろー」
くるりと振り向くと
ギラリと赤く光る眼光。
「いやーーーーー!」
いた!いました!
イノシシ!多分、イノシシ!
目があっちゃいました!
コワッ!
フシューフシューと鼻息の荒い野生の動物に追いかけられるなんて!
近所では実際に兎や狸、イタチ、ハクビシンなどをたまに見かけたりしていたけど、猿や猪は目撃情報のみで実際には出会ったことがなかった。
こんなに近くで、しかも大きい猪との出会いは予想していなかった。
私はとっさに街の方角へ猛ダッシュした。
もしかしたら人がいるかもしれない。
猪に追われた私は迷惑をかけるかもしれないが、助けてもらえる可能性に一縷の希望にすがった。
アラフォーのおばさんにはこの運動は正直、しんどい。
ダッシュなんて何年振り?
もう息切れで、クラクラする。
ふらふらになりながら後ろを振り向く。
あ。終わったわ。
すぐ後ろに巨大なイノシシが迫り、牙が背中からお腹を貫く。激痛と共にごぷりと口から大量に出血を吐き出した。
たらりと鼻からも血が流れ、痛みで涙が溢れる。
なぜ私はこの痛みで気絶出来ないのか。
生来の我慢強さが原因なのか。
足は引きずられ変な方に曲がり、力が入らずだらりとぶらさかっている。それがイノシシの走行を邪魔したお陰か、牙に引っ掛かったままの私を頭を振って上空に放り投げた。
激痛の中、朦朧とした意識の中で最後に見たのはどこまでも青い空と馬に股がり剣や杖を持った複数の男の人達の姿だった。
そして今さら気付いた。
いわゆる異世界転移だったんじゃないーーー!?
読んで下さり有り難う御座います。
続きは書き溜まり次第更新予定です。